北の杜

ニセコ・羊蹄山麓に暮らす一級建築士の奮闘記

脱原発の意見書

2011年07月29日 | まちづくり
 第6回臨時議会が開かれ4人の町民から提出された「北海道地域防災計画(原子力防災編)の早期見直しと北海道電力泊原子力発電所の段階的運転停止・計画的廃炉・第3号機プルサーマル発電計画の撤回を求める意見書の提出を求める陳情書」が採択となり、意見書についても全会一致で可決され、高橋はるみ北海道知事に提出されました。

 陳情書は、6月の定例会で総務常任委員会に付託となっておりました。
委員会では、陳情者から陳情内容の説明を受け、意見書内容などを審査しておりました。審査の中で、福島原発事故の現状をみると、泊原発から30km圏内に位置する倶知安町も他人事ではなく、町の将来と町民の安心と安全を最優先に考えた場合、陳情の趣旨は概ね理解できるものですし、被災の可能性の高い地域の町議会としての意思表示をすることが重要であると全委員の認識が一致して、委員会として陳情を採択することとなりました。
 議会としての意思表示は、本会議での採決です。通常でしたら9月の定例会に報告することになりますが、政府や北海道の腰の定まらない状態を見ると早めの方がよいという意見が多く、また、北海道も北電と安全協定を結んでいる4町村にしか目が行っていないこともあり、20~30km圏内であるけど福島原発事故では完全に当事者になっている地域として、また北海道の将来を考えると早めの意志決定を行うために臨時議会で意思表示をすることとしました。
管内では、余市、黒松内、仁木、古平町議会、に続いての意見書の提出となりました。

********************************
北海道地域防災計画 (原子力防災編)の早期見直しと北海道電力泊原子力発電所の段階的運転停止。計画的廃炉。第3号機プルサーマル発電計画の撤回を求める意見書

 3月11日に発生した国内観測史上最大の地震「東日本大震災」は、東日本地域を中心とする広い範囲に壊滅的な打撃を与えました。それに伴い核燃料の冷却不能というあってはならない事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所では、依然として冷却機能を取り戻せないまま、核燃料メルトダウンや水素爆発、原子炉圧力容器や格納容器の破損、放射性物質の大量漏えいなど最悪の事態を招いており、収束の見通しも不透明のままです。原発から30km皿圏を超える地域を含め数万人に及ぶ住民が、正確な情報を知らされないままに、二転三転する指示に翻弄されつつ長期の避難生活を強いられており、また事故処理に当たる原発作業員も過酷な労働条件下に置かれています。国、東電は、迅速かつ正確な情報公開と住民の生命、安全を守ることに全力を注ぎ、早期に事態の収束を図らなければなりません。
 北海道電力泊原子力発電所について、道の原子力防災計画では、半径10km圏内の4町村を対象としています。また、北電の耐震安全評価は地震による最大津波高を9・8メートル.と想定しており、いずれも東日本大震災規模の地震、ならびに福島第一原子力発電所において発生したような過酷事故には到底対応できるものとはなっていません。さらに、北海道電力では 2012年春にも第3号機においてプルサーマル発電を開始しようとしていますが、これに使用されるMOX燃料は従来のウラン燃料と比較しても数段危険性が高いことを多くの学者から指摘されており、もともとウラン燃料用に設計された原子炉においてこのような燃料を使用することに、多くの地域住民が強い不安を感じています。北海道電力が、すでにプルサーマル発電を行なっていた福島第一原発第 3号機が起こした事故の検証もないままに、泊原発第3号機でプルサーマル発電を行なうための輸入MOX燃料の検査申請を 5月20日に原子力安全・保安院に対して行ったことについては、地域住民の意志を無視したものとして抗議の意を表します。
 現在、道内の電力需要は最大で578万kWとされ、泊原子力発電所がフル稼働した際には、この4割弱が原子力によるものとなります。仮に泊原発をすべて停止した場合には、最大需要時には約47万kWの電力が不足するとの北電による試算もありますが、他社発電も含めて現時点でフル稼働していない発電設備の活用で足りるとの試算もあります。また将来的には、建設中の揚水発電所や計画中の天然ガス発電所による供給、風力や太陽光などの自然エネルギーや他の代替エネルギー、節電や省エネ技術等の推進によって、原子力にたよらないエネルギー需給は十分に可能と考えます。
 私たちは、子どもたちの未来に「負の遺産」を残さないためにも、持続可能で平和な社会「脱原発社会」を実現しなければなりません。よって、北海道においては、「脱原発社会」の実現に向けて下記の事項に取り組まれるよう強く要望いたします。

                          記

1.東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故を受け、北海道地域防災計画(原子力防災編)を早期に見直し、泊原子力発電所10km圏内の4町村に限られている安全協定を、後志管内すべての市町村を含めたものにすること。また、原子力災害に関する地域防災計画について10km圏内を対象としている防災基本計画を見直すように国に要望すること。

2.泊原子力発電所第3号機で使用する予定のMOX燃料製造申請を撤回もしくは凍結することを北海道電力に求めること。

3.泊原子力発電所第1号機の再稼動については、慎重に対応するとともに、2・3号機についても将来的廃炉に向けた段階的運転停止を求めること。

4.全道的な放射能調査を、きめ細かく実施するとともに、情報公開を進めること。

5.国に対し原発推進のエネルギー政策の転換を要請するとともに、北海道においても再生可能な自然エネルギーの推進を強力に展開すること。