エコヴィレッジ鶴川は一日にしてならず

鶴川某地にて展開する自然志向のコーポラティブハウス「エコヴィレッジ鶴川」。
住民の手で心地よい暮らし、現在進行形。

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パーマカルチャー 第2回

2005年12月11日 | パーマカルチャー公開講座
日時:12月11日 11:00~13:30
会場:東京農業大学 世田谷キャンパス 森林総合科学実験室
講師:酒匂 徹(さかわとおる)さん 自然農園ウレシパモシリ
主催:エコヴィレッジ鶴川建設組合
協賛:NPO全国コープ住宅推進協議会

開会挨拶 アンビエックス 相根さん
・7年前ほどから酒匂さんとエコヴィレッジを作りたいと話してきた。鶴川にエコ住宅の建設をすることとなったが、今回建設後の暮らし方として、パーマカルチャーを勉強することとなった。
・今回は、実践的な講座内容とする予定である。

酒匂さん講義
■1.パーマカルチャーとは
【歴史】
・ビルモリソンさん(生態学者)が提唱した、持続可能な暮らし方の概念です。オーストラリアで生態系を守る環境運動をやっていたが、反対することを中心とした運動を飛び越えて、新しい暮らし方のデザインを提唱することになった。
・この考えに賛同して、パーマカルチャーの実践をする人が増え、都市にも都市型のパーマカルチャーを行う人たちが増えてきた。
・実際、東京の多摩にも3世代前くらいは、かなり自給自足的な暮らしをしていたことがある。食べ物が手近に手に入るだけでなく、他の物も共有するような状況があった。なぜ、それが失われたのだろうか。それは、経済効率を優先してきたからだと思う。

【経済効率】
・宮城県の気仙沼のカキ漁の漁師さんが、山に広葉樹を植林している。なぜか。海の良質のプランクトンが増えるには、山からやってくる水にミネラルが豊富に含まれていることが条件になる。山作りがきちんとできていないと、よい海にならず、良いカキが取れないと言うことに気づいた。経済効率から見るとおかしなことであるが、長期的な視点で植林をすることを始めた。

【飼い・買いならされていること】
・ビルモリソンは常々「飼いならされるな」と言っていた。ある時、別の講座で生徒さんが私に「買いならされるな」のことか、と聞かれたが、「飼う」と「買う」は同じようなことだと思う。確かに完全な自給自足は難しいけれど、安易に買わないということが重要になる。自給自足という考え方も昔から1家族でやりぬくということではなかったと思う。地域で共同で、共有をして、生活が成り立つ。例えば、わらぶき屋根の葺き替えも1世帯単位では大変だが、30軒が年に一棟ずつやっていけば、さほどでもなくなる。
・買えるということは、確かに便利です。私も子供の教育費をどうするのか、と周りから心配される。不安をあおられると、確かにお金を貯め、買うことに依存することになる。それを断ち切るきっかけとして、今日は不安をとりはらって聞いて欲しいと思う。アンケートにも、農的暮らしをするには土地を買うお金がありませんと書いた方がいた。今日は、こうした問題もなんとかなる、と考えてください。
・本来パーマカルチャーの基礎のプログラムを学ぶには、2週間かかる。今回は、6回の講義なので「都市型」に絞ってお話をします。

■2.森と風のがっこう
【経緯】
・岩手県葛巻で2年前、廃校になった跡地を利用して、「森と風のがっこう」を作った(以下がっこうと略)。子供にどう自然や環境について、教えることができるか取りくむ目的である。
・廃校を利用して自然環境教育の拠点をつくり、私もお手伝いすることになった。滞在型の施設にし、合宿もできるようにした。環境としては恵まれているが、学校の敷地と言う限られた範囲で、パーマカルチャーを実践する例としてご紹介します。

【環境づくり】
・まず近くの川を汚染しないよう、排水を素焼きの陶管で微生物により浄化するようにした。また、校舎に簡易温室をつけて、暖かいスペースを作った。独立した温室ではなく、建物に接地していることで、温度が下がりにくい温室になった。
・一般に学校の土はいい土ではなく、農業には適さない。造成用の土は締まるような質になっているから、だめです。さらに校庭には塩をまくことも多いので、さらに農業に適さない。そこでまずはプランター栽培から始めることにし、廃タイヤや肥料袋を鉢の代わりにして、ごぼうなどを育てている。
・山に放置されている間伐材をもらって、製材所で加工して、建材にした。山の作業には危険が伴うので林業の方に教えてもらいながら、もったいない材を集めた。カラマツは好まれないがよい材料である。農耕スペースは耕さないように、どんどん上へ重ねていく。土は黒土を残土でもらい、製材時のおがくずを畑にまいて雑草が出ないようにした。さらに土から出るバイオガスを集めて、湯沸しなどに使っている。温室にとってもガスがあるのは、保温にも役立っている。
・温室の隣ではメスの鶏を2-3羽飼っている。鶏は土をつつきながら、耕すので、耕運機のような役割を担う。(チキントラクターという発想)小屋自体を動かしながら、次々にスペースを耕していく。一坪1週間くらいで耕せる。
・ほとんど廃材だけで、鶏舎をみんなで建てた。
・トイレ、風呂は東京の専門家にもお手伝いしてもらい、空き缶で作った。風呂桶はコーヒーの空き缶を骨材にして、回りをセメントで固める。
・間伐材は、あまったものは、輪切りにして、床のタイルとして活用した。
・トイレはくみとりでは臭いので、簡易にコンポストトイレを作った。
・日干しレンガを作って、建材にしている。木枠に粘土分の多い土を入れて、乾かす。

【カフェづくり】
・このがっこうでカフェが作れたらいいね、というアイデアがでた。立地が悪いのだが、どういうデザインがよいのかみんなで絵をたくさん描いた。
・その場所の文化を学ぶ姿勢は大事です。表に出てくる言葉は外来の言葉が多いのだが、一昔前にはパーマカルチャーは地域にふんだんにあった。これをきちんと学んでいきたいと考えた。地域に行って豆腐作りなどを学んだり、地域の祭りを見たりした。
・カフェ建設に当たっては、光風林という建築グループの力を借り、間伐材をフルに、また廃材を使った、輪切りにした丸太の建築で作ることにした。屋根はできれば畑になる草屋根にすることにし、その土は、どぶの土をすくって、使うことにした。実は側溝の土というのは良質な土が多い。断熱材は酪農からもらった古い干草を使い、内装もほとんど廃材などで作った。
・校庭の緑化をするために、砂漠緑化の技術(福岡正信さん考案)である、粘土だんごを使って、鶏も食べられるクローバーを植えて緑化を進めた。学校は校庭に塩をまいているので、植物はなかなか育たない。

【まとめとして】
・がっこうでの合言葉はもったいないので・・・、せっかくだから・・・、ありがたい・・・である。
・その後がっこうには視察団が絶えない状況で、少しずつ取組みを周りに広めるよい機会になっている。

■3.グループデザイン
【デザインの要素】
・4つの要素で考える。
・ここから参加者に酒匂さんが質問して、前回参加者から、鶴川の敷地に何があったかを出し合い、リストアップした。
・出てきた例)丘、地下水脈、竹やぶ、松竹梅、防風林、蜂の巣、たぬき、ひのき、山椒、柿、水田、糸杉、ふきのとう、彼岸花、ぐみ、井戸、古民家、お墓、蔵、広葉樹、お茶、枇杷、やつで(トイレの脇)、よい土壌(ふわふわ)
・これらを4つの要素に分類する。「土地」に関するもの(樹木など)、「エネルギー」に関するもの(井戸など)、「社会的構成要素」(近隣環境やお金)に関するもの、「抽象的な構成要素」に関するもの(考え方、データなど)がある。
・実践的にデザインをするには、土地だけではなく、全ての要素で考えていくことになる。パーマカルチャーの教科書には、まずその地でパーマカルチャーをデザインするには、そこに1年くらい住む、と書いてある。本来そのくらい土地と向き合わなければいけないのだが、今日は短時間で自由な発想で考えてみたい。

【グループワーク】
・鶴川の敷地(東京の町田で30人が都市型パーマカルチャーで暮らす)を前提にして、どんな暮らし方ができたらよいか20~30分で考えてもらう。結果は模造紙に絵や言葉、チャートとして書き出して、グループごとに発表する。(実際は午前の部で30分以上かかった)
【各グループ発表(午前の部)】発表は各グループ2分で行った。
□グループその1
・水路、貯水施設を作ったり、カフェや直売所を作ったり、ツリーハウスを作ったりしたい
□グループその2
・ハッピーな生活をしたい。ソーラー、有機野菜、養鶏、コンポストトイレなどのアイデア。
□グループその3
・開かれたコーポラティブハウスを作る。子供のエネルギーがツリーハウスから出てくる。水源、菜園を通じて近所とつながる。コーポラは住むだけの空間ではなくて、ツリーハウスを使った宿泊施設のアイデア。カーシェアリング、震災の際にスペースを活用するなどのアイデア。
□グループその4
・水源があるので、井戸を掘り、水田まで水を引き、蛍が流れるくらいの水路をつくる。雑木林に子供も大人も遊べるツリーハウスを作る。夜焚き火を囲んでお酒を飲める場所を作る。羊を飼って、服を作る。古民家を改造してカフェ、ミニコンサートができるようにする。カフェで出せるものの栽培、蜂蜜、ジャムなどを作る。かまどを作り、ピザなどを焼く。
□グループその5
・コーポラが高齢化していくことを前提に。子育て、コンサート、地元の高齢者がなごんでいる。コーポラでこどもと高齢者の交流がある環境になる。直売所があり、近所の産物も売られている。地域通貨も使える。収穫祭を行い、地域の人も参加する。近所の小学校の生徒がコーポラを見ていると、買わなくても作ればいいのだ、とパーマカルチャーを自然と学んでいる。機織、染物、加工食品作りを教える拠点になる。
□グループその6
・忙しいサラリーマン世帯を前提に時間の使い方を考えた。手間のかからない野菜を植える。街路樹の落ち葉をもらって使う。子育て中に仕事のできない人たちが集まって、古民家でジャムを作り、時間のない人に回すなどのアイデア。高齢者になって仕事ができなくなったときに、孤独になるのではなく、共同炊事場を作って、そこで集うなどの関係を維持する。
□グループその7
・ビオトープ、蛍、ソーラー、コンポスト、壁面を立体的に利用したキーウィなどの栽培。
□グループその8
・雑木林の間伐材で遊具を作ろう。小学校での学習の場にしてもらう。墨を作って、オーブンにしたり、水の浄化をしたり、菜園で綿を作って、衣類を作れないか。古民家で蚕を飼ってもいい。
・集会室もあるので、排泄物を利用したバイオガスを使いたい。
□グループその9
・果樹園を作ってフルーツを食べたい。羊を育てて、羊毛をとりたい。
・西日を使って、干し柿。梅を植えて、梅干を作り、カフェを作って、近所の人に来てもらいたい。
□グループその10
・自然食レストランを作る。井戸端会議をする場にベンチをおき、野外劇、コンサートができる小さなステージをつくる。使われていない納屋などを地域向けの集会室として、クラフト教室などを開く。記念樹を植える植林をする。野鳥も来るように巣箱も置く。

【各グループ発表(午後の部)】発表は各グループ2分で行った。
□グループその11
・その場でみんなで食事ができたらよいな。レストランがあるといい。共有できる屋根がある平らな空間(子供が走り、お年寄りが座り、子供を見てもらえる)、癒しの空間が欲しい。ツリーハウスがいい、ブランコが欲しい。記念樹を植樹してシンボルにすればよいと思う。バイオガス、太陽光、風力が使えないか。
□グループその12
・しいたけ、そば(手打ちそばにする)が作れないか。屋上菜園で野菜を作る。四季の果樹園をつくり何時でもジュースが作れない。じゃがいも、根菜がつくれないか。やぎを育てて、ミルクを取れないか。
・オーガニックレストランを作れないか。ツリーハウス、風力発電、池、ビオトープを作れないか。
□グループその13
・社会的要素として古民家から議論した。住民が集う場、ファーマーズマーケット、無人スタンド、地域通貨などのアイデア。炭焼き場を作れないか。住民のみならず、例えば近隣の小学校にも情報発信するとかもできるのではないか。
□グループその14
・エネルギーの源をできるだけ電気だけに頼らないよう、風、ソーラー、水車などを作っておく。
・壁面を温室にしてパッションフルーツを育てる。雑穀、家畜を育てる。
・世代交代があるときに、住み方をどう考えておくかも重要だと思う。
□グループその16
・テニスコートは田んぼにする。井戸より水を引き、水田でもち米をつくり、カフェをつくり、竹炭をつかう。カフェではライブや勉強会ができる。住棟真ん中にハーブガーデンにつくる。屋根は葉もの、地面では根菜を中心に作る。ゴミはミミズコンポストをする
□グループその17
・住民でジャム、味噌など加工品をつくろう。そこから必要なものを育てよう。ビオトープで植物を育て、蛍が戻ってくるようにしよう。竹林から竹炭や楽器を作るのもいい。パーマカルチャーに関心のある人が宿泊し体験できる体験入居システムがある。(ウーフのような)
□以下グループは退出のため略。

【酒匂さんの講評】
・ひとつのものが複数の用途で使える、効果を持つなどがパーマカルチャーの基本原則。・地域資源を生かす視点では、東京の人口は使える。中国では公衆トイレの排泄物でバスが走っている。
・重要な機能を1つのところに頼るのではなく、いくつで支えるというのも基本原則。
・地域通貨は自給のネットワークとして重要なものだと思う。まだ実際に交換したいと思うものをみなが持っていないから、今のところは流通が限られている。
・農的な暮らしではどんな人でも(障害があっても)仕事がある。農的な暮らしの条件があれば、いろんな人と関わる機会が生まれる。
・垂直面でも栽培できるものは多い。ぶどう、キーウィは手間のかかる方なので注意。
・果樹の下で動物を育てるという具合に機能を重ねると効率的になる。
・地方の山の荒廃をなんとかしたい、都会でお墓がない、これを結んで、山をお寺が買い取って、山を樹木葬の場とするスタイルがある。
・具体的に絵としてデザインする上では、動線を考える、路をどうつけるかが重要となる。
・みなさんのアイデアを実現するには、一人くらいの専従スタッフがいる。
・楽しい提案が多くありました。次回以降、コンテナ栽培、壁面緑化など具体的なトピックを考えていくが、今日のワークでもすでにいろいろな話が出たと思います。ありがとうございました。
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