デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ジーン・クルーパの武勇伝を聞いてみよう

2011-05-08 08:11:24 | Weblog
 当地も桜が咲き始め、このGWは花見の姿もみられる。まだ肌寒いとはいえ自粛ムードのなか安近短で楽しもうというわけだ。宴というと、どのグループにもいるのがジャケット写真の御仁だろうか。酔いが回り気分も良くなったところでレジメンタルタイを緩め、身振り手振りを交え、「その話、前にも聞きました」という部下の声を無視して若かりし頃の武勇伝を延々と語り、禁煙したと宣言しながら、いつのまにか横の上司のタバコを手にしている。

 その武勇伝に耳を傾けてみよう。「オレがドラムを叩くと女のコはキャーキャーいって大騒ぎでね、スティック回すと失神するのがいたりしてね、楽屋にドッと可愛いコが押し寄せるから選り取り見取りというわけさ、親分のキングより人気があるもんだから、むくれたオヤジをなだめるのが大変さぁ、ビル・クロウがどこかで書いていたけど、キングと呼ばれるだけあり気に入らないとギャラを下げるからね」。「キングは労働基準法を無視した酷いヤツですね、先輩」と部下が口をはさむ。「そうでもないさ、黒人を初めて雇ったのはキングだからね、当時は相当の勇気だったと思うよ、悪く言うやつもいるけど、名前の通り良い人だよ」

 さらに酔うほどに声も大きくなる。「アニタに自由に歌わしてスターにしたのもオレだよ、あっそうそう、ベンチャーズのメル・テイラーなんか、オレと握手したときは感激のあまり泣いてたぜ、キャラヴァンのドラムソロを教えたのもオレさ、エリントン先生がドラム・イズ・ウーマンと仰っておりましたが(何故かここだけ敬語)、ドラムってのは女と同じでね、身も心も優しくし扱わないと音がそれに応えてくれないわけよ、たとえばこんな風に・・・」と、さり気なく隣の女子社員の腰に手を回すと、「その手はないよ」とばかりに思いっきり叩かれた。どうやらこの酔っ払い、手がジーンと痺れて酔いが醒めたらしい。

 震災への配慮から自治体によっては花見の自粛を促しているという。被災地である東北地方の蔵元は、花見を盛り上げて東北の酒を飲んでほしい、と訴えていた。自粛ばかりでは経済が回らない。東北の酒を飲むことで間接的であっても支援につながる。但し、米の名産地である東北の酒はさわやかな口当たりと喉越し、そして五臓六腑に利くから飲み過ぎには注意だ。過ぎるとジーン・クルーパの姿になるかもしれない。

コメント (22)
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