※カンの鋭い人は注意。※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。
(原題:The Secret Life of Words)
----こういう地味な感じの映画、えいは苦手でしょ?
「うん。なんとなく想像ついてしまうものね。
過去のある事件が原因で心を閉ざした女性が
新しい出会いによって、徐々に心を開いていく。
と同時に彼女は相手の再生の手助けともなる」
----あらら。やはりそういうお話だったの?
「うん。想像した通り。
ただ、彼女の<過去>が予想を遥かに上回るヘビーなものだった」
----えっ。恋がらみで刃傷沙汰とか、
そういうものじゃないの?
「いや、まったく違うね。
そのパートを受け持つのは
ティム・ロビンス演じる男の方。
ヒロインを演じるのは前作『死ぬまでにしたい10のこと』でも
イサベル・コイシェ監督と組んだサラ・ポーリー。
彼女が演じるのは、
心に受けた深い傷を秘密として封印し、
友だちを作らず、
趣味や遊びも楽しむことなく、
ただ、単純作業を黙々とこなす工場の女性ハンナ。
ある日、働きすぎを理由に工場長から1ヶ月の休暇を取らされた彼女は
長距離バスで見知らぬ町に向かう。
彼女はそこで小耳に挟んだ話から
油田掘削所の事故で重傷を追った男の看護をすることになるが…」
----う~ん。確かにこれも驚きはないなあ。
「まあ。そう言わないで。
周囲から閉ざされた海の中の人工施設と言う不思議な空間。
これが彼女の心理にあっているばかりでなく、
そこで働いている男たちも
ぼくたちが触れる日常とはかなり異なっている。
施設に打ちつける波の数ばかり数えている海洋学者、
その国の音楽をかけながら料理を作るシェフ、
妻子を大事にしている同性愛者…。
それらの視覚的オモシロさも、
またこの映画の中身と密接に絡み合ってくる。
そんな中、彼女は網膜が傷ついて
2週間、目が見えない男ジョゼフの看病をするわけだ」
----それがさっきのティム・ロビンスの役だね?
「うん。自分のことをまったく喋ろうとしないハンナに、
ユーモアを交えながら質問攻めにするジョゼフ。
やがて彼は自分の抱える傷について話し始める。
そしてハンナも…」
----その「中身」は、もちろん言えないよね。
「そう。
あまりにも想像を絶するこの『中身』は、
まさにこの映画のキーだからね。
ただ、一つだけ言えば『ホテル・ルワンダ』と同じく、
民族問題が背景に絡んでいる。
その話の凄まじさときたら、
この世に神はいないのか…と呪いたくなるほどだ」
----だとしたら、このタイトルはないんじゃないの?
「まあ、原題にも『secret』は入っているし、確かに間違ってはいない。
でも<秘密>と呼ぶには軽すぎる気がするね。
前半で、彼女の国籍が違うことを気にしないと言った医者に対して、
『私が気にする』と返すハンナ。
ここに、実は全てがあるんだけどね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「これはかなり重いよ」
※フォーンの言う通りだ度
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☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
Foto © Kiko García
※画像はスペイン・オフィシャルより。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。
(原題:The Secret Life of Words)
----こういう地味な感じの映画、えいは苦手でしょ?
「うん。なんとなく想像ついてしまうものね。
過去のある事件が原因で心を閉ざした女性が
新しい出会いによって、徐々に心を開いていく。
と同時に彼女は相手の再生の手助けともなる」
----あらら。やはりそういうお話だったの?
「うん。想像した通り。
ただ、彼女の<過去>が予想を遥かに上回るヘビーなものだった」
----えっ。恋がらみで刃傷沙汰とか、
そういうものじゃないの?
「いや、まったく違うね。
そのパートを受け持つのは
ティム・ロビンス演じる男の方。
ヒロインを演じるのは前作『死ぬまでにしたい10のこと』でも
イサベル・コイシェ監督と組んだサラ・ポーリー。
彼女が演じるのは、
心に受けた深い傷を秘密として封印し、
友だちを作らず、
趣味や遊びも楽しむことなく、
ただ、単純作業を黙々とこなす工場の女性ハンナ。
ある日、働きすぎを理由に工場長から1ヶ月の休暇を取らされた彼女は
長距離バスで見知らぬ町に向かう。
彼女はそこで小耳に挟んだ話から
油田掘削所の事故で重傷を追った男の看護をすることになるが…」
----う~ん。確かにこれも驚きはないなあ。
「まあ。そう言わないで。
周囲から閉ざされた海の中の人工施設と言う不思議な空間。
これが彼女の心理にあっているばかりでなく、
そこで働いている男たちも
ぼくたちが触れる日常とはかなり異なっている。
施設に打ちつける波の数ばかり数えている海洋学者、
その国の音楽をかけながら料理を作るシェフ、
妻子を大事にしている同性愛者…。
それらの視覚的オモシロさも、
またこの映画の中身と密接に絡み合ってくる。
そんな中、彼女は網膜が傷ついて
2週間、目が見えない男ジョゼフの看病をするわけだ」
----それがさっきのティム・ロビンスの役だね?
「うん。自分のことをまったく喋ろうとしないハンナに、
ユーモアを交えながら質問攻めにするジョゼフ。
やがて彼は自分の抱える傷について話し始める。
そしてハンナも…」
----その「中身」は、もちろん言えないよね。
「そう。
あまりにも想像を絶するこの『中身』は、
まさにこの映画のキーだからね。
ただ、一つだけ言えば『ホテル・ルワンダ』と同じく、
民族問題が背景に絡んでいる。
その話の凄まじさときたら、
この世に神はいないのか…と呪いたくなるほどだ」
----だとしたら、このタイトルはないんじゃないの?
「まあ、原題にも『secret』は入っているし、確かに間違ってはいない。
でも<秘密>と呼ぶには軽すぎる気がするね。
前半で、彼女の国籍が違うことを気にしないと言った医者に対して、
『私が気にする』と返すハンナ。
ここに、実は全てがあるんだけどね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「これはかなり重いよ」
※フォーンの言う通りだ度
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Foto © Kiko García
※画像はスペイン・オフィシャルより。
えいさんの記事を読んでいると、観ていたときに感じた胸の痛みが蘇ってきて、何とも言えない気持ちになりました。
これは私の見解なのですが、彼女はあの場所で子供を身篭り、後に流産したことがあるのかなって思いました。
もしそうなら、同じ女として、胸がえぐられるような気持ちになりました。
でも、彼女が“秘密”を語る姿は、瞳はとても美しかったです。
語弊があるかも知れませんが、彼女の秘密は言葉にすること自体、困難なこと。
それを(彼になら…と)語ることを決めた彼女の覚悟が、彼女を美しく見せたとゆうか…。
とにかく彼女を抱きしめたくなりました。
そして「生きてくれてありがとう」と伝えたい衝動にかられました。
深い映画でしたね。
コメントありがとうございました。
同じくネタバレ気味で書きますね。
ぼくが男だからでしょうか、
あの状況で妊娠、流産までは考えませんでしたが、
それでも<友だち>の設定、
そしてナイフ傷に塩が形として映し出されたときには、
「神の不在」と言う言葉を思い出さずにはいられませんでした。
冒頭から流れるナレーション、
あれはおそらく彼女の心の中の言葉なのでしょうが、
それが静かに退場してゆく
あの静謐なラストも深い感慨を味わいました。
もう一人の彼女…つまり彼女に子供がいたのでは?
とゆうのが、私の解釈です。
あぁ、思い出すたびに涙が出そうです。
いま戦慄が走りました。
なるほど、そういう解釈をすれば
<子供を身篭り、後に流産>もありえますね。
貴重なご指摘、ありがとうございました。
それを明かすまでの描き方は秀逸でしたね。
決して重い秘密の衝撃だけではない、人間ドラマにしびれました。
邦題の件はまったくもって同意です。
久しぶりの書き込みです。
昨日、試写室で見てきました。
「まさかこんな!」という過去が暴かれる後半は、
すごい迫力がありますねー。
映画って映像で見せるもので、ふつうだったら
そのシーンは映像で見せるのが映画の定石な
はずなのですが、
それを
全部自分のセリフ(と涙の演技)でやっちゃう
サラ・ポーリー、
彼女を受け止める「場」を作り出せるティム・ロビンスの
演技はすごいと思いました。
この映画は、海の上という閉鎖された非日常的空間が
その「傷」が明かされる場としてとても効果的な役割を果たしていたと思います。
そこで仕事に従事する人々も、
通常の社会生活と自分との折り合いを付けるのが
どこかしら苦手な人たちばかり。
そんな中で静かに明かされる重い「傷」。
やはり「あなたになら」「秘密」というタイトルの持つ「軽さ」は
いまも違和感があります。
コメントありがとうございます。
いま、おうかがいしたのですが、
まだこの映画のレビューはアップされていないようですね。
「癒される」のキーワードがどんな形で出てくるのか、
とても興味あります。
さて、ぼくも「言葉」で語る映画はあまり好きではないのですが、
でもこの映画は「言葉」も映画の一部であることを
改めて教えてくれました。
サラ・ポーリーは
『スウィートヒアアフター』以来、
もっとも印象に残る演技を見せてくれました。
そんな状況下の結果の魂が、今も自分の中で生き続けていると思うとたまらなくなります。
その魂が静かに消えて行こうとする終わり方には希望の光を感じました。
そうですね。
あのオープニングとエンディングの
子供の声は、確かにそのことを意味していますね。
いま、この映画の奥の深さに言葉を失っています。