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緩和ケア医の日々所感

重症病床がすぐに一杯になってしまう理由・トリアージ目前の医療

(PIRO4DによるPixabayからの画像)

いつの間にか、今年も後4日。

新しい年が良い年でありますように・・
と願いつつも、厳しい始まりになりそうです。

幸せなことを幸せだと感じられる自分を大切にして、
皆様の健やかな新たな年を心からお祈りしています。




最初つけていたタイトルは、
実は・・「コロナやばい・・」でした。
さすがに
やわらかな表現に変えましたが・・

でも、予想通り、あれよあれよと
東京はやばい状況に・・






朝の情報番組で、
医療者は今まで、まだ、大丈夫といってて、
急に、ひっ迫した状況だと言い始めるとは、
この間、半年もあったのに
やるべきことをやってこなかったのではないかと
言っていたコメンテーターがいました。


この話を聞いて、悲・・・



所属病院では、軽~中等症25床、重症6床で
重症は人工呼吸器が必要となった患者さんのための病床として
整備しています。

一般的な救急医療での集中治療ベットは、
緊急入院後、3日以内には患者さんは一般病棟等に移動します。
つまり、6床では、
1か月60人以上の患者さんを受け入れることができます。

でも、コロナでは、
重症病棟は挿管された人工呼吸器管理の患者さんであり、
抜管できるまでが長く、1~2か月位、
そのまま病床を使い続けることになります。
6床では、
1か月3~6人の患者さんにしか使うことができません。

最近は、軽症、中等症病棟でも
病状の悪化で挿管することを念頭に
置かなければいけない患者さんが増えてきました。

つまり、病床のこの回転の悪さによるスタックが、
すぐに病床不足に陥ってしまい、
ベット運用状況が急に悪化する原因の一つなのです。



アメリカでは、
挿管後、回復困難と予測される状態になった時は、
人工呼吸器や病床を
より回復する可能性がある患者さんに使用できるように
人工呼吸器のスイッチをオフにすることは
日常的になっていったと言われています。

オフにするとは、
そこで患者さんは死亡することを意味します。

つまり、6床、6人しか使用しないことを、
一人の患者さんの回復の予測から終了とする時を
平均2週間となれば12人
1週間で24人
となるわけです。

コロナの重症病床で
「トリアージが必要となる可能性」という言葉が
国内の情報番組でも使われていることがありますが、
このことを指しています。


前述のコメンテーターの方の言葉、
医療機関は何もやってこなかったのか・・
ではなく、これが感染症なのです。
海外ではその結果、
手厚いケアは避け(看護の手が足りないため)
トリアージを行い(回復の見込みがないと判断すれば人工呼吸器を終了し)
病床を生きる可能性がある人に
使えるようにしていったわけです。

そうした現場の医療者の多くが、
医療とは何なのか、医療者の悩み苦しい思いが
SNSなどで発信されています。

日本では、
まだ、そこに至る手前に居て、
必死にそうならないよう、
必要とするケアに手を尽くし(その結果、看護師が不足し)
トリアージを避け、
すべての方にできうる医療を提供し続けている・・
そういう状況なのです。




本当に、大変な一年でした。
皆様と共に何とか乗り越えることができました。

新たな年になっても、急に天が晴れるわけではなく、
この連続の先にあることはわかっています。
粛々と、自分の立ち位置で、
果たすべきことに取り組んでいきたいと思います。

今に感謝しつつ・・
皆様、どうぞ、この年の暮れを
お大切にお過ごしください。

コメント一覧

猫じゃらし
新型コロナ、私の県でも東京に近い地区は感染者が多くなってきています。
もちろん県北の方もじわじわと感染者が増えて、本当に心配です。
そんな中、妹が肺の手術を受けました。
二十五日に無事退院。
手術もコロナにもドキドキしながらの毎日でした。

病院関係者はもっと大変だったと思います。m(_ _)m
感謝しかありません。

今の状態は、医療関係者がやるべき事をやっていないからではなく、私たちが三密を避けたり、感染防止をやっていないことの結果です。
コメンテーターは何をもってそういったのか。。。。
理解に苦しみます。

ちなみに、手術を受けた病院は、新型コロナの患者さんも受け入れていたとのことです。

年末年始、先生もお大切にお過ごしになられますように。。。m(_ _)m

ゆかひま
こんばんは。
はじめまして、私も看護師として精一杯頑張っています、家族共会えない日々…感染者が増える中主人も医療従事者。
共倒れする訳にはいかない。
来年は明るい日々になるように祈るばかりです。
aruga
猫じゃらしさん
お姉さまのこと、ここにシェアしてくださり、ありがとうございます。
そして、無事退院されましたこと、本当によかったです!
今、全国どこの病院でも、術前PCR検査は必須となっています。病院の状況をみていますと、そろそろ春から再度、手術件数を絞り始めざる負えなくなりつつあります。
とても良い時期に手術できて、よかった・・
どうぞ、順調に回復されますように、心からお祈りしています。
優しい言葉、心が温かになりました。
ありがとうございました。
aruga
ゆかひまさん
看護師さんでいらっしゃるのですね。
患者さんの支えになる手厚い看護には、日々敬服しています。
そして、頂いたコメントを拝見して、元気が出てきます。
頑張らなくっちゃですね!
ありがとうございました。

makako12521726
私も病院ではありませんが、一医療者として感染予防に努めています。
そして、家には受験生もいるので、戦々恐々です。
医療に携わる人はずっと警鐘を鳴らしていたと思います。

悲しい気持ちになりますね。

でも、前向きな気持ちで新しい年を迎えたいです。
bolicaminando
感染症さなかの重症患者病棟の現場がとてもよく伝わってきて、知らないことばかりで驚いています。報道でも時々やっているのは見てますが、表面しか見てませんね。想像力が鈍くなってるように思います。


医療従事者の皆様には頭が下がります。
ありがとうございます。
トリアージは本当に死に直面した時の行為なのですね。正確に分かっていなかったです。

これからも発信し続けて下さるとありがたいです。
aruga
makako12521726さん
何事にも限界があることは、皆な知っていることなのですよね。
でも、その限界が現実となった時、なぜ?どうして?と初めて聞いたように焦り始めることは、医療現場でいやというほど経験して来ました。

同じことですね。
しょうがないことです。
そのことを頂いたコメントで改めて考えることができました。

ありがとうございました。
aruga
bolicaminandoさん
ブログ記事で気づけたと書いてくださったこと、本当にありがとうございました。
コメントを頂いたことで、書いてよかった、書き続けている意味を実感することができます。

心が熱くなります。
ありがとうございました。
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