Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

ITサービス市場は拡大しているが…

2004-06-22 | ◆ビジネス
ITサービス市場の拡大が続いている。 しかし、これは必ずしもシステム・インテグレーション・ベンダーにとって朗報とは言い難い。もともとシステム・インテグレーションは、システムのオープン化の流れの中でビジネスを拡大してきたが、いまやそこはマーケットの拡大以上に競争の激化が進行しており、収益を上げるのが非常に難しくなってきている。日本においても大手システム・インテグレーション・ベンダーが価格下落に苦しんでいるという現状がある。

ITサービスの市場には、IBMの参入に倣って、大手ハードウェアベンダーが次々と参入してきている。また、インドのようにもともとは低コストを売りにしていたベンダーも、今では業務ソリューションを展開するまでに実力を付けてきている。ITサービス市場拡大とは言いながら、既存のシステム・インテグレーション・ベンダーのマーケット・パイはむしろ小さくなっていっていると言えるのである。こうした中、中規模のシステム・インテグレーション・ベンダーは、規模の経済を追い求めるか、独自性を打ち出していかなくては生き残っていくことが難しくなる。

また、Web Servicesのようなインターオペラビリティを実現する技術の発展は、ますます単純なインテグレーションのニーズを減少させ、システム・インテグレーターのビジネス規模を縮小していくこととなる。

こうしたなか、既存のシステム・インテグレーション・ベンダーは、新しい中長期のビジョンを打ち出すことが求められているのではなかろうか。業績不振に陥るベンダーは、プロジェクト管理の強化や開発コストの削減などによる価格下落への抵抗力をつけることに腐心しているが、そうした短期的な課題への対処に加え、自らの役割を革新していくことに力を注ぐ必要がある。

景況感の改善は、一時的にシステム・インテグレーション・ベンダーの業績を回復させる可能性はあるが、そこで新機軸を打ち出せるか否かが中長期での成長力を左右することになるだろう。

AOLも企業向けインスタント・メッセージから撤退

2004-06-22 | ◆ビジネス
Yahooに続いてAOLも企業向けインスタント・メッセージ市場から撤退である。 やはり、企業向けサービスは、コンシューマー向けのサービスとシナジーを生みにくいものと見える。

Yahooに続く撤退から思うに、ビジネス拡張戦略におけるシナジーの問題について考えさせられる。YahooにしてもAOLにしても、コンシューマー向けのメッセンジャー・サービスから企業向けのメッセンジャー・サービスへとビジネスを拡張することは、実に自然な流れでありその戦略を否定する人は少なかろう。しかし、実際にはもともと企業向けのサービスに長けたIBMなどのベンダーの方が一日の長があるということのようだ。

つまり、仮に新しいビジネス展開に既存ビジネスとのシナジーが認められるとしても、競合がより強いシナジーを持って参戦してくれば退場せざるを得ないということだ。シナジーも相対的なものであることを認識する必要がある。

企業のM&Aにおいても、2つの企業が同じターゲットに買収を仕掛けたとしても、そのターゲット企業に絶対的価値が存在するわけではなく、買収を仕掛ける企業とのシナジーがどれだけあるかによって、買収の価値は変わってくる。しかし、先ほどのビジネス拡張と同じで、ついつい目先に見えるビジネスの魅力だけで判断してしまい、高い買い物をするケースも多いのであろう。

やや論点がずれたか。