行く川のながれは絶えずして、しかももとの水にあらず。
そう教えられたのは、もう何年も前の話で、誰の、何という作か、
そして、そのあまりに有名すぎる冒頭に思いをはせて、必死に暗記したものである。
しかし、もとの水はどこにあるのか。
「水は数えられないからmanyじゃなくてmuchだ。」
そんな蘊蓄はいらねー。
今日はそんなおはなし。
いろいろ悩んでしまった夏を吹っ切ろうと、新潟県に旅に。
折しも皇太子様ご夫妻がいらっしゃるのと重なって、
小千谷から山古志へ抜ける国道は、物々しいほどの三角コーンが並ぶ。
そして、家々には国旗が掲げられ、中高生が家族で何かしている。
なるほど、今日は休校日になったのかな。
あの中越地震から復興を遂げつつある山里に、いま、光が当たる。
日本でいちばん輝く場所に、一年でいちばん美しい季節にやってきた。
そんなことを実感する瞬間だった。
コシヒカリの稲穂は黄金色の風を吹かせ、いよいよ、週末には収穫をしよう。
魚野川と信濃川がぶつかりあって、日本でいちばん遠い河口を目指す。
「昨日歯磨きした水が、今日ここにあるかもしれないね」
信濃川の水面を見つめながら、友人がポツリつぶやく。
「その水で、おれは今日歯を磨いたかもしれない」
裾花川の水は、犀川へ流れ、千曲川に流れ、そして信濃川と名を変える。
そう、長野の水は、たったいま、新潟の水となる。
長野市を昨日流れていた水は、いま目の前にある、信濃川の流れかもしれない。
行く川の流れは絶えないが、その水を追うことはできる。
水は遂に、河口へと達する。
その河口を目の前にして、水はいま、萬代橋を見上げる。
1929年8月23日。
運命的に、自分が生まれる57年前のちょうどその日に、この橋は架かった。
重要文化財に指定されたこの橋は、
絶えない水の流れを、じっと見守っている。
片貝の花火を、生まれて初めて、みることができた。
世界最大の正四尺玉の放つあの地響きは、
深く、身体と心を震わせた。
2008年9月10日22時00分。
空を一瞬だけ彩ったこの光は、いったいどこまで届いたろう。
月と、寄り添う木星は、その答えを知っているのか。
月かげは入る山の端もつらかりきたえぬひかりをみるよしもがな
絶えぬ光を見つける努力より、
おれはいま、長野で流したその水を、萬代橋まで追いかけたいんだ。
まだ間に合う。
いまなら自分に素直になれる。
もう同じ過ちは繰り返したくないんだ。
河口まで3,500m。
いま、もとの水に、追いついた。
きれいぶって裏で浮気とか二股とか平気でしてるような人よりは正直で真っすぐなところはいいと思うよ。
直すとすれば、たまには嘘をつくことを覚えることだよww
我が家は、萬代橋の近所にありますが、信濃川脇に続々と誕生するマンションへの不安があります。
新潟市も早く、景観条例を作らないと、せっかくの文化物が埋没しそうな勢いです…。
んん?
>みっぴ
そう言ったじゃないですか。。。
>dog
って言われると、自分を肯定しそうになるけど、
やっぱりそれじゃダメなんだと思う。って今も思う。
おれ、そんなに馬鹿正直じゃないよ?!
>cobatchさん
あー、cobatchさんは萬代橋近くにお住まいだったんですね!
たしかに、建設ラッシュの様子でした。政令市たる表情だな、と思いましたが。
せっかくの文化財、ただ残すだけではだめですよね。
でも、近代的な街並みにあっても、橋の貫録は十分に感じられました。いい街ですね。