田中正造ーたたかいの臨終

ずいそうしゃ新書に布川了の「田中正造　たたかいの臨終」という本があります。亡くなる直前の田中正造のことを書いていますが、そこには終わるとか亡くなるというよりも死して生きる田中正造が描かれています。
加藤安世は「死する人にあらず、永久に活くる人」と言い、新井奥邃は「翁は死して死せず、其氏は却て再生の階段なりしと感ぜらる、翁の如きは死するものにあらず」と言い、木下尚江は「我が翁の死の如きは実に『新生の死』なり」と言っています。
田中正造は常に弱い立場の被害民の中にあって大きな資本や権力とたたかい、臨終のときまで戦い続け、その姿勢が後世に引き継がれ、今もなお大きな資本や権力と戦い続ける者の中に生き続けているのです。