Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

ITマネージメントの日米比較

2004-06-25 | ◆ビジネス
IDCのIT市場調査で、米国3州(カリフォルニア、ニューヨーク、テキサス)のIT市場規模が日本全体に匹敵するという結果が出た。こういう話を聞くと、ついつい日本のIT投資が少なすぎると議論したくなるが、そうした一面的な比較は必ずしも正しくないのではないかと思う。

かつてハーバード・ビジネス・レビューで面白い記事があった。
(M. Bensaou/E. Michael, The Right Mind-set for Managing Information Technology, HBR Sept-Oct 1998)

日本と欧米のITマネージメントを比較した記事なのだが、欧米のプロフェッショナルによるITマネージメントに対して、日本のゼネラリストによるITマネージメントが必ずしも悪い面ばかりではないという話であった。確かにプロフェッショナルがITの管理を行うことのメリットはある。テクノロジーの変化が激しいほどその傾向は強いだろう。一方で、いろいろな業務部門を経験する一環としてIT部門に配属される日本の管理職は、ITの専門家ではないし、必ずしもモチベーションは高くないが、バランス感覚のあるIT管理が可能になる。なぜならば、その管理者はITのみならず属する企業内で多様な業務をこなしてきているからだ。また、後々更にポジションが上がったとき、このときの経験は重要なものとなるであろう。

日本のIT投資額が少ないのは、ひょっとするとこうしたITマネージメント手法が影響しているのかもしれない。日本のIT管理者は欧米に比すれば相対的にテクノロジーへの感度が鈍く、先進のテクノロジーで新しいシステムを構築するよりも、既存のシステムを大切にしながら改善することを望むであろう。新しいシステムは絶大な効果を生むこともあるが、一方で失敗に終わることも多い。やや乱暴かもしれないが、IT投資額が多いこと即ちITマネージメントにも優れていることにはならない。

これまたどちらが優れているという議論ではないと思うが、外部環境によってはどちらかが優れているという状況が作り出される類のものだろう。