ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ゼロ・ダーク・サーティ』

2013-01-29 23:56:46 | 新作映画
(原題:Zero Dark Thirty)


----これって、
アカデミー作品賞を取った『ハート・ロッカー』
キャスリン・ビグロー監督の作品だよね。
またまた最有力と言われているみたいだけど…?
「う~ん。
今回のオスカーは『レ・ミゼラブル』じゃないかな。
なんと言っても、あっちは<華>がある。
授賞式も盛り上がるだろうし…。
それはさておき、
この『ゼロ・ダーク・サーティ』
世間をあっと言わせた
あのオサマ・ビンラディン捕獲作戦の
裏側を描いたもの。
結果的に、彼は殺害されたことはみんな知っているワケだけど、
それでもこれは、
観る前に想像していた以上の<驚きの映画>ではあったね」

----どういうところが?
「うん。
この映画、
事実に基づいて作られたというのが一つの売り。
それを念頭に置いて観れば、
その<驚き>はさらに増幅。
普通、こういうことは隠すだろう…
と、そう思われるエピソードが次々に飛び出してくるんだ。
しかも、それがドキュメンタリー・タッチの語り口もあって、
観る者に真実味を感じさせずにはおかない」

----ニャるほど。
普通、こういうことって国家機密だよね。
「うん。
これは、
脚本家のマーク・ボールによる聞き取り調査に負うところが多い。
実際に事件に関わった人たちへの取材によって、
CIA内部からの目線で見せてくれるんだ」

----それは興味深い。
オサマ・ビンラディンンオ隠れていた家なんて
要塞みたいじゃニャい。
中がどうなっているかとか、すごく興味ある。
「う~ん。
ところがこの映画、
それに関しては<緘口令>が敷かれている。
ビンラディンの隠れ家に潜入してからのことは書かないように…という。
でも、これって書きようがないんだけどね」

----どういうこと?
「作戦決行は深夜0:30分、
それも月灯りのない日に行なわれている。
撮影も暗闇の中で行なわれ、
赤外線スコープを使用している襲撃隊員の視界以上のことは
そこには写らない。
そのため、全体像はよく分からないんだ」

----でも、そこがクライマックスなんでしょ?
「一応そうなるかな。
ただ、この映画のほとんどは、
ビンラディンの隠れ家を
CIAが見つけ出すまでに費やされている。
主人公は女性CIA分析官マヤ(ジェシカ・チャスティン)。
物語は、
その彼女がある人質の尋問に立ち会うところから始まる。
これが尋問と言っても、
実態は水責めによる拷問。
支局長ブラッドリー(カイル・チャンドラー)の言葉を借りれば
『ああ見えて、冷血』な彼女が、
尋問、分析を繰り返す中、
自らも爆破テロ事件に遭遇。
さらには、自爆テロにより同志を失う中で、
憑かれたように仕事にのめりこんでいく姿が描かれる」

----でも、作戦の方も
しっかり見せてくれるんでしょ?
「うん。
CIAによるアルカイダ幹部への賄賂、
携帯の盗聴、そして尾行など、
スパイ映画には欠かせないシーンもたっぷり。
いつしか手に汗握る
サスペンスフルな作りにはなっている。
とは言え、軸となるのはやはりマヤ。
その姿がなかなか見えてこないターゲットにジリジリ。
それに呼応するかのように
映画自体もジリジリ、ヒリヒリ。
159分というランニングタイムに、
正直、腰が引けていたけど、
気が付くと、あっという間に時が経っていた。
そうそう、ここも詳しく話してはいけないんだろうけど、
この映画のラストシークエンスが実に巧い。
<余韻>という言葉を久しぶりに思い出す名シーンだったよ」



フォーンの一言「この監督、社会的なテーマが多いみたいだニャ」複雑だニャ
スティーヴン・ソダーバーグ監督『トラフィック』を観たときの感じに似ている度

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6 コメント

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ラストカット (ノラネコ)
2013-02-13 00:09:38
この映画、巷では「アルゴ」とよく比較されてるようですが、同じ様に史実ベースでも映画としてのアプローチは真逆なのが面白かったです。
キャスリン・ビグローは毎回ラストが良いですね。
「ハート・ロッカー」の時も思わず唸りましたが、本作のラストもまた良い。
様々な解釈ができそうで、色々な人の感想を聞いてみたくなります。
こんばんわ (にゃむばなな)
2013-02-15 22:12:27
よくぞまぁこんな凄い緊張感の漂う映画を連発できるものだと、改めてこの監督の凄さを実感しましたよ。

とにかくこの映画は奇襲攻撃の後に待つマヤの涙をラストに持ってくるところが素晴らしいです。
この1シーンに監督の言いたいことが全て詰まっていると思いましたよ。
■ノラネコさん (えい)
2013-02-20 22:14:40
この映画のラスト、
僕は彼女の表情よりも、
その前に、かけられた声のほうが印象に残っています。
なるほど、それはそうだよな…
輸送する側も驚きだろうと。
■にゃむばななさん (えい)
2013-02-20 22:17:49
こんにちは。

この映画、ほんとうに評判が高く…。
ただ、ある方のところを拝見して思ったのですが、
彼女は、最前線で戦っているワケじゃない。
戦争映画で言えば、
指揮官的な立場なわけで…。

そう考えると、
また、別の観方も出てくるようなそんな気がしました。
こんばんは (なな)
2013-02-21 22:08:18
久々に劇場まで行って観た作品です。
レイトショーだったので眠気が心配でしたが
長尺で華のない地味な作品なのに
ぐいぐい引き込まれていました。
ま,ハート・ロッカーもそんな味わいの作品でしたが。
「ここまで暴露していいの?」という思いは常にあり
それゆえに「これってホントに真実?」という疑いも
ずっと消えなかったかな・・・・
ラストの余韻と,作戦成功なのに爽快感がないことは
心に残りましたね。
■ななさん (えい)
2013-02-22 23:24:04
こんばんは。
あのラストは余韻が残りましたね。
最初から最後まで
ビン・ラディン追跡作戦の中心にいたのはマヤ。
すべてが終わったときに、
改めてそのことを感じさせてくれました。

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