北の杜

ニセコ・羊蹄山麓に暮らす一級建築士の奮闘記

建築基準法講習会

2009年01月08日 | すまい
社)北海道建築士会主催の第42回建築基準法講習会が開催されました。



 ここ数年、建築基準法などの改正が頻繁に行われているので、講習会の参加者が結構多くおります。特に、昨年の11月28日に改正建築士法が施行になったので、新しい動きを勉強しようと多くの建築士が参加しておりました。
 マンションなどの耐震偽装事件がおこり、その対策としての法律改正が一応完了したことになります。この度の建築士法の改正は、建築士はほっておくと悪いことをするという性悪説に基づいて行われているようで、建築士の資質や能力の向上・建築士事務所の業務の適正化などで建築士を規制し、消費者(建て主)の信頼を得ようということだと思います。どの世界にも、悪いことを考えたりする者が必ずいるので、彼ら中心の決まりで物事を解決しようというのはちょっと筋が違うと思うのですが、これも世間を騒がせた結果、規制緩和の流れが止められ規制強化にかわってしまったようです。

 建築士の資質や能力の向上として、建築士事務所に所属している建築士に対して3年毎の定期講習が義務付けられました。自動車の免許更新講習と同じ仕組みでしょうか。日々、研修することが必要ですが、法律で定めないとできないとは、情けないですね。これも性悪説の所以でしょうか。建築士会では、日々の自主的能力向上としてCPD事業を展開しておりますので、建築士会会員は、CPDを行っていれば定期講習は免除してもいいようにも思えるのですが。
ただ、設計や監理業務を行っていない施工中心の業務を行っている施工会社に所属している建築士には、定期講習の義務はないようです。これは、建築士の受験資格の見直しで設計・工事監理の実務に狭められた主旨に沿っているようです。
 また、建築士に高度の専門知識を有する新たな資格が創設されました。構造設計一級建築士と設備設計一級建築士です。医師に外科や内科と専門に分かれて治療をしていますが、建築の世界も同じで、専門ごとに分担して建築物が作られています。でも、医師は医師免許でしかないはずなので、分ける必要もないと思うのですが、構造や設備の設計者にとっては、地位向上につながったと思います。
 建築士事務所の適正化については、専属の管理建築士の要件が強化されました。管理建築士になるには、3年間の実務経験と管理建築士講習の受講が必要になりました。今までは、建築士の資格を獲得すると、経験がなくとも建築士事務所を開設できましたが、これからは、経験や実績が必要となります。当然だと思います。その代わり、管理建築士の義務や責任も重くなってきます。
 建て主に対して、管理建築士による「重要事項の説明」が義務付けられました。契約を交わす前に、担当する建築士や作成する設計図書の種類、工事監理の内容、設計料などを事前に説明することになりました。土地や建物の売買のときに、不動産屋さんが行っていることと同じです。設計業務のトラブル防止が主目的ですが、設計や監理にもお金が掛かるということを理解してもらうには、必要なことかもしれません。よく、設計施工の建設会社の見積もりには、設計監理に関しては、諸経費の中に含まらされており、あたかも設計監理はサービスかのような印象を与えていたようです。建築士事務所にとっては、当然のことかもしれません。

 このような内容の建築士法の改正を確認することができました。この改正が、今後どのような影響を与えるのか、良い方向になるといいのですが・・・。