エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

原油価格の動向と今後の見通し

2009-10-22 01:35:36 | Weblog
 今後の再生可能エネルギーの開発には、原油価格の動向が決定的に大きな影響を与えます。そこで今回は、原油価格の動向と今後の見通しについて考えることにします。
 原油価格は世界的な経済危機によって急落しましたが、2009年春先から上昇に転じ、今や1バレル=70ドル台まで高騰しています。これは、在庫調整の進展と世界各国の景気刺激策の効果もあり、春先から「景気底打ち観測」が広まり始めるにつれて、商品市場にリスクマネーが回帰しているためです。
 今後の価格水準に関しては、需要の低下にある程度歯止めがかかったため、今後も高騰する余地はあるものの、昨年前半までのようなドラスティックな上がり方はしないと思われます。
 それは、需給が世界的にかなり緩んでいるからです。現在、OPEC(石油輸出国機構)は約400万バレルの生産余力を持ち、米国にも「心理的に安心できる」と言われる3億バレルを超える在庫があります。
 一方で、世界経済はまだ完全な回復基調にのっていません。米国をはじめとする先進国では、政策効果の出尽くし感や雇用情勢の悪化などにより、実体経済は低迷して「景気の二番底」が到来するとも言われています。このような状況では、需給逼迫による急激な原油高騰は考えにくい。
 原油価格が本格的な上昇を始めるのは、実需を伴った景気回復が始まる2010年からでしょう。昨年消えた需要は主に先進国のものであり、中国をはじめとする新興国の需要は、相変わらず旺盛です。2010年後半には再び需給が逼迫し、そこを狙ってリスクマネーが流れ込んで来るだろうと思います。
 そこでの価格水準は、今までよりも大きく切り上がる可能性が高いことです。
 原油価格は、世界の産業構造と共に大きく変化して来ました。1960年代は1バレル=2ドル程度の水準だったが、2度のオイルショックを経て大きく切り上がり、1970年代~1980年代には、20ドルの水準が続きました。そして、BRICs諸国の工業化による需要急増と、産油能力のピークアウトが不安視され始めた2000年以降は、過去に例がないほどの急カーブで切り上がっています。
 数年前から始まった価格高騰は、原油が他の資源に先駆けて「新たな均衡点」を模索する動きに他なりません。今は、さらなる価格水準へと切り上がる移行期にさしかかっていると考えられます。つまり、世界危機による価格急落は一時的な現象に過ぎず、今後も需給逼迫と価格高騰が続くマクロのトレンドに変化はないと思われます。
 ある分析家は「早晩「1バレル=200ドル」の時代がやって来るだろう。安い資源の時代」は、とうに終わりを告げているのだ」と指摘しています。われわれは、早く再生可能エネルギーの開発に取り組まなければなりません。

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