エコヴィレッジ鶴川は一日にしてならず

鶴川某地にて展開する自然志向のコーポラティブハウス「エコヴィレッジ鶴川」。
住民の手で心地よい暮らし、現在進行形。

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パーマカルチャー講座 第3回

2005年12月29日 | パーマカルチャー公開講座
日時:2005年12月11日 11:00~13:30
会場:東京農業大学 世田谷キャンパス 森林総合科学実験室
講師:酒匂徹(さかわとおる)さん 自然農園ウレシパシモリ
主催:エコヴィレッジ鶴川建設組合
協賛:NPO全国コープ住宅推進協議会

開会挨拶 アンビエックス 相根さん

酒匂さん講義
【自己紹介と今日のテーマ】
・ 岩手で新規就農を始めて10年経ちます。妻と子ども2人で現在は農業だけで生計を立てています。
・ 今日は食べ物を育てようというテーマです。前回までは総論だったので、いよいよ具体的に話を進めていきます。
・ 農業、食べ物を育てるということはパーマカルチャーの中でも大事なことです。街の中でのパーマカルチャーとすると、自給自足ですべての食べ物を育てるのは大変です。限られた土地の中で何を選んで育てるか考えると、新鮮な野菜を育てるということになるのではないかと思います。

【土壌とは】
・ まず農業で大事になってくるのは土です。土には、鉱物、有機質、微生物が含まれます。たとえば土壁にする時には、表土ではなく、深いところの鉱物としての土を使います。鉱物としての土は、粘土と腐植が含んでおり、このバランスが農業にとっては大事になってきます。
・ 農法にはいろいろあります。まず自然農法という福岡正信さん(*1)が考案したものがあります。また自然農という川口由一さん(*2)が考案したもの。バイオダイナミック農法というシュタイナーの方法。この他にも、有機農法、植物波農法、韓国では自然農業(趙漢珪(チョウ・ハンギュ)さん提唱(*3)などがあります。いろいろなアプローチはありますが、できるだけ化学肥料や農薬を使わないという共通点の他、違いとして、腐植質としての土の使い方が違っています。
・ 自然界の腐植菌の分解の速さ(年間5mm)をそのまま利用するのは自然農法だけで、他の方法は、多かれ少なかれ、このスピードを早めようとします。バイオダイナミック農法はスピードを早めるために宇宙の力を使います。有機農法は機械も使ってさらにそのスピードを速めます。化学肥料や農薬を使うともっとスピードは速まるのですが、今回は有機の農法を前提に話を進めていきます。
・ 人間や機械、肥料など作物を作るためのすべての投入エネルギーの違いということで言うと、有機農法と慣行農法では農薬の部分だけが違うことになりますので、エネルギーはあまり変わりません。ですから、パーマカルチャーでは、自然農法、自然農を目指そうということになります。
・ また、このうち、不耕起で行うのは、自然農法、自然農、バイオダイナミック農法です。では何のために耕すのでしょうか。(会場からの意見として、空気を入れる、土をほぐすなどの意見。)有機農法をやっている方で、土を良くする目的で耕している人はもはや減っていて、農業研究の分野でも耕さないほうが良いと言われています。ただ耕す意味があるとすれば、雑草を無くすためということはあります。
・ 基本的に腐植している土は森に戻ろうというエネルギーを持っています。砂漠はこうしたエネルギーを本当に失ってしまった土地ということになります。腐植質が地表・地下のいずれにあるか言うと、熱帯では地表に70%の腐食質が出ている、30%が地下にあるといわれます。温帯ではこのバランスが50%、50%。だから熱帯雨林を切るということは影響が大きいのです。
・ いわゆる世界の穀倉地帯では、このバランスが地下に偏っていているために優れていて、土の力がよいのです。アメリカの穀倉地帯はこの何百年に蓄積された資産に拠っていると言える訳です。土壌がいいためにアメリカの有機農法ではほとんど肥料が要りません。

*1 自然農法…福岡 正信さん
【参考】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4393741412/qid=1134381693/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/249-3795215-8928368

*2 自然農…川口 由一さん
【参考】
http://www.6348.co.jp/sizen/kawaguti/

*3 韓国の「自然農業」・・・趙漢珪(チョウ・ハンギュ)さん
http://www.shizennougyou.com/hello/hello.html

【ミミズが望む土壌】
・ 土をほぐす、とさっき言いました。ミミズは土をほぐしてくれます。年間5mmの腐植土を糞として作り出してくれます。ですが耕されるとミミズは逃げます。ミミズにとって大事なことは、土が常に何かに覆われていて、暗く、湿った土であってくれることです。シマミミズは表面を食べます。フトミミズは1mくらいの深いところを食べます。しかし日本ではシマミミズはうまく安定して育ちません。一方ニュージーランドではシマミミズがよく育ちます。ですから、日本ではフトミミズに期待しなければなりません。フトミミズは深いところと表土を往復して活動しますので、活動を邪魔しないためにはやはり耕してはいけません。石灰を土に入れましょうと教科書には書いてありますが、ミミズは石灰が嫌いです。ミミズの活動はいいことだらけなのです。できるだけミミズにとって何がいいか考えて農業をするのがいいのです。マルチをセットして不耕起にすると、いいです。それから土を歩いてしまうと硬くなりますので、作物を育てるところと通路を分ける必要があります。1~1.2mの幅で作物を植えるスペースを作り、その両側で作業をすることになります。自然農法では、収穫するときに根を抜かずに、切ります。なぜ根を残すかというと、根穴が空気を通してくれるからです。根は収穫後、なくなっていきますが、その穴が土の中に跡として残って、ミミズや微生物の通路になるのです。ただ、根を残すと付いた虫がまた付くことになりますので、
・ こうしてだんだん土を作っていきますと、ふかふかの団粒構造になります。私のところでは粘土の状態から7~8年たちますが、ふかふかです。よっぽど悪い条件の土でなければ2~3年でふかふかになります。こうした条件で育てた土は、乾燥にも、湿気にも強いです。
・ 2m×3mの家庭菜園を条件にすると、300gのミミズが必要です。子どもに捕まえてもらうといいでしょう。釣りえさのミミズではどうも元気がなく、活躍してくれません。飼いならされたミミズではだめなのです。

【よい種】
・ ただわれわれが育てている作物は、品種改良されていて、見た目を重視したできばえを優先いますので、まずはいい種を確保し、作っていくことも欠かせません。だから販売されている種では、なかなか期待しているおいしさや栄養を実現できません。有機農業のネットワークが有機の種を販売しているものを買う他、とにかく安い種を買うのも手です。安ければ安いほど、在来種であってF1種でなく、消毒されていないというよい条件を備えているからです。また在来種のほうが強く、ミネラル分など栄養価が優れています。ひとつだけ欠点があるとしたら、作物が揃わず、規格化しにくいのです。F1種や遺伝子組換はこの点で、規格からの外れが少ないです。

【コンパニオインプランツ】
・ コンパニオンプランツの話をします。資料を見てください。植物は花の形で科に分かれています。われわれが良く食べる菜の花科の野菜は、花びら4枚の十字型の花をしています。
・ この相性をよく考えて、相性の良い作物をいっしょに育てると良く育つ、悪い作物を一緒に育てると良く育たない、特性があります。資料は私が私なりにまとめたものです。・ ただコンパニオンプランツはやれば必ずよく育つというわけではないです。土壌が第一の条件になりますし、気候条件、品種によっても組み合わせが変わってくる可能性があります。
・ アメリカインディアンが言っている3姉妹の原則というのがありまして、トウモロコシ、ツガイインゲンとかぼちゃというセットがあります。これは学術的にも収量があがることは証明されていますが、ただ収穫に機械が使えなくなるので、アメリカでは実用化されません。ところが実際うまくいかないこともあります。それは例えば、インディアンの人たちは保存食として硬いトウモロコシを作っていたのに対し、われわれは生で食べるようになっています。またインゲンを蒔くタイミングを間違えるとトウモロコシに巻きついて倒してしまいます。よく研究しないとうまくいかないことも承知しておいてください。

【スライドによるコンパニオンプランツの例】
・ スライドで説明します。パーマカルチャーでは、丸い畑を作ることがあります。私のところでも不耕起+マルチで作り始めて5年目になると、うっそうとした畑になってきます。ニュージーランドの実験ほ場では、野菜を育てているのか花を育てているのか分からないような畑になっています。花を咲かせるのはミツバチなどを呼ぶ上で大事なことになります。千葉県の三芳村では、重粘土の土をマルチで作っていき、いまではずぶずぶと棒が刺さるほどの状態です。
・ コンパニオンプランツの例として、白菜の間にカブを播いています。田んぼのあぜに大豆を作るのは昔からの習慣でもありました。ニュージーランドでは畑の周りにコンフリーを植えている例もあります。多年性のラベンダーやローズマリーなどシソ科のハーブで畑を縁取ると、その匂いでモンシロチョウ除けになります。寄生蜂はハセリアという景観作物やせり科のニンジン、セロリ、せりが花を咲かせていると、やってきて害虫を食べてくれます。リンカーン大学でニンジンの脇にハセリアを植えた例を論文にした学生がいました。ヒマワリやトウモロコシの下にカボチャを栽培するのも良いです。私はトウモロコシの脇に小豆を植えていますし、ピーマンの周囲にナスタチウムを植えアブラムシを遠ざけています。

【コンパニオンプランツの資料】
・ 資料の相性が悪いというのにも、注意してください。じゃがいもの横にトマトに植えますと、ジャガイモの収穫のあと、虫がトマトへ移動し、同じ虫が両方を食べてしまいます。
・ 確かではないですが、一緒に食べておいしいものは相性がいいと言えます。トマトとスイートバジル(イタリア料理に欠かせない組み合わせ)、大根とジャガイモ、トマトと唐辛子などです。
・ コンパニオンプランツの植え方としては、間作(間に植える)、混作(まぜまぜに植える)、輪作などの方法があります。

【演習】
・ さて、今日の演習ですが、家庭菜園を意識して、どんな作物をどのように植えるか考えていただきます。
・ その前提として、エコヴィレッジ鶴川の様子をスライドで紹介しました。
・ 屋上菜園のイメージはひとりあたり2×3mのスペースです。ここで年間を通して、家族2~3人分のお味噌汁を2種類は作っていけるために、何をどう植えればよいか、考えていただきたい。8種類くらいの野菜を作付け計画に載せてください。その際、A3の紙を8等分して、8種類の野菜を12ヶ月育てる作付け(ひとまず収穫期を表にマークしていく)のスケジュールを作ってください。収穫期があまり重ならないように気をつけてください。
・ 次に作付け計画を基に、栽培の図面を作ってください。6平方mの日当たりが良いスペースに、資料の作付け間隔を参考に、実際の栽培の広さや場所を図示してください。
・ 酒匂さんの例としては、真ん中にまず通路をつけます。通路にアーチをつけます。アーチにカボチャを這わせます。アーチの反対に、サヤエンドウを11月ごろ、ササゲを6~9月植えます。ナスが好きなので3本植えます。ツルムラサキをなすの間に植えます。ナスの横にインゲンを、夏以降インゲンを追いかけて、ニンジン、大根を植えます。この他、レタス、夏播きのダイコンを3本、にら、三つ葉など多年性のもの、キャベツを4つか5つ植えます。
・ まずはスペースと季節を考えながら、配置をして、1つくらいはコンパニオンプランツの相性の良い組み合わせが活きているようにやってみてください。
・ グループの発表も実施した。酒匂さんの講評のポイントとしては、ダイコンの周りに小松菜を播いて置くとよい、とか、早春は手薄になるのでセリなどを植えるとか、アドバイスをいただいた。

・ 以上ありがとうございました。
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