友人と清水に行ったとき、
「羅比亜」という喫茶店に入った。
清水駅近くの古くて昔ながらの店。
私には見覚えがあった。
子どもの頃から就職するまで暮らした清水の町。
何度もその前を通っていたから、とても懐かしかった。
私の記憶にある限り、35年以上は経っている。
店内はいかにも昔ながらの感じが良くて、
インテリアや壁にある絵や飾りはゴチャゴチャしていても、
その雰囲気は、なぜかとても落ち着いた。
今ではファミレスやカフェがたくさんあって、
中高生は気軽に気兼ねなく入っているけれど、
私が女子高生の頃は、
喫茶店に入るなどという不良みたいな行為はとてもできなくて、
確か、校則でも禁止されていたのだと思う。
大人が入るところだと思っていたし、
おこづかいでは足りず、ほとんど縁がなかった。
ただ一度だけ、
高校2年生の冬、
初めてのデートで、
しかも制服で、
ドキドキしながら、
入ったことがある。
どうしていいのかからず、
注文したホットミルクを
一口も飲めずに、
下を向いていた。
恥ずかしかったのと、
制服で喫茶店なんて、
誰かに見られたらどうしようと、
そればかりを考えいていた。
店は違うけれど、
そんな淡い思い出がよみがえってきた。
(写真はその店ではないけれどイメージで)
少し大人になって、
コーヒーはまだ早いかなと思っていた頃、
アーモンドオーレを注文したことがあった。
メニュー表にはそれがあり、
懐かしくて久しぶりに飲んだ。
ふとそこにも恋の思い出があることを思い出した。
私には特別な場所だったのかな。
店内を見回すと、
中高年のお客さんでいっぱいで、
懐かしい場所を求めて、
みんなそこにいるのだと思った。
みきほ