書感とランダム・トーク

人間の本質を根本原理から追求研究する内容さらに遡っては生物・植物その他をサイエンス的原理から考察する。どうぞ御寄稿を!

植物はなぜ5000年も生きるか    書感(その1):散歩道

2008年11月08日 | Weblog
著者:鈴木英治 発行所:講談社 2002年3月20日第1版2003年5月第3版
著者は大阪市立大学大学院の吉良竜夫教授から ”眼はいいかね?”と聞かれて、”いいです”と答え、それから数年間高知県のツガという針葉樹林を調べたのが、植物研究の始まりだという。実地の調査と必要な文献をかなり多数勉強した結果を記述していて、読み応えがある。植物というタイトルであるが、動物との比較がよく書かれている。前半のみを紹介する。

1.植物の誕生:すべての生物には自己複製のメカニズムがある。最の生物、原核生物は現在も世界中に存在しているバクテリアに似ているもので、千分の1から百ミリくらいの生物。それが、やがて何かのはずみに自己複製の機能を持ち始める。その複製が時に間違いを起こす。
やがて、バクテリアの中から光エネルギーを使って無機物から有機物を作る光合成の能力を獲得したものがあらわれ、植物の先祖が生まれる。しかし、ここの複製だけでは、死という概念は成り立たない。

2.死の紀元:死というものがなければ寿命という言葉も意味がない。
単細胞生物はれそれぞれの働きをする遺伝子のセットを一つだけ持っている。そのセットの中の重要な遺伝子が壊れるとその細胞は存続できなくなる。そこで、「二倍体」ができてくる。しかし、この段階では単細胞生物は次々に同じ遺伝子を複製していくから、どこまでも自分そのものと同じで、死という概念はない。

生物はやがて有性生殖を行うようになり、半分は別の遺伝子と交換をすることになります。これは前と別な個体になりますから、受精した瞬間にそれまでの自分自身は消えて別な生物が生まれることになります。これが寿命の始まり。このあたりの説明は大変に考えさせられ、面白い。

3.はたして長生きは生物の理想なのか?(第2章ー3)
考えさせられることが書いてあります。種族全体で考えると、その種族が全体として生存競争に勝ち抜き繁栄するためには、長生きは理想かという考察である。ある年代で死を迎えることが、全体の進化であるという考え。

取りあえず、(その1)では、この辺で。なるべく早く次を寄稿します。
散歩道/font>

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