エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

英国政府の再生可能エネルギー関係施設等への迅速な許認可体制

2010-01-10 00:16:54 | Weblog
 英国政府のエネルギー政策は、再生可能エネルギー、原子力、クリーンコールという「三位一体のエネルギー」の普及促進ですが、日本に比して、政府の迅速な対応が注目されます。
 このうち再生可能エネルギーに関しては、英国政府は09年7月に発表した低炭素移行計画の下、20年までに08年比で18%の温室効果ガス(GHG)削減(90年比34%減)を達成するためには、全エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの比率を現状比で7倍に増やすことを目標としています(08年実績はおよそ2.25%なのに対して、20年までには目標値となる15%まで増やさなければなりません)。
 また、現在計画段階にある大型の発電設備の3分の1については、25年までに許認可を取得し建設を行うことが必須とされています。
 他方、特に天候に大きく左右される風力発電設備等が大量導入されることは電力需給両面で大きな変動を生じるため、変動を調整するスマートグリッドの整備が求められるとともに、北海油田の枯渇化が進む中、電源の多様化・安定化も図らなければならないとしています。また、企業が新たなエネルギーインフラへの投資を行う際の条件面を整備していくことも求められています。
 このような状況下で、今まで大型エネルギーインフラ投資にかかる許認可は非効率で、相当の時間がかかっていました。例えば、スカウト・ムーア風力発電プロジェクト〔65メガワット(MW)〕では建設許認可取得に2年近く、フラブルーク風力発電プロジェクト(66MW)は3年もかかるなど、非効率な運用による許認可プロセスの遅延が随所にみられました。このほか、原子力に関しては、立地候補地点の1つのサイズウェルBでは建設の許認可取得に6年間もかかり、金額ベースでは3,000万ポンドの費用を要していました。
 こうした問題を解決するために、英国政府は11月9日、エネルギーインフラの建設許認可手続きを迅速化し、低炭素社会への移行を実現していくため、その指針となる12の国家政策声明案(NPSs)を発表しました。このNPSsでは、エネルギー関連だけでなく、輸送、廃棄物、上下水道といった主要なインフラをカバーする12案が検討されています。
 そのうちエネルギー関連は、包括的エネルギー(EN-1)、化石燃料インフラ向け(EN-2)、再生可能エネルギーインフラ向け(EN-3)、天然ガス供給インフラ、天然ガス・原油パイプライン向け(EN-4)、電力網インフラ向け(EN-5)、原子力発電向け(EN-6)です。EN-1は、新たなエネルギーインフラの必要性とともに、一般的にどのようにエネルギーインフラの開発を評価するのか説明し、EN-2からEN-6については技術に特化したNPSsとなっています。
 なお、2008年11月にエネルギー法2008や気候変動法2008とともに同時成立した計画法2008では、エネルギーインフラ建設の許認可を取得するために、持続可能性評価(AoS)と生息地規制評価(HRA)を実施することが定められています。
 AoSは、NPSsが環境上、社会上、経済上の問題を考慮して持続可能な発展を実現することを支援するもので、HRAは生息地を保護するためNPSsを評価するものです。
 今回のエネルギー種別のNPSsの制定を目指すという根本的な許認可体制の改革は、より効率的で透明性が高く、利用しやすい計画システムの提供を盛り込んだ計画法2008を基に進められていくことになります。
 エネルギーインフラに関するNPSsに対するパブコメの募集は、10年2月22日まで行われる予定です。この結果と議会での精査を踏まえ、政府は10年中にエネルギーNPSsを正式に採択する予定です。10年3月からは、計画法2008の下で設置されたインフラ計画委員会(IPC)が、採択されたNPSsを活用し、国として重要と考えるエネルギーインフラの建設許認可を付与していく方針です。
また、NPSsの発表と並行して、英国政府は09年6月から実施していたコンサルテーションの結果を踏まえ、新設石炭火力(EUにおけるSO2・NOx排出指令「EU Large Combustion Plant Directive」の基準を満たし、イングランドおよびウェールズに建設される電気出力300MW以上の新設石炭火力発電所が対象)では、回収から輸送、貯留に至るフルチェーンの炭素回収・貯留(CCS)設備を設置すること(Carbon Capture Readiness:CCR)を決定しており、その運用ガイドラインを発表しました。
 また、国内の最大4基のCCS実証プロジェクトを支援するための資金提供を行う「CCSインセンティブ制度」については、11月19日に議会に提案された新しいエネルギー法案に盛り込まれました。25年までに商用規模のCCS設備を後付けで設置する際にも、このCCSインセンティブ制度の下で資金提供できるようにする方針です。
 さらに、18年までにクリーンコールを普及させるための新たな規制枠組みや資金支援策の導入を考慮して、運用ガイドラインの見直しが行われる予定です。
 DECCによると、この新たなエネルギー法案によって、英国は世界でも有数のクリーンコール技術保有国となり、30年までに20億から40億ポンドの経済効果をもたらすとともに、エンジニアリングや製造業、メンテナンスなどでは、3万~6万人の新たな雇用創出が期待されています。
 原子力に関しては、新規原子力立地候補の10ヵ所を発表しました。 原子力発電に関するEN-6は、気候変動問題とエネルギーセキュリティー向上の双方の課題に対応するため、政府が戦略的立地評価(SSA)に基づき、25年末までの新規原子力開発に適した立地地点10ヵ所の選定を具体的に行っています。
 今回選定された10ヵ所は、すべて現在もしくは過去に原子力発電所の立地場所かその近郊の地点で、09年3月に挙げられていた11ヵ所からさらに絞り込まれました。

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