社長の独り言

資産運用コンサルタントの社長日記です

参院選挙

2007-08-03 08:28:55 | 日常
宋文洲さんのメルマガを紹介します。
参院選挙について、日本を冷静に見る眼は流石です。
逆に言えば、中国の共産党体制を批判しているのかも?
とても参考になるコメントです。

参院選と「政治バブル」
                               宋 文洲

僕は基本的に政治の話は好きではありませんが、選挙の直後ということで「た
まにいいか」と思いました。外国人の僕の雑感ですから聞き流してください。

参院選の間、僕は北京に出張に行っていたので余計に冷静にみることができま
した。はっきりいって自民党の大敗は不可解でした。日本に関心の高い中国の
知人の何人かに「何があったの?」と聞かれました。

「年金の記録紛失」問題を挙げましたら「それは安倍内閣のせいではないだろ
う」と言われました。「閣僚の失言」問題を挙げたら「それは日本の政治家に
よくあることではないか」と言われました。「不明瞭な金銭」問題も説明しま
したが、「それも特別に酷い話ではないのでは」と言われました。

安倍内閣は明らかに小泉内閣の流れを継承しているのです。北朝鮮政策などに
代表されるように、むしろ安倍氏こそが小泉内閣の人気を支えていたのです。
選挙直前にいろいろな問題が重なったとはいえ、ここまで支持率が下がるのは
やはり別の要素があるのではと思います。

中国には「政治バブル」という言葉があります。地味な具体論から離れ高邁な
ビジョンと美しいスローガンばかりがもてはやされる政治風潮のことを指しま
す。どうも小泉政権に始まって政治の劇場化の本質は政治バブルではないかと、
この頃よく思うのです。

経済のバブルも同じですが、通常では通用しない理屈が平気でまかり通り、人
気と期待だけで資産が買われるのが特徴です。それともう一つ、普段から投資
の勉強もしていない人達も市場に参入するのです。

長い間自民党の古い政治に失望した選挙民に対して小泉前総理が「自民党をぶ
っ壊す」と叫んだのです。これに選挙民がこぞって自民党に投票したのは皮肉
のほか何でもありませんでした。傍目八目でみればそれはブッシュが「共和党
をぶっ壊す」と叫び、胡錦濤が「共産党をぶっ壊す」と叫んだと同じことです。
それなら党首をやめて新党を作るべきです。

年金の記録紛失問題も事務所経費の問題も安倍内閣の問題ではなく、安倍内閣
で露呈した問題に過ぎないのです。唱え続ける高邁なビジョン、美しいスロー
ガンと現実との鮮明な対比が政治バブルの引き金を引いたのです。

小泉チルドレン達のはしゃぎぶりと、時の幹事長の「弟」の堀江貴文被告の選
挙を覚えている方が多いと思います。また今回も連続3年間投票にも行かなか
ったテレビ局のアナウンサーはちゃんと選挙民に投票させ当選を果たしたので
すが、その代わりに同じ自民党の地味なプロの議員が落選しました。

これはもう政治バブルと言わないでなんと言うでしょうか。

目標到達できない場合は潔く引退すると宣言し、地味に田舎や工場を訪ねて歩
く小沢民主党党首に多くの選挙民が古き良き政治家の影をみたと思います。い
つまでも「改革」しか言わない自民党に対して「政治は生活だ」とはっきり言
った民主党に多くの選挙民が投票したのです。

これは明らかに政治の基本への回帰の始まりであり、政治バブルの崩壊の始ま
りでもあるのです。

今回の選挙は間違いなくもう一つの歴史の転換点です。悪い方向ではなく良い
方向への転換です。そうさせた日本の選挙民を真に羨ましいと思うのです。


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