緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

病室で無理心中疑いという報道を読んで

2006年04月09日 | 医療

親子2人が病室で無理心中? 福岡・久留米 (朝日新聞) - goo ニュース
今日10時ごろ、87歳の入院患者を60歳のその長男が病室で刺した後、自殺を図った可能性があるようだ。

治癒が望めないとき、患者から「安楽死させて」と言われることはけして稀なことではない。寿命の限り生きることを援助するために医療者はおり、死を手助けすることはできない。でも、死を意識しながら生き続けることは本当に大変なことだ。我々はそうした患者さんから逃げ出さないで向き合い、体や心からの苦悩を少しでも緩和できるように満身こめて努力する。そのプロセスにおいて、気を配らなくてはならないのは、ご家族だ。死にたいともらす患者の家族は、そうした患者を支えなければならないという辛さを感じていることが多い。医療者はえてして患者にだけ視線を注ぎがちになるのだが、家族もケアの対象として、注意深く見守り、支えていく事が大切である。

今回の事件がこうしたことに当てはまるか不明であるが、何かとても辛かったのではないかなあと思った次第だ。森鴎外の高瀬舟を思い出した。。


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