金委員長「重篤説」がまともしやかに流れる中、２０日ぶりに公開活動を再開し健在ぶりを示したかたちとなった。
韓国で４月１５日に行われた総選挙で当選した北朝鮮脱出住民（脱北者）の池成浩議員なぞ、金正恩国務委員長の健康悪化説に関し「金委員長の死亡を９９％確信している」とまで主張していた（「聯合ニュース」https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200501002800882）。
韓国の北朝鮮専門ウェブニュース「デイリーＮＫ」のガセネタに乗っかり、米ＣＮＮが4月21日に「金正恩氏が手術を受け、手術後に合併症が発症し、危機状態にある」と伝え、米ＮＢＣのニュース記者までもが「正恩氏は脳死状態にある」とツイートしたことで大騒ぎとなった。
「デイリーＮＫ」とは脱北者が中心となって運営する韓国の市民団体である「北朝鮮民主化ネットワーク」が発行するインターネット新聞である。「北朝鮮民主化」と謳うとおり、北朝鮮のレジームチェンジ（体制崩壊）を狙う米国や韓国の保守支配層に取り入ることをメシのタネにしている。米中央情報局（CIA）と深い関連がある全米民主主義基金（NED）から多額の運営資金を受け取っているのがその証左である。
「韓国に定着した脱北者の生活環境は、その半数以上が極貧者となっているほど厳しいという。脱北者の自殺率は、世界最高水準の韓国人の自殺率の3倍に達するというのだから、彼らの苦しい事情は十分に察せられるだろう。脱北者が困難な環境を克服する方法の一つは、テレビ番組に出演することだと言う。しかし彼らが番組に出て語る話は、ほとんどが北朝鮮を「悪魔化」する内容となっている。・・・脱北者たちが番組で語る話は、聞いていて戸惑うことが多い。事実でない内容があまりにも多いからだ。自身も脱北者の北朝鮮専門家という人々が北朝鮮の政治を評論する内容も、大きな違いはない。」（パク・ハンシク米ジョージア大学名誉教授http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/36325.html）
順川リン肥料工場竣工式に出席した金国務委員長は工場の全景を眺め見ながら、我が人民の食糧問題、食の問題を解決するために大きな労苦を捧げられた金日成主席と金正日総書記が現代的なリン肥料工場が建設されたという報告を受けたらどれほど喜ばれただろうかと述べた（http://www.koryojournal.news/?p=4312）。
私は、化学肥料のことはよくわからないが、現在、黄リン生産国は中国、米国、ベトナム、カザフスタンの４カ国。 米国は早くから黄リンを戦略物質に指定、原則的に黄リンの輸出を禁止しており、中国は自国用のみに黄リンを製造しているという。順川リン肥料工場が完成すれば、北朝鮮は米国が輸出を禁止している黄リンを自力で生産することになり、米国の制裁を正面突破するうえで大きな意味を持つことになるという。ちなみに、日本はベトナムから輸入している。
石炭ガス化による窒素肥料の生産に加え、朝鮮に豊富なカリ長石を原料にするカリ肥料、そして朝鮮に豊富なリン灰石を主原料にして、無コークス高濃度リン安肥料を生産する順川リン肥料工場建設によって農業生産における肥料の自力更生が完結するという（http://www.koryojournal.news/?p=4199）。
世界が新型コロナ禍で苦しむ中、３月１７日の平壌での総合病院の着工式同様に今回の肥料工場の完工式でも１万人近い群衆が「3蜜」を気にすることもなく動員されていたが、全員がマスクを着用していたのに金委員長をはじめ妹の与正ら随行した幹部誰一人マスクをしてなかった（辺真一https://news.yahoo.co.jp/byline/pyonjiniru/20200503-00176683/）。「感染者ゼロ」の主張は本当かも知れない。
