緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

症状緩和は、情報量が勝負です

2008年05月01日 | 医療

他院にかかっている患者さんの症状緩和は本当に難しいです。


初診時でさえ、
診断日、ステージ、治療経過だけ書かれた
情報提供書(手紙)だけ持参されるということが少なくありません。

緩和ケアで重要なのは、受診時の状態を知ることです。

検査がされていなければ、別ですが
されているにもかかわらず
採血データも、画像も、投薬内容も分からないことがあります。

再診となるとなおさらです。
患者さんが採血データをご自分で管理されているときは
持参してくださいます。

が・・・


最近のデータはどんな風ですか?

採血はしていますけど、数値は・・わかりません・・



病状はどんな風に聞いていますか?

このあたりに影があると聞いていますけど、
詳しくは教えてもらってないんですよね・・



薬は、最近変わりましたか?

う~ん。良く分かりません。
何を飲んでいたかしら・・



少なくないのですよ。こういう会話・・



さらに、初診で
「家族が受診したら薬を出してもらえますか?」
という問い合わせを貰うことがあります。

初めての患者さんで、
診察なくして、最適な薬剤は選択できないですよ。

でも、あまりに多いものですから、
もしかして、他の病院で
初診にもかかわらず、患者さんの診察なしで
薬を処方しているところがあるのかなあ・・って疑心暗鬼・・


はあ・・緩和ケアって、そんな単純なものではないのですよ。

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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
本当に (aruga)
2008-05-22 22:25:44
共有できるシステム。本当に大切ですね。
でも、患者さんご自身が自分を知っていること、伝えられることも大切だと感じることも多い現実があります。
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Unknown (missy)
2008-05-22 13:22:05
わかります。情報が不足していれば診察も長引くし、患者、家族にとっても同じことを何度も聞かれ、効果的ではないですよね。医療者は患者のWellbeingが目的で働いているのだから、病院や地域を越えて情報を共有できるシステムがあると良いですね。
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コメントありがとうございました (aruga)
2008-05-04 23:03:07
meguさん
素敵な取り組みです。
患者さんによっては、手帳をお持ちくださる方もいらっしゃいます。服薬指導の一覧用紙をお持ちくださる方もいらっしゃいます。一般化されていない(?)ので、様々な対応をしているのが現状です。
検査、外来ケモもとなると厚い手帳になりそうで、気になります。
在米中は、保険証にあたるIDカードを医療機関で入れれば、PC上に履歴が表示されるようになっていました。
利便性があるもの、よいものは、皆協力しますよ!

ぴょんさん
目に浮かぶようで、笑ってしまいました。
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ハイ。 (ぴょん)
2008-05-03 18:24:17
ハイ、本当にそう思いました。
「あなたがしっかりしないで、どーすんの!!」って感じでした。

ハイ。
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医療連携 (megu)
2008-05-03 16:55:21
医療連携は重要ですね。私は現在薬薬連携実施のために日々奮闘しています。多くの保険薬局では、処方箋により調剤をした際に患者さんにお薬手帳を渡します。これに処方薬を記載していくのですが、これを患者さんの治療日記、あるいはカルテとして利用するのです。例えばがん患者さんの場合は、外来での抗がん剤治療が一般化していますが、病院で行った点滴治療薬の名前や投与量、レジメン名、診療科などをシールにプリントしてお薬手帳に貼ります。検査値も出すようにしたいです。そうすれば院外薬局では、抗がん剤の吐き気止めや他の副作用防止薬、併用抗がん剤などが出た場合でもそのシールを見れば、治療の状況が把握でき、説明もしやすいでしょう。お薬手帳には、患者さん自身が、日常で気のついてことや、気になること(副作用など)医療者に質問したいことなどを記入していきます。お薬手帳を目にする医療者は、治療の状況や患者さんの日常の様子の情報を得ることができます。患者さんはどの医療機関にかかる時もこのお薬手帳を持参していきます。こうすることで、いろいろな医療施設で診察を受ける場合でもある程度の患者情報は共有できるでしょう。また、急に具合が悪くなったといったような緊急時でもお薬手帳を持っていれば、症状の原因が予測でき、対処が迅速に行える場合もあるでしょう。緩和医療の場合も、服薬しているすべての薬の種類や量の推移が時系列に記録されていることは、大切な情報源となりうるのではないでしょうか。もっとも患者さん自身が存在することは最重要なことですが・・・今心配していることは、こういう試みに対して、医師は協力してお薬手帳を利用してくださるかどうかです。
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なるほど・・ (aruga)
2008-05-02 22:50:56
ぴょんさん
主治医に聞いてみた方がいいんじゃない?ってことを沢山相談されたのですね。気軽に話し合えることもあれば、重いこともおありだったでしょう。
ちょっと、しっかり~なんて、背中をバンッてたたきたくなることもあります・・よね。
(ってぴょんさんに同意を求めていたりして・・)

かぼちゃさん
ここに書くと長くなるので、近いうちに記事の中に書かせていただければと思います・・
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紹介状 (かぼちゃ)
2008-05-02 16:19:08
ごめんなさい、ちょっと内容ずれてしまいますがお教えください。

他の病院で診てもらう為の紹介状。
患者側から紹介状を要求させていただくときに、医者はどういう気持ちをいだいているのでしょうか?その患者を助けてあげて”と願う気持ちがあるのでしょうか?”せっかく私が診てあげたのに””私の診断に不安?”という気持ちはないのでしょうか?
そう思うせいでしょうか、私は他の病院 医者の診断欲しく紹介状いただきたいのですが、、
医者という存在は患者にとって受身でなかなか聞きにくいし、聞いたところでごまかすのもうまい気がします。そして怖いのは見放されたらと思うとき。
何かアドバイスいただけましたらお願いいたします。
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それは、本当に困りますねぇ。 (ぴょん)
2008-05-02 11:47:00
患者さんも、本当に心底困って、いらっしゃるのだと思いますが・・・・。

本当に、そんなんじゃ、困りますよねぇ。

患者さんのご家族と、同じ患者の家族として、接していて・・・。
私も、全然冷静ではありませんでしたし、慌てておりましたが・・・・。
でも、それにしても、ご家族が、非常に慌てておられて、素人ながらも冷静に対応するすべは色々あると思うのに、私から見ても、取り乱しておられるばかりの方って、本当に多いと思いました。

ただ、同室だというだけの、素人の私を捕まえて「ねぇ、聞いて!!」と主治医に聞かねばならぬ事を私に訪ねていらっしゃったり。「何だか、モルヒネ点滴し始めたら、寝てばっかりなの。」って、私じゃ解らん!!先生から、説明されているはずなのに、聞いてない、受け取り方が違うだろうと言う事が、私が聞いていても解ってしまう事、ありました。
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大切だと思います。 (aruga)
2008-05-01 22:16:17
医療を超えた、生活者としての視点の情報って、本当に重要だと思います。
緩和ケア病棟、そして、在宅訪問の看護師さんからもよく指摘される所です。継続看護・・継続チーム医療の鍵ですね。
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看護師同士なら・・・ (atusato)
2008-05-01 22:08:21
追加です。
緩和ケア病棟で転院の方については、看護サマリーをいただける場合がほとんどですが、そこに、今までの治療経過が書かれていることが多く大変参考になりません。先生が本文中に書かれているように、緩和ケア病緩和ケアで重要なのは、受診時の状態を知ることです。
 看護にとってこの受信時の状態と言うのは、どんな風に生活しているか、寝たきりなら、どのように歯を磨き、どのような姿勢で食べると食事が食べられて、患者さんは本当はどんな思いで転院してきたのか、今後の希望はどうなのか、今までの経過でなく、今の情報がほしいのです。でもこれ、なかなかありません。
そんな、サマリーがほしいです。
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わあ・・ (aruga)
2008-05-01 22:03:54
atusatoさん
コメントを書いている間にコメントを頂き、本当にありがとうございます。
そう、そうなんですよ。
治療が終わったからすべてが終わりではなく、良い状態を保つためには、目的をもった検査ってとても大切だと思います。何とかして、症状をとってあげたいっていう情熱を持っていきたいと思います。
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びっくりしました。 (aruga)
2008-05-01 21:58:19
Ebiさん、こんにちは。
記事をアップして、間もなくのコメント、驚きました。ありがとうございます!
素敵な医師にかかられていたのですね。
また、県立がんセンターの取り組み、いいですね!説明をしたしないではなく、わかる説明の提供。大事だと思います。
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分かります (atusato)
2008-05-01 21:55:17
緩和ケア外来についているとそんな方多いです。もっとひどいのは、治療が全て終了してから検査をしていないとか・・・そりゃあ、骨髄抑制の副作用が強い化学療法中の様に週3回の採血はいりませんが、ふらふらするなら貧血はないのか、頭痛もして吐気もあり、吐気止めも処方されているけど効いていない・・脳転移はない?と思っても、頭のCTはとっていないなど多種多様です。症状緩和に検査は必要ないと考える医師がまだまだ多すぎて困っています。
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情報提供書って形骸化? (Ebi)
2008-05-01 21:49:04
う~ん 新たに受け入れる方としては
暗中模索状態となってしまうことが
結構あるのですね…!
せめて最新の検査結果と投薬データは
入れましょうよ、と素人でも思ってしまいます
送り出すドクターも忙しいのかも知れませんが…

患者さんにとってinformedがされていない、
だからよく分からない
でも、患者側としても自分の状態について
よく知ろうとすることも必要かもしれない

3月まで通った某ドクターは 紹介状に
何を書いたか見せてくれました
(患者にもある程度見せるのがポリシーとかで)

先週乳がんについての市民フォーラムに参加したら、
県立がんセンターでは看護師が中心となって
「告知ケア」なることをしていると紹介が
ありました
説明を受けても頭が真っ白になって分からない、
後日ゆっくり時間を設けて説明するというもの
だそうです

緩和ケアはエンド・ステージだけではなく
すべての段階で必要なケア、
それだけに医療従事者側にも
十分な情報が欲しいですね
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