デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

エルヴィン・ジョーンズと顔のないジャケット

2015-01-18 09:02:09 | Weblog
 今月8日に2014年公開の映画を対象としたキネマ旬報ベスト・テンが発表された。今年で第88回というから大正13年に始まった歴史ある賞だ。外国映画のトップは、当ブログでも話題にした「ジャージー・ボーイズ」で、ベストに入ると思っていたが、トップは意外な結果である。小生が一番に選んだ作品は入っていないので、札幌映画サークルのベストを見ると、こちらは投票中で結果はまだ出ていない。

 もしやと思い札幌の2013年のベストを調べると6位にランクされていた。観たのは昨年で、春まで長期間上映されていたので2014年の作品と思っていたが、公開は2013年の暮れなので2014年の対象にならないようだ。その映画とは、「鑑定人と顔のない依頼人」で、監督は傑作「ニュー・シネマ・パラダイス」で知られるジュゼッペ・トルナトーレである。衝撃の結末を観たあとで、様々に張られた伏線を楽しむ意味から、「半券で2回目1000円で見れるキャンペーン」が行われたほど手が込んでいた。二度目の方が楽しめる映画は久しぶりのことだ。

 さて、こちらは顔のない依頼人ならぬ、顔のないジャケットである。エルヴィン・ジョーンズの「Mr. Jones」だ。デイヴ・リーブマンをはじめスティーヴ・グロスマン、ヤン・ハマーという1972年録音当時、シーンをリードする若手に加え、実兄のサドやペッパー・アダムスというベテランが参加したアルバムで、当時主流のモーダルな方向ながら各人のストレートなソロは小気味いい。なかでもタッド・ダメロン作の「Soultrane」は、盟友コルトレーンとセッションを重ねた熱い日々を回想するが如くスリリングなドラムを堪能できる。映画同様スリル満点だ。

 札幌映画サークルの投票用紙には、2014年札幌公開の全作品が載っている。観た作品をチェックしてみると50本以上あった。毎年、投票しようと思いながらも話題作を見逃しているのでためらっていたが、昨年は評判になった作品をほとんど観ているので今年は参加したい。トップは「ストックホルムでワルツを」と決めた。投票締め切りは今月25日、来月7日の発表が楽しみである。
コメント (8)
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