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e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

野村證券がマンチェスター・ユナイテッドのファンを金融支援

2005-05-07 | ◆ビジネス
欧州チャンピオンズ・リーグ準決勝、リバプールとチェルシーの激しい攻防戦、あまりにも真剣なファンの表情。これらを見ていると、やはりフットボールはイギリス人の生活の一部で、単なる娯楽を通り越したものである。

一方、ビジネス・サイドから見ると、フットボールは強力なブランド・ビジネスであり、スタジアムの運営から始まって、放映権やグッズ販売で収益を上げる立派な企業組織であり、上場しているクラブも多い。チームが経営難に陥れば、良い選手も獲得できなくなり、チームのモラルも下がって、成績もジリ貧となるケースが多い。

チェルシーはロシアの石油王アブラモビッチに買収されて以降、4億ドル以上を選手獲得に使い、今シーズンはプレミアリーグの優勝に導いた。金の力にものいわせるアブラモビッチへの批判も多い一方で、買収後も積極的にチームに投資する姿勢を評価する声もある。

しかし、マンチェスター・ユナイテッドは事情が違うようである。かなり前からアメリカの投資家Glazer氏がマンチェスター・ユナイテッドの買収を仕掛けようとしているが、クラブが買収に応じないだけでなく、ファンが徹底抗戦の構えを見せている。今回、野村證券の英国法人がファンによって設立する投資ファンドに資金貸付を行い、ファンによる株式取得を支援することとなったようだ。

"Nomura to fund Man Utd supporters in bid battle" Reuters

ビジネスにおいても、ステークホルダーの分析というのは重要だが、フットボールや野球などへの投資は、通常のビジネスと比して株主以外のステークホルダー、つまりファンの心情を読み誤ると失敗する。今回の結論はまだ出たわけではないが、ファンはファンという立場から株主というより強い立場のステークホルダーへと変質することまで決断させたわけである。

このあたりのゴタゴタが解決しないと、マンチェスター・ユナイテッドもプレミアでトップに返り咲くのも厳しいか。