社長の独り言

資産運用コンサルタントの社長日記です

リーダーシップ

2007-01-27 00:01:12 | 日常
ソフトブレーン 宋文洲さんからのコラムを紹介します。
毎回、大変参考になる内容です。



   米国の良い組織もボトムアップ重視

宋 文洲

次期アメリカ大統領の有力候補の一人であると目されている前ニューヨーク市
長のルドルフ・ジュリアーニさんが来日し、帝国ホテルで講演しました。米国
における彼の実績と経験を活かし、日本でもコンプライアンスや内部統制のコ
ンサルタント事業を展開する会社(ジュリアーニ・コンプライアンス・ジャパ
ン:GCJ)の設立記念講演を行うためでした。GCJにはソフトブレーンが出資し
たため、僕もジュリアーニさんと面会し、講演を聞いてきました。

一番印象的なのはリーダーシップに関する彼の見解でした。ニューヨーク市を
犯罪が横行した危険な街から世界で最も安全な街の一つに変え、9.11事件
で危機に敢然と立ち向かったジュリアーニさんの見解は意外にも「現場」や
「ボトムアップ」といった、日本的なものに近かったのです。

「今のリーダーシップは昔のそれと異なる。昔は命令で良かったが、今は参加
意識を持たせないといけない。部下達は高い教育水準を有し、リーダーと異な
る視点を持つ。時には内部に全く反対の2つの見解が存在する。どちらにも充
分に意見を述べる機会をあたえるべきだ。特に敗北する側の人により充分に話
させることが重要だ。」

よくトップダウンが欧米型、ボトムアップは日本型という単純な構図を描きま
すが、長年のコンサルタント経験からみてどうも腑に落ちませんでした。日本
にはトップダウンでうまくいっている会社もあれば、ボトムアップでうまくい
っている会社もあるからです。

ジュリアーニさんの話を聞くとある普遍的なことに気付いたのです。それは従
業員のレベルです。非常に高度な教育を受けてきた社員にとって確かに命令形
はうまくいかないのです。リーダーの能力と見識が社員、特に幹部社員のそれ
と大差がなくなれば、命令形は逆効果です。

この場合、組織は目標とそれを達成するためのプロセスを共有するために異な
る意見を充分にぶつけ合い、よりハイレベルの認識の一致を図ると同時に参加
者の参加意識も高める必要があるのです。

だから人材豊富な大手企業ではボトムアップが一般的ですが、人材の少ない中
小企業ではトップダウンが普通です。日本企業だからボトムアップがいいとい
うのは誤解に過ぎません。当然に逆も真実ではありません。

トヨタ自動車の奥田前会長が言ったことがあります。「働かない国民はいない。
働かせる方法を知らない経営者はいる。」と。経営は国や文化に依存するもの
ではなく、自社社員の素質に基づくものです。単純にトップダウンとボトムア
ップに分けると議論が不毛になります。

リーダーにとって何が重要かとの質問に対してジュリアーニさんは一番にリー
ダーの確たる目標、二番にリーダー自らの説明責任を挙げました。もともとボ
トムアップにおいては、決してリーダーは神輿に担がれ何もしない存在ではあ
りません。健全なボトムアップは健全なトップダウンよりもはるかにリーダー
の意思と能力が求められます。「ボトムアップ」は決して決断しない、具体論
に弱いリーダーの言い訳になってはなりません。



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