ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

ドバイインターネット事情(6) IP電話

2007年05月31日 02時38分27秒 | ICT
ドバイのインターネット環境について、書こうと思ったことは概ね書き尽くした。最後に、ヴォイス・オーバー・IP、いわゆるIP電話の制限について書くことにする。日本では、ヤフーBBがこの機能のついたADSLのモデムを街頭でばらまいてはじめ、NTTグループやKDDIもこれに追随して、一気に普及した感があるIP電話だが、UAEにおいては制限されている。一時期、当地の通信会社エティサラット自身が導入を検討したらしいが、見送られて今日にいたると聞く。

ルクセンブルグ生まれの「スカイプ」は、パソコンにダウンロードしたソフトウェアを利用するIP電話で、日本ではホリエモンのライブドアーなどが販売代理店になっていた。上記のように、日本では通信会社自体がIP電話サービスを有料で提供しているから、スカイプは外国ほど普及していないが、ヨーロッパなどではかなり利用されているようだ。

ブログを調べてみると、そのスカイプがUAEで突如使えなくなったのは、2005年の春のことらしい。昨年当地でお客様訪問をしていると、家族との電話のためにずっと使っていたのにひどいという不満の声をよく聞いたものだ。ただ、今のところこれが規制されているのはエティサラットのサービス提供地域に限られているようだ。アパートからスカイプのダウンロードサイトにアクセスしようとすると写真のような、サイトブロックの警告が現れた。duのサービスエリアである事務所からは問題なくアクセスできた。私の会社は、セキュリティ上の問題があるとかで会社のパソコンへスカイプをダウンロードすることを禁じているので、ダウンロードまではしなかったが。

スカイプに類するサービスは、ボナージュ、マイクロソフト・メッセンジャーなどいくつかある。スカイプ自体も設定をかえるごとにエティサラットがブロックするといういたちごっこをくりかえしているらしい。私は未確認だが、電気通信事業者を監督しているTRA(Telecommunication Reguratory Authority)の役人ですら、スカイプなどをブロックし続けることは勝ち目のない戦いとみとめている新聞報道があったとも聞く。

そもそもなぜIP電話を制限するかと言えば、IP電話はエティサラットの電話収入が減るからよろしくない、という単純な理由らしい。日本の電気通信事業者が聞いたら、泣いて喜びそうな話だ。ただ、技術的に可能でありかつ消費者が希望しているサービスを、制限し続けることは難しいのは歴史が証明している。duのサービス提供エリアも序々に増えているようだし、エティサラットもいずれどこかで折り合いをつけて、解禁の方向に動くのではないかという気がしている。


最新の画像もっと見る