東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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寝たきり姿勢では猫背に注意! 脊柱変形の予防を【患者・家族向け】

2016年12月12日 | 紹介
脳卒中や神経難病の方など長期的にみれば、体を動かすことが困難となってくるとベッド上で長期臥床を強いられることがあります(いわゆる寝たきり)。
医療的にみてもここで優先されるのは、褥瘡(床ずれ)の予防になります。
褥瘡は、高機能のマットレス(多くの種類の寝具が褥瘡予防に用いられていますが、本題ではないので割愛します)などで対応しますが、一般には低反発の柔らかい素材を用いることで骨突出部に加わる圧を分散させます。
このような柔らかい素材のマットレスの弊害(言い方が悪いですが、効果は確実にあるので副作用みたいなもの)は、体が沈みこんで行ってしまうことです。
柔らかい部分に体が沈みこんでいくと、本人自信が寝返りなど体を動かしにくくなり、介助者が介助しようとしても同様です。
つまり、褥瘡予防のためのマットレスが体の本来の動きを邪魔してしまう可能性があるということです。
これが長期間に及ぶと、体がなまるだけではなく、背骨の曲がり(いわゆる猫背)が進み硬くなります。
これは水に沈み込む船をイメージしたときに船の「竜骨」が曲がった背スジに当たります。
この背骨の曲がりは、専門的には脊柱後彎変形といいます。
脊柱後彎変形では、呼吸がしにくくなったり、背骨の褥瘡の危険が高まったりします。


ベッドへの体の沈み込みのイメージ図

では、どうしたらよいか?
マットレスを硬いものに変えましょう、という提案では決してありません。
この記事の本題は。「定期的に背スジを伸ばしましょう」という提案です。
では、改めてどうしたらよいかという話ですが、
・ 電動ベッドであれば平らにする
・ エアーマットレスなどで設定があれば、一時的にハードモード(リハビリモードとも)にする
・ 足をなるべく伸ばした状態にし、腕もなるべく広げるか上に挙げる
・ 腰よりやや背中の背骨の下に補助者の手や腕もしくは畳んだタオルなどを入れる(下図)
・ うつぶせをとる(場合によっては危険があるので、専門家の助言のもとに行ってください)
これらは全部やらなくてはいけないわけではありません。
特に慣れないうちは、せいぜい5分ほどでよいでしょう。
1日に1回ほど行っていただくと良いと思いますが、やらないよりはやった方が良いくらいの感覚で無理のない範囲で行うと良いと思います。
病気の方は安全のために医療従事者の確認の後に行うことをお勧めします。


背スジを伸ばすときのイメージ図

あくまで部分的な助言に留まりますが、
曲がっている背スジをそのままにせず、たまに伸ばしてあげることで不必要な体の変形を防ぎましょう。

これからも寝たきり状態への対応についての記事をいろいろと挙げていく予定なのでよろしくお願いします。
M1(PT)

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