『パーク・ライフ』 吉田修一 ☆☆☆
文庫にて再読。しばらく前の芥川賞受賞作品である。
とはいえ、これは純文学とエンタメの中間ぐらいの作品だと思う。Amazonのカスタマー・レビューを見ると評価はまっ二つで、つまらないという意見も多い。私はまあ途中で止めようとも思わず、最後まで読んだ。たしかにメイン・プロットは大して面白くはない。が、これとテーマを絞り込むことなくあれこれとあわただしく過ぎていく有象無象の群れに、他人の人生を覗き見しているようなささやかなスリルを感じたのは事実である。その軽さと覗き見感が、大したことはないけれども面白くなくもない、という程度の関心を呼び起こす。
しかし、そんなんでいいのだろうか。
それから、なんてことないストーリーの中に、猿とかスターバックスとか人体模型とか気球を飛ばす老人とか、様々なトピックが詰め込まれている。一つ一つはどうってことないが、連鎖させるとなかなか面白い効果が出る、という意味でも興味深かった。この作品についてよく言われているらしい都会人の微妙な距離感、とやらは正直どうでもよく、肝心のスタバ女と「ぼく」のやりとりはトレンディドラマの第一回目を見ているみたいで面白みを感じなかった。
文章や描写力はさすがにしっかりしている。的確だ。ただし、そもそもこういう伝統的なリアリズムで日常を描く、というアプローチにあんまり魅力を感じない。個人的な嗜好の問題だろうが。
もう一つの『flowers』も、ちまちました話をあれこれ詰め込んであるので同タイプの淡白な短篇かと思ったら、意外と劇的なクライマックスが準備されていた。人間の悪意とか惨めさを題材にしたもので、読むと嫌な気分になる。描写はやはりしっかりしている。しかしこれを読むと、この人は基本的にエンタメ作家じゃないかと思う。まあ別にエンタメ作家でいいわけだが。
ところで『悪人』って面白いのだろうか。
文庫にて再読。しばらく前の芥川賞受賞作品である。
とはいえ、これは純文学とエンタメの中間ぐらいの作品だと思う。Amazonのカスタマー・レビューを見ると評価はまっ二つで、つまらないという意見も多い。私はまあ途中で止めようとも思わず、最後まで読んだ。たしかにメイン・プロットは大して面白くはない。が、これとテーマを絞り込むことなくあれこれとあわただしく過ぎていく有象無象の群れに、他人の人生を覗き見しているようなささやかなスリルを感じたのは事実である。その軽さと覗き見感が、大したことはないけれども面白くなくもない、という程度の関心を呼び起こす。
しかし、そんなんでいいのだろうか。
それから、なんてことないストーリーの中に、猿とかスターバックスとか人体模型とか気球を飛ばす老人とか、様々なトピックが詰め込まれている。一つ一つはどうってことないが、連鎖させるとなかなか面白い効果が出る、という意味でも興味深かった。この作品についてよく言われているらしい都会人の微妙な距離感、とやらは正直どうでもよく、肝心のスタバ女と「ぼく」のやりとりはトレンディドラマの第一回目を見ているみたいで面白みを感じなかった。
文章や描写力はさすがにしっかりしている。的確だ。ただし、そもそもこういう伝統的なリアリズムで日常を描く、というアプローチにあんまり魅力を感じない。個人的な嗜好の問題だろうが。
もう一つの『flowers』も、ちまちました話をあれこれ詰め込んであるので同タイプの淡白な短篇かと思ったら、意外と劇的なクライマックスが準備されていた。人間の悪意とか惨めさを題材にしたもので、読むと嫌な気分になる。描写はやはりしっかりしている。しかしこれを読むと、この人は基本的にエンタメ作家じゃないかと思う。まあ別にエンタメ作家でいいわけだが。
ところで『悪人』って面白いのだろうか。
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