※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。
「まいったな。
まさか、李相日監督の映画で涙が出るとは思わなかった」
----『69 sixty-nine』のこと、
いつもよく言わなかったものね?
でも、これもあの映画と同じ60年代の映画じゃない?
「うん。日本の基幹産業が石炭から石油に移行し、
大幅な人員削減を余儀なくされた常磐炭鉱がその舞台。
町を救うため、会社側はこの町に“楽園ハワイ”を作ると言う
壮大なプロジェクトを打ち上げる。
もともと、この炭鉱には温泉が湧いていて
それを利用しようと言うわけだ。
そのため東京から元花形ダンサーのダンス教師・平山まどか(松雪泰子)が招かれる。
最初は素人の炭鉱娘たちをバカにしていた彼女も、
少女たちの熱意の中、忘れていた情熱を再燃させる----というお話だ」
----素人女性たちが力を合わせて……
これって『スウィングガールズ』を思い起こさせるけど?
「う~ん。あの映画は正直、
ぼくは×だったね。
ヒロインたちのブラスバンドへのモチベーションが弱く、
そのためラストも
一つのことを達成したと言う爽快感に欠けてた気がする。
でも、この映画にはフラダンスに挑む少女たちの切実な想いがある。
それをやりとげることよって、
自分だけでなく、家族を支え、
さらにはこの町をも再生させようとしているわけだから」
----これって女性たちの物語だよね。
町の再生……それってスゴくない?
「ダンサー志望の少女の一人、
紀美子(蒼井優)の兄・洋二朗(豊川悦司)のセリフに
『女たちは強いなあ』と言うのがある。
確かに、ここに出てくる女性たちはみんな強い。
紀美子の母・千代を演じる富司純子なんて、
『緋牡丹博徒』の<お竜>以降は
上品な日本の女性のイメージが強かったのに、
ここでは大地に足をしっかりとつけて立つ、
男顔負けの豪快な肝っ玉お母ちゃんを演じる。
また、主演の松雪泰子も
生徒のひとり・早苗(徳永えり)に暴力を加えた彼女の父親に抗議するべく、
なんと男湯の中にまで飛び込んでゆく。
この役は彼女にとってもメモリアルなものとなるんじゃないかな」
----蒼井優はどうだったの?
「彼女は今年の賞レースに名乗りを上げたと思う。
ボロボロに泣く役が多い彼女だけど、今回は絶品。
その泣き顔をいつまでも見ていたくなる。
『花とアリス』の記憶を背負ったダンスシーンも圧巻だ」
----俳優の演技以外ではどう?
「この映画の構成って、
節目節目に<別れ>を配置しているんだよね。
最初が紀美子と早苗。
次が同じく生徒の小百合(山崎静代~南海キャンディーズ・しずちゃん)と彼女の父親。
そして教師・まどかと生徒たち。
この3つの<別れ>が実にきっちりと描かれている。
観客の涙を搾り取った上で、
映画は次のドラマへと弾みを付けながら突き進んでゆくんだ。
山本英夫(撮影監督)、種田陽平(美術監督)。
『THE 有頂天ホテル』
コンビによって切り取られたその世界も素晴らしい。
よく<銀残し>の現像法を売りにした映画は多いけど、
ここまで時代再現に生かされた例も希有だ」
----しかしベタ褒めに近くない?
「うん。
後でなぜぼくがそこまで心動かされたのかを考えてみたんだけど、
この映画には<現代>があるんだね。
炭鉱の男たちはリストラされ、
『時代が悪い』と口々に言う。
しかし、女性たちはいつまでも時代のせいにしてもを何も始まらないと、
新たなことに挑戦してゆく。
それは閉塞感漂う今の時代にあって、
一つの力強いメッセージとなっていると思う。
『いつまでも<時代が悪い>と言わず、
そこから抜け出す勇気を持とう』とね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「フォーンも元気出たニャ」
花とアリス 通常版 NND-9
※蒼井優のダンスはいつも泣けます。
※強い女性を見習う度



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鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。
「まいったな。
まさか、李相日監督の映画で涙が出るとは思わなかった」
----『69 sixty-nine』のこと、
いつもよく言わなかったものね?
でも、これもあの映画と同じ60年代の映画じゃない?
「うん。日本の基幹産業が石炭から石油に移行し、
大幅な人員削減を余儀なくされた常磐炭鉱がその舞台。
町を救うため、会社側はこの町に“楽園ハワイ”を作ると言う
壮大なプロジェクトを打ち上げる。
もともと、この炭鉱には温泉が湧いていて
それを利用しようと言うわけだ。
そのため東京から元花形ダンサーのダンス教師・平山まどか(松雪泰子)が招かれる。
最初は素人の炭鉱娘たちをバカにしていた彼女も、
少女たちの熱意の中、忘れていた情熱を再燃させる----というお話だ」
----素人女性たちが力を合わせて……
これって『スウィングガールズ』を思い起こさせるけど?
「う~ん。あの映画は正直、
ぼくは×だったね。
ヒロインたちのブラスバンドへのモチベーションが弱く、
そのためラストも
一つのことを達成したと言う爽快感に欠けてた気がする。
でも、この映画にはフラダンスに挑む少女たちの切実な想いがある。
それをやりとげることよって、
自分だけでなく、家族を支え、
さらにはこの町をも再生させようとしているわけだから」
----これって女性たちの物語だよね。
町の再生……それってスゴくない?
「ダンサー志望の少女の一人、
紀美子(蒼井優)の兄・洋二朗(豊川悦司)のセリフに
『女たちは強いなあ』と言うのがある。
確かに、ここに出てくる女性たちはみんな強い。
紀美子の母・千代を演じる富司純子なんて、
『緋牡丹博徒』の<お竜>以降は
上品な日本の女性のイメージが強かったのに、
ここでは大地に足をしっかりとつけて立つ、
男顔負けの豪快な肝っ玉お母ちゃんを演じる。
また、主演の松雪泰子も
生徒のひとり・早苗(徳永えり)に暴力を加えた彼女の父親に抗議するべく、
なんと男湯の中にまで飛び込んでゆく。
この役は彼女にとってもメモリアルなものとなるんじゃないかな」
----蒼井優はどうだったの?
「彼女は今年の賞レースに名乗りを上げたと思う。
ボロボロに泣く役が多い彼女だけど、今回は絶品。
その泣き顔をいつまでも見ていたくなる。
『花とアリス』の記憶を背負ったダンスシーンも圧巻だ」
----俳優の演技以外ではどう?
「この映画の構成って、
節目節目に<別れ>を配置しているんだよね。
最初が紀美子と早苗。
次が同じく生徒の小百合(山崎静代~南海キャンディーズ・しずちゃん)と彼女の父親。
そして教師・まどかと生徒たち。
この3つの<別れ>が実にきっちりと描かれている。
観客の涙を搾り取った上で、
映画は次のドラマへと弾みを付けながら突き進んでゆくんだ。
山本英夫(撮影監督)、種田陽平(美術監督)。
『THE 有頂天ホテル』
コンビによって切り取られたその世界も素晴らしい。
よく<銀残し>の現像法を売りにした映画は多いけど、
ここまで時代再現に生かされた例も希有だ」
----しかしベタ褒めに近くない?
「うん。
後でなぜぼくがそこまで心動かされたのかを考えてみたんだけど、
この映画には<現代>があるんだね。
炭鉱の男たちはリストラされ、
『時代が悪い』と口々に言う。
しかし、女性たちはいつまでも時代のせいにしてもを何も始まらないと、
新たなことに挑戦してゆく。
それは閉塞感漂う今の時代にあって、
一つの力強いメッセージとなっていると思う。
『いつまでも<時代が悪い>と言わず、
そこから抜け出す勇気を持とう』とね」
(byえいwithフォーン)
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※蒼井優のダンスはいつも泣けます。
※強い女性を見習う度




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話の筋だけをとればありがちなサクセスなのに、なんでここまで泣かされたんでしょうか。
えいサンのおっしゃる、時代性とそれに対する姿勢というのはまさにビンゴですね。全登場人物の生き様が響きました。特に富司純子のクライマックスには、おさまったはずの涙がダダ漏れでした。
泣かされました、この映画には。
『ゆれる』とこの『フラガール』、
描く世界は全く違いますが、
ぼくの心を大きく揺り動かした映画。
今年は、日本映画の当たり年のような気がします。
東京タワーのペナントみたいな映画もやだし、(笑)
といって、目的のなかった子どもたちが
何かを始めてハッピーエンドになるってのも
もう食傷気味だったし。
「ALWAYS」でも「スゥイングガールズ」でもない、
昭和の青春物語は
ようがんばったね、ここまでって
拍手したくなりました。
不幸を時代のせいにしない、
いや置かれた環境を嘆くだけじゃなくって
じゃあどないしたらええねんって
その状況に甘んじることなく
新しいものに目をむけていく。
本来守りにはいるのが女性なんですけど
攻撃は最大の防御というかなんというか
自分から挑んでいく姿はやっぱ
オンナのほうが四の五の言わずにやる分
強いのかもしれませんね。
くじけそうになったとき、
先が見えなくなったとき、
この映画の女性たちを思い出せば
なんとかやっていける-----
そんな気持ちにさせてくれるだけでも、
その映画はとても素敵な役割を果たしたことになるのではないでしょうか。
この時代、こういう前向きな映画を支持したいと
ぼくは思います。
時代の流れのなかでどう生きるかという。
>この3つの<別れ>が実にきっちりと描かれている。
ホントそうですね。
紀美子と早苗の別れでふたりが
「じゃあね」を連発するじゃないですか。
単純な言葉なのに、思いがギッシリ詰まってて泣けました。
また劇場に観に行きたいと思います!
コメントありがとうございます。
いま、この映画を思い出すと
やはり瞼に浮かぶのは蒼井優。
実は今日『虹の女神』を観たのですが、
彼女は別次元の演技をしていました。
常磐ハワイアンセンターとフラダンスというだけで、私にとっては幼い頃の記憶とリンクする題材なんですが、正直これほどしっかり作ってあるとは。
蒼井優は正に才能の爆発でした。
女優開眼というやつですね。
『プリティリーグ』を引き合いに出されていたのを読んで、
さすがノラネコさんと思いました。
蒼井優はいい役をもらいました。
彼女の天才ぶりは『虹の女神』でも
いかんなく発揮されていましたよ。
現状の変化に、なかなか対応しようとしない炭鉱夫たち
しなきゃいけないんだからっと腹をくくって、新しいことに
チャレンジする女達・・・
宮司純子の凛としたおかーちゃんが素敵でした。
今までとはイメージ違いますけどね~
炭鉱の山の遠景とか、冒頭のバスのシーンとか
好きな映像も多くって・・・いきなり今年の邦画1位に
浮上してます(笑)
というか、今年って邦画のほうが、ほんっと当たりが多いですね。
そうなんです。
今年は邦画の当たり年。
『ゆれる』『ラブ☆コン』『フラガール』『夜のピクニック』、
そして最近やたらとここに書いている『虹の女神』。
このあたりがぼくの今年の邦画のベスト5ですね。
一般的にはあと『THE 有頂天ホテル』『嫌われ松子の一生』が入るのかも…。