平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

視聴会レポート

2010-12-13 06:04:07 | Weblog
 ミカエル型バックロードホーンと、ケルビム型バックロードホーンがタッグを組んだ視聴会の報告です。二つのスピーカーが見据える先は、菅仙谷なかよし公園を通過して、茨城県議選が行われている遙か東。自民33に対して民主6の結果はご存知のとおりです。試聴回は、農機具メーカーの名前を含め、稲に関係する名前が四人(ハンドル含む)と、秋の太陽の下でヘブル(イスラエル)の口(預言者)が7人という、実に面白い名前の構成でした。

 試聴会の方は、実はセッティングに問題があり、平面テレビのキャビネットが広過ぎで、その横のミカエル型ですら、両チャンネルの間隔が広すぎました。テレビ幅で調度よい感じです。下のコンクリート板(ドブ板)も、もう少し厚めで大きいほうが安定します。ケルビム型はミカエルの前に置いたので、壁面効果が少なく、低音の再生には不利でした。でも、ほとんど気になりませんでしたが。



 今回は、ビクターのP-3030というプリアンプから2系統の出力が取り出せるので、そこから二台のアンプ(ミカエル LHH-200、ケルビム TA-4650)に繋ぎました。プリアンプが介在するだけ鮮度が落ち、またレンジも少し狭くなります。フィリップスLHH-200と、ソニーTA-4650の二台のアンプはそれぞれ、MOS-FETとV-FETを終段に使った稀少価値の高いアンプです。古いTA-4650の方も負けていないパフォーマンスを見せたので、アンプ交換はしませんでした。

 ミカエルは二まわり大きいユニットでバリバリと迫力満点ですが、これだけ聴いていると何を聴いても不満は出ません。しかし、ケルビムの繊細で濃厚な表現力を知ると、「知ってしまった後悔」に苛まれるようになります。今回の試聴会に参加した読者の反応も同じでした。特に、この試聴会の場を提供して頂いたミカエルのオーナーさんの苦悩が、やがて煩悩に変わるのは間違いありません。

 グレードアップとしては、6N-FE88ESを真鍮製リングを介せばそのまま取り付けられます。高価で目玉が飛び出ますけど、音はケルビムにちょっとだけあった滲みが無くなります。6N-FE88ES とは互換がなく、口径が8.5センチと少し大きいFE88ES-Rも、専用の真鍮製リングをアダプタにすればそのまま取り付けられます。こちらはよりパワフルなので、キャビネットが負けるかもしれません。

 ジャストフィットは、口径が10センチと小さくなりますが、限定版ではないFE108E∑で、徳島のミカエルがこのタイプです。音質は、艶があって繊細で濃厚。6N-FE88ESの高域が少し抑えられた感じです。高域が伸び切っていないのが唯一の欠点ですが、普通に聴いていれば分かりません。ごく一部のソースでトゥイーターが欲しくなりますが、ミカエルは天板が広いのでホートゥイーターが乗せられます。トータルでは低域が勝る分、ケルビムに負けません。10センチ口径でも限定版(廃番)のFE108S、FE108ES、FE108ESⅡ、FE103En-SなどはFE88ES-R同等で、スーパースワンのように一回り大きいキャビネット向きです。

 今回の試聴用の盤は、モーツァルトの歌劇『魔笛』が1964年、『カリオペ ワンポイント録音の魅惑』が1973年から1975年、『ヴェトナムの音楽』が1983年から1985年、カール・リヒター指揮『バッハ チェンバロ協奏曲第5番ヘ短調BWV1056』が1971年録音と、非常に古いものでした。『魔笛』は何と46年前の録音です。

 この『魔笛』はカール・ベームの指揮ですが、タミーノ役のテノールが不世出の天才フリッツ・ヴンダーリヒです。『魔笛』はフリーメーソンの儀式を描いているとされますが、そういう経緯は抜きでモーツァルト歌劇の最高傑作だと思います。僕は、一枚に編集されたLPを芸大時代に買いました。今聴いても魅力は失せていません。

 読者の中にチェロを弾かれる方がいて、『カリオペ ワンポイント録音の魅惑』に収録されているアンドレ・ナヴァラのバッハ演奏を聴いてもらえて良かったです。ナヴァラはどちらかというと無骨と評価されていますが、ケルビムで聴くと無骨さは微塵も感じられません。リヒターのチェンバロ協奏曲やモーツァルトの多くの盤もそうですが、一般にキンキンした音で敬遠されます。しかしケルビムで聴くと、分解能が高いのでキンキンした感じはなくなり、高域成分の多い曲の真価が発揮されます。

 一般に、チェンバロやモーツァルトを万人向けにするために、メーカー製は能率が低くてソフトなユニットを用い、耳に障るキンキンを抑えこむスピーカーが多いのです。でも、ケルビムのように正攻法でキンキンの原因を分解してしまえば、抑えこむこと無く聴きやすくすることが出来るのです。バックロードホーンは楽器の性質を持っていますが、こういう理由でモニター向きでもあるのです。

 試聴会に参加した男性読者は、ケルビムとミカエルの音を知り、スピーカー工作への意欲を高めたようです。どんな作品が彼らの手によって生まれるのか、創意工夫を発揮して工作を楽しんでみてください。なお、ケルビムのフロントバッフルに神社の御札を収めたら、幅がピッタリで驚きでした。弟子が伊勢神宮の御札を納める日が楽しみです。試聴会をセッティングして頂いたミカエルのオーナーさんと、参加の読者の皆さん、本当にありがとうございました。こういう企画は和気藹々として良いですね。



      エフライム工房 平御幸
コメント (1)
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