ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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『人が人を愛することのどうしようもなさ』

2007-10-08 22:49:46 | 映画
「さて、今日もずっと前に観た映画の話をしちゃうかな」
----あ~あ。石井隆の長いタイトルの映画ね。
こういうの苦手な方じゃなかった。
女性がいたぶられて堕ちていく話でしょ?
「う~ん。でもね、
その実、石井隆の映画は
女性が悲惨な目に遭いながらも物語の最後には再生し美しく輝くという、
男性に対する優位性(と言っていいのかな?)を描いているんだ。
特に『天使のはらわた』をはじめとする
名美シリーズではそれが顕著に表れている」

----今回もその名美シリーズというものニャの?
「うん。21世紀最初の名美映画。
このシリーズでは
堕ちていく名美をひたすら愛する村木の存在が語られることが多いんだけど、
今回は、役名こそ違うもののマネージャー役を演じる津田寛治が
その役割を受け持っている」

----ちょ、ちょっと。
いきなりマネージャーと言われても
ニャンのことか、さっぱり分からないよ。
「そうか、ごめんごめん。
映画の大筋はこういうもの。
喜多嶋舞演じる女優・名美。
彼女は私生活では同じく俳優の夫・洋介(永島敏行)と破局の危機を迎えていた。
多忙を極める名美を横目に、
下り坂の洋介は若い女優(美景)と浮気。
現在撮影中の新作映画では、夫・洋介が名美演じるヒロイン鏡子の夫役として共演。
しかも、洋介の浮気相手の女優まで出演という
スキャンダラスなキャスティングがマスコミの注目を集め、
マネージャーの岡野(津田寛治)はその対策に忙殺されていた。
そんな中、ひとりの編集者・葛城(竹中直人)が
名美にインタビューを試みる。
さて、その映画の内容が問題。
夫の不倫と粗暴な行為に傷つき悩む“鏡子”は
夜ごと売春婦としてネオンの街に立つ」

----うわあ。ワケ分かんない。
「いやいや、こんなもんじゃないよ。
じゃあ、別の言い方で分かりやすく言おうか。
夫の不倫と粗暴な行為に傷つき悩むひとりの女“名美”。
夜ごと売春婦としてネオンの街に立つことで
彼女は行き場を失った心を解放していく」

----あれっ?さっきネオンの街に立つのは「鏡子」と言ってなかった?
今度は「名美」になってる……??????
「そう。それがこの映画の核心。
いくつもの話が重層的に絡み合って、
どれが真実でどれが虚構なのか、
あるいはすべてが名美の妄想なのか……
すべて分からなくなってしまう。
もう、ここまでくると石井隆マジックだね」

----そう言えば、喜多嶋舞の演技が話題になっているね。
「そうだね。『花と蛇』の杉本彩とはまったく正反対のアプローチ。
映画の中で自分のすべてをさらけだそうとした杉本彩に対して、
喜多嶋舞は、
自分には名美のような翳りが100%ないから演じることができた、
というんだね」

----それ、ニャんだか分かる気がする。
自分とは別人格の方が演じやすいものね。
「そういうこと。
話を映画に戻すけど、
この作品は、それこそ結末でガクッとくる人もいるかもしれないけど、
ぼくにとっては初めて石井隆映画で涙した映画だったね」

----それはどうして?
「うん。
途中までは女優の内面を描いた映画と思って観ていたわけだけど、
最後には彼女を愛して守り抜いたマネージャー岡野が
浮かび上がってくるという構造になっている。
実は長いタイトルの意味もそこにあるんだ。
岡野の妻は次のような証言を行なっている。
『おそらく夫は名美さんを愛していたと思います。
「人が人を愛することってどうしようもないですよね」って。
つまり、ぼくはこの映画の陰の主役を岡野と見ているわけ。
しかし、その愛を描くためにこんな複雑な物語を作る石井隆。
彼はやはり日本映画では異色の存在だね。
照明と撮影で作りこんだ画面へのこだわりも相変わらずスゴい。
これまでの石井隆作品の中では
おそらく『夜がまた来る』以来じゃないかな」


         (byえいwithフォーン)

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2 コメント

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Unknown ()
2007-10-09 00:15:50
これは正直、「おもしろかった」です。
花と蛇のようなSM作品を期待するとだめなのかも
しれませんが、ストーリーの」オチがよかったなと。
■谷さん (えい)
2007-10-09 23:51:47
こんばんは。

あの「オチ」。
実は『花と蛇』と同じ。
どうしてそこに持っていくのか、
正直、少しはかりかねています。(汗)

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