りんごの日記

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宝塚歌劇星組 「太王四神記 ver.2」観劇 

2009-09-07 21:57:40 | 観劇
 既に多くの人が感想を述べている「太王四神記 ver.2」。今回は星組が初演花組の脚本に手直しを加えて再演。同じ役でも演じる人が違うと、こうも印象が異なるのかと思うことしきり。そして初演同様この作品の魅力は、登場人物の女性が皆、生き生きしていること。1つの作品の中に、これほど多様な個性を持つ女性が出てくるのは珍しいのではないか?

 ちょくちょくお邪魔するブロガーのzuzuさまが、ご自身の8月17日付のブログにもお書きになっているが、この作品には素敵な女性が多く登場する。ヒロインの巫女キハは、エリザベートに劣らないくらい、娘役さんにとって演じ甲斐のある役ではないだろうか?自在に火を操り、毒殺されかけた国王の病を治し、プルキルの魔力に翻弄されながらも真実の愛を貫き通す。ただただ守られるだけの可愛いヒロインでないところが魅力的。
 第1部前半の見せ場は何と言ってもホゲの母セームが自害する場面。息子を国王にするためには手段を選ばず、「私が男だったら王になっていた。」と言い放つ。最後は名誉の死を選ぶが、野望に燃え政治の世界で権謀術数に長ける女性は今まであまり宝塚の舞台に登場しなかったように思う。この作品で退団する華美さんが、これまでに見せたことのない、きつい女性を好演。
 女性近衛隊士カクダンのまりもちゃんは「この人、本当に娘役?」と思わせるほど、凛々しく力強い。動作はきびきびしており、声も低音。本人さえその気になれば男役だってやれるのでは?トップ娘役を目指す人は何でもできないといけない。そういえばとなみちゃんも「青い鳥を探して」のブレンダ役では、顔に泥パックを塗っていたっけ。お姫様役だけできればいいのではなく、汚れ役も意地悪な役も老け役も、何だってできないとトップには就けないだろう。
 高句麗の時代に、女性刀鍛冶が実在したかどうか定かでないが、パソン姐さんも元気がいい女性。舞台を下手から上手、上手から下手へと駆け回る。現代のキャリアウーマンの走りだろうか?こんな女性が傍にいたら、元気がもらえそう。自分を名乗る時、二本の刀をクルクルと廻しながら軽快に歌う姿が痛快。
 節目節目に登場する星組の歌姫、毬乃・梅園・花愛さんトリオによるファーヨムの歌声は、場面を彩るアクセント。
 男の子のように育てられたスジニは、心の底にタムドクへの愛を秘めながらも、姉キハの幸せを願う。美弥るりかさんの大きな目が愛らしい。

 私自身、男性にべったり依存型の女性は好きでないから、「太王~」に登場する自分の意思をしっかり持った女性たちに好感を持つのかもしれない。彼女らは男性に媚びることなく、かといって我を張るわけでもなく自分に正直に生きている。宝塚は基本的に男役中心の世界だが、その男役がぐっと引き立つためには、娘役あるいは女役が一層魅力を持たねばならない。魅力的な女性の定義は人それぞれ違うだろう。お芝居における女性の描き方を見れば、作者(演出家)の女性観がわかりそうだ。


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2 コメント

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Unknown (zuzu)
2009-09-10 00:11:25
よそ様のブログの文中に自分のHNが出てくるのは不思議な気がいたします(^^♪
私の名前を出すまでもなく皆さん思っていらっしゃることだと思いますが、魅力的な男女の登場人物があってこそ成り立つのが商業演劇の世界だと思います。

私のような「男役大好き」のミーハーでさえそう思いますので最近の宝塚オリジナルに不満?を持っていらしゃるりんごさまにとって「太王~」はとっても心地良い作品だったことと思います。

一本立てでなく、1時間半の前もの作品で起承転結のしっかりしたオリジナルが見たい・・・と切に思っています。
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zuzuさま (りんご)
2009-09-10 22:30:54
 コメントをありがとうございます。勝手にzuzuさまのお名前を出してしまい、申し訳ありません。花組版「ベルばら」には食指が動きません。宝塚の「ベルばら」って、ものすごく封建的な気がします。外伝はどうか知りませんが、通常編では台詞の中に何度も「女のくせにーーー」が出てきて、ホトホト疲れます。時は平成なのですから、この台詞はそろそろ見直してもいいのではと思います。

 お芝居の世界だけでなく「魅力的な男女の姿」は、人類永遠のテーマと言ったら過言でしょうか?
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