平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

ストラディヴァリ幻想

2009-05-27 10:47:27 | 芸術
 ゴミを捨てに行ったら、外観のきれいなサンヨー製ビデオデッキが捨てられていたので、例によって修理してみました。症状は、メインの電源が入らなくて、テープも出てこない状態のようです。スタンバイ用インジケーターがチカチカ点灯するだけです。

 それでも一応蓋を開けて悪い所を調べていたら、基盤のある所を押すと電源が入ったりします。そのうち、モーターの電源も目覚め、カセットを排出しようとしました。どうも、小さなバッテリーか何かが入っていて、充電するまでは動かない仕様かもしれません。ガイドに絡んでいるテープを外したら無事に使えるようになりました(中のきれいさとグリスの新鮮さから使用頻度は低いと分かる)。テープにはフランス映画かな?モロッコを舞台にした『男と女』の続編版アナザー・ストーリーが入っていました(06年3月放送)。やはり日本映画と違って良いですね。最後まで観てしまいました。

 それで、神様がビデオデッキを修理させた理由は何かと考えたら、保存しているテープの中に気になっていたものがあります。それはストラディヴァリウスの魅力を、演奏家やヴァイオリン制作者に語らせた番組で、ヤマハ製のコピーを宣伝する意味合いもあったようです。ちょうど、真央ちゃんシニアデビューの中国大会の後ろに入っていました。フランス大会は馬鹿弟がわざと消去したので、弟の霊格の低さが分かります。

 ストラディヴァリウスの演奏家としては、マキシム・ヴァンゲーロフや千住真理子が出ていたのですが、僕はこれで、元々嫌いだった千住真理子が本当に嫌いになりましたね。デッサン力のない画家が高価な岩絵の具を求めるというパターンですね。

 僕が興味を持ったのはアメリカの科学者で自分でもヴァイオリンを製作するナジヴァリ(Nagyvary)博士の理論です。彼は、ストラディヴァリの時代に流行した殺虫剤であるボラックス(BORAX)が、偶然にニスの強度を上げて、その結果として板が堅くなり、独特の音質に貢献したと考えています。スピーカー作りの経験から見て、僕もこの説に賛成です。

 皆さんは忘れていますが、ストラディヴァリウスは、バロック・ヴァイオリンに分類される古楽器なのです。現代のスチール弦で大きな音で弾くようには設計されていません。ガット弦により、柔らかくて倍音成分の多い豊穣な響きを求めて作られていたのです。ですから、スチール弦での馬鹿でかい音を出す演奏は本質的に邪道なのです。諏訪内晶子さんによる比較的小さな音は、そういう意味では理に適(かな)っていると思います。

 このように、本来のガット弦からスチール弦に張り替えられて演奏されると、ストラディヴァリは中低音部のザラザラした質感に、中高音の輝かしい伸びがバランスした音に変貌します。これが、大きなコンサート会場では良い響きに聞こえるのです。

 スピーカー工作で分かることは、部屋を含めた残響成分によって、楽器の音が変わるということです。和室で音楽を聴いても残響が足りないのでダメなのです。今のストラディヴァリウスは、古いタンノイ(英国製)のスピーカーを、ユニットだけ新しい設計のものに換えたのに似ています。

『クレモナの栄光』というCDがあって、ストラディヴァリウスやガダニーニやアマティなどを弾き比べたものですが、大事なのはやはり演奏家の腕だと認識させてくれます。しかし、スピーカー作りに一番必要なのは直感であるのと同じく、ストラディヴァリもまた優れた直感の持ち主だったのは言うまでもありません。色々な偶然が彼を天才にしたのですが、神は予定調和の達人ですから、これもまた粋な計らいと受け止めるべきでしょうね。

 でも僕は、大学の時にヴァイオリン教室の先生をしている芸大の女子学生が、わざわざ招待して聴かせてくれたブルッフを思い出すたびに、しっとりした音色が懐かしくなります。夏が来るのに秋が恋しいというやつですね。

     エフライム工房 平御幸
コメント
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