ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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『その木戸を通って』

2008-10-13 19:09:03 | 新作映画
----市川崑監督の幻の名作?
それって、どういうこと?
「うん。彼の生涯の中で、ただ1本だけ未公開となっていたということらしい」
----でも、もとはテレビ用だよね?
「そう。
これはハイビジョン試験放送のため、
日本初の本格的長編ハイビジョンドラマとして作られたんだ」

----じゃあ、未公開という言い方はおかしいのでは。
市川崑監督はテレビドラマの方も
いくつも作っているんでしょ?
「それはそうなんだけどね。
実はこの作品、
1993年8月に完成した直後、
ヴェネチア国際映画祭ではフィルム上映されているんだ。
今回の劇場上映も35ミリフィルムフォーマットによるものらしいよ」

----それは、確かに観てみたくなるね。
原作は、山本周五郎だっけ?
「そう。
市川崑監督は晩年、
山本周五郎原作を積極的に映画化。
『どら平太』『かあちゃん』なんかがそうだね。
でも、これはそのような殺陣回りが激しい作品でも
市井のドラマでもない。
ある日、主人公・平松平四郎(中井貴一)と
彼の元に、
ふらり現れた記憶喪失の娘ふさ(浅野ゆう子)との出会いと
別れを綴る哀切の物語なんだ」

----ふうん。その“木戸”には
なにか意味があるの?
「ふさは、記憶を喪失しているものの、
ときおり何かに憑かれたように
自分がやってきたときのことを
一点を見つめながら喋ることがある。
『これが、笹の道で、そしてこの向こうに木戸があって……』」

----ぶるっ。
それって少し恐いニャあ。
「うん。ある意味、幽霊譚のようでもあるね。
その幻想性は、市川崑監督にピッタリ。
オープニングのマジカルな映像、
それに続く緑の竹林、銀色に煙る雨、
そして江戸時代の暗い屋敷-----。
改めて彼は光と影の作家だと思ったね。
初めて『悪魔の手毬唄』を観たときの記憶が
脳裏に甦ってきた。
ほんとうにスタイリッシュな作家。
でもその中に、人間の心の機微を織り込むんだよなあ」

----で、35ミリフィルモへのフォーマットってどうだった?
「いや、残念ながらぼくが観たのはハイビジョンマスター。
だから、その感想しか言えないけど、
最初にハイビジョンが登場した頃に
よく言われた
『3Dのようにくっきり』の言葉を思い出したね。
まるで立体映画みたいだ。
これはそのままで観た方がいいような気がしないでもないなあ」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「そうか、今年はふたりの“市川”監督が亡くなったんだニャあ」悲しい

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4 コメント

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素敵な秀作ですね (Kei)
2009-01-14 00:14:37
こんばんは。
昨日やっと見てきました。
もう素晴らしい!昨年見てたらベストテンに入れたかも知れません。関西の公開は遅過ぎる。

>ある意味、幽霊譚のようでもある…
これ、凄くピンと来ました。“木戸”がカギですね。
幽玄な竹林の映像も見事でしたね。
一部地域での限定公開なのが残念です。もっと宣伝して幅広く全国公開して欲しいものです。
■Keiさん (えい)
2009-01-14 23:14:35
こんばんは。

Keiさんは関西にお住まいなのですね。
この映画は、市川崑監督のいいところが
たっぷりと詰まったファン垂涎の作品でした。
出演者も若く、
そこがまた懐かしさをを感じさせてくれました。
こんばんわ (HIROMI)
2009-02-15 23:16:05
叙情的だけど、ぞくっと怖い場面があって、独特の市川ワールドでしたね。
映像がとてもきれいでしたが、暗いなかに浮かび上がる緑がすごく鮮やかで、それも怖かったです。

■HIROMIさん (えい)
2009-02-16 23:55:45
こんばんは。

最近読んだ映画の本で、
この原作を黒澤明監督が映画化する予定があったと知りビックリ。
巨匠好みの題材なのでしょうか?
でも、しっかり市川ワールドになっていました。

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