東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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回復期リハビリテーション病院の選び方~個人的な視点から~

2020年07月13日 | 紹介
はじめまして。

今回はリハビリテーション科の医師から、僭越ながらブログの記事を書かせていただきます。

テーマを何にするか悩んだのですが、ブログを見て下さっている皆様のお役に少しでも立てる様に「回復期リハビリテーション病院の選び方」について投稿させていただきます。(あくまでも、私の私見ですが。。。(笑))


「選び方」についてお話する前に「回復期リハビリテーション病院の目的」ですが、私が思う目的とは

① 患者さんの疾患・障害(脳梗塞後の片麻痺や骨折の手術後など)により落ちた機能をできるだけ最大限回復させること

② 回復した機能、残存している機能を用いて、できるだけ患者さんの出来る事を増やすこと

③ 患者さんの出来る事と利用できる資源(家族や助けてくれる知人、ケアマネージャー等の人的資源、介護保険サービスや各種福祉施設等の社会保障資源など)を考え合わせて、患者さんとその家族にとってできるだけ良い転帰を見つけること

の3つと考えております。


「まあ、そりゃそうでしょ」とか「なるほど、①しか頭になかったわ」と色々な意見をお持ちの方がいると思いますが、これらの3つの目的に合わせて1つずつ私なりの選び方を書いていきます。


まず①機能回復についてですが、回復期リハビリテーションを受けられる疾患の中でやはり多いのは脳卒中と運動器疾患です。

ここでそれぞれについて語り始めると収まりきらないので割愛しますが、特に脳卒中に関して言うと脳がダメージを受ける場所に応じて、本当に一人一人全然違う症状を呈します。

そのため、「リハビリか。。。支えながら歩かせて、自転車こがせて、とかするんでしょ」等のイメージの何倍も何倍も多くの事を考えに入れながらリハビリテーションを進めます。
となると、どうしてもそれを行う理学療法士、作業療法士、言語聴覚士にも深い経験と高度な技術が求められる事が、実際多いです。

巷に多くあるリハビリテーション病院は、「若くて活気のあるセラピストがたくさんいる」という病院は多いですが、理想を言えば、「経験のあるセラピストから新人のセラピストまでバランス良くいる」といった病院が良いと思います。


(当院セラピスト集合写真→)




また、患者さんの機能は徐々にじわじわと回復していくため、日々担当しているセラピストがどうしても気づきにくい注意点や訓練内容の適切な転換点、新規訓練内容の追加の遅延が起こったりします。

その際に適切に予測を立て提案できるといった意味で出来れば「リハビリテーション科」の医師がいる病院が理想と思います。


②に関しても同様で、「麻痺の回復はそこまで伸びなかったが、工夫して一人でトイレが出来る様になった、工夫して歩けるようになった」等、経験値・俯瞰の視点・機能予測に基づいた適切な訓練内容という点では、セラピストの多様性とリハビリテーション科の医師の存在が大きいと思います。

また、患者さんの家屋や家族の情報を評価し、環境を整える(自宅の改修や福祉用具の設置等)ことでも実際の能力では出来そうにない事が可能になったりします。

ただ、そこまで関わる時間を持つことは実際の医療現場では困難な事が多いです。

そのため、「たくさんの患者さんを受け入れ、早期退院を目指す高回転型のリハビリテーション病院」よりも「患者数をそこまでたくさん受け入れず一人一人の患者さんの能力をじっくり伸ばす低回転型のリハビリテーション病院」がおすすめだと思います。


最後に③ですが、福祉サービス等に詳しい医療ソーシャルワーカーがいる事や、各職種からの報告、本人・家族の要望を吸い上げてまとめていくリハビリ科医師のいる事がより多くの選択肢からbestな選択をする上では必要だと思います。(当院では、病院全体として医療セーフティネットの役割を有しているため、優秀な医療ソーシャルワーカーがいます。)

また外出や外泊をして本当に退院可能かどうか(料理や掃除ができるか、公共交通機関が利用できるか等)を見たり、退院後のケアを家族に学習してもらう(おむつ交換の仕方、帰った後のストレッチやトレーニングの仕方等)のに家族の参加は必須なので、距離も重要な要素と思います。


以上をまとめると

・セラピストの経験値、多様性

・リハビリ科の医師の存在

・じっくり向き合ってくれる低回転型

・福祉サービスや地域の情勢に強い医療ソーシャルワーカーの存在

・距離

が「回復期リハビリテーション病院の選び方」には重要かなと思います。

もし病院選択に迷われているならば、是非選択肢の1つに入れて頂ければ幸いです。

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【注意】
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