「ブルース・リーの影響を受けて育った人は、
いまジャッキー・チェンのファンなのだろうか?」
------いきなり、なに言ってるの?
「うん。今日の映画はそこにポイントがあるんだ。
オープニングはなんとブルース・リーの大傑作
『ドラゴン怒りの鉄拳』を主人公たちが観ているところ。
で、話は1978年に飛び、その頃高校2年生だった
主人公の物語が始まる」
------タイトルからすると、すごい甘い青春映画って感じだけど...。
「どうしてどうして、ビターもビター。
原題を直訳すると『マルジュク通り残酷史』となるらしい。
そう、この映画ではマルチュク通りにある男子校に転校してきた主人公が、
暴力と支配の嵐が吹き荒れる中、どのように生きたかが描かれていく。
いわば『コリアン・グラフィティ』」
------暴力は想像つくけど、支配ってのは?
「この時期、韓国は軍事政権下にあった。
学校にも軍が目を見張らせていて、持ち物検査などを始める。
生徒たちは登校時に校門で『忠誠』と敬礼しなくてはならない。
一方、学校では大学への進学率を高めるため、
禁じられている『レベル別クラス』の授業をこっそり行なったりする」
------うわあ。耐えられないなあ。
それじゃあ、生徒たちものびのびできないね。
「ところがところが....。
エロ本を売ってせこく稼ぐヤツや、
キレてボールペンで人の頭を刺す危ない留年生など、
個性的な男たちはいっぱいいる。
そんな中、ブルース・リーに憧れるヒョンス(クォン・サンウ)は
バスケットボールでの活躍が認められ、
クラスの人気者のボス、ウシク(イ・ジョンジン)らと仲良くなる。
そんなふたりがある日、近くの女子校に通う
一つ年上のウンジュ(ハン・ガイン)が不良に絡まれているところを
助けたところから物語は急加速。
ウシクは彼女にアプローチ。
しかし、彼女は以前からヒョンスが憧れていた女性だったんだ」
------なるほどね。でも、それってよくある愛か友情かの話じゃない?
「そう言われると実も蓋もないんだけど、
実はここに、ウシクとライバルのジョンフとの決闘、
ウシクの腰巾着だったのに、ウシクの軽率な行為がきっかけでジョンフ側についた
ハンバーガーことジェンボク、
そして父親が軍の指揮官のためえこひいきされるソンチュンなど、
さまざまなエピソードが絡み合っていく。
そのすべてを語るのは2時間近い映画だから、ここでは無理だな」
------でも、ノスタルジー色は豊かそう。
「うん。ディスコがやたらと出てくるし、
当時の音楽はふんだんに使われている。
さて話を戻すと、ヒョンスはソンジュを好きになる。
でも、彼女は強引なウシクに取られてしまう。
『ぼくが苦労したことをウシクは簡単になしとげた。
ぼくにできたのは彼女に傘を貸すことだけだった』の言葉が痛い。
しかもウシクはヒョンスの目の前でソンジュにキスしてしまうんだ」
------mmmmm
「ところが勉強第一のソンジュは遊んでばかりのウシクを見限る。
ラジオ番組への投稿で互いの気持ちを知った
ヒョンスとソンジュのふたりは列車で湖へ日帰り旅行。
ヒョンスはソンジュにギターを片手にボートの上で歌を歌う。
日本だとこれは60年代の青春映画の感覚かな。
でも、このあたりは胸が詰まるいいシーンだよ。
最近の日本映画じゃ、まず観られないね」
------でもこの映画、あんまり奥が深くないように見えるけど?
「いや、恥ずかしながら、今年いまのところ
最も感情を揺り動かされた映画だったね」
------どういうところが?
「監督のユ・ハはこの映画で
10代の頃自分を悩ませていた『男らしさ』を描く。
ナイーブでおとなしい少年だった監督は
学校で自分が『男らしさ』を日々試されていた気がして
不良仲間の一員として喧嘩に関わったりもしたという。
しかしそれは男性主導の韓国社会のせいで
自分の中に根づいた誤った『男らしさ』じゃないかと言うんだ。
そのような信念に基づいて描かれる映画だけに
屋上で行われるクライマックスの決闘は
そのあまりの激しさに観ていて胸が痛くなるほどだ。
で、その極で主人公ヒョンスが発する一言が
『韓国の学校、クソ食らえ』」
------mmmmm
「70年代が最も豊かな時代と語る監督は、さらに言う。
『学校の外での自分の人生を愛でよ』
彼は長い年月の間に状況が変わったと言うことに疑問を持っている。
画一性はいまだに彼らをむしばんでいると言うんだ。
自分たちの自我を確立させることと、
それをどのように尊重するかと言うことを学ぶのは非常に大切なこと....と」
------なんだか、話がすごい方向に向かってきたな。
主演の人たちについても話してよ。
「ヒョンスを演じるクォン・サンウ。
彼はこの映画を『ぼくの自信作』と言ってるように、
ここではこれ以上ない完璧な演技を見せる。
女性に対して引っ込み思案、純真でナイーヴに見えながら、
そのあどけない顔とは裏腹に肉体は実にたくましい。
この映画はその彼の両面の個性が実によく生かされている。
ソンジュ役ハン・ガインの懐かしさを感じさせる整った顔立ちにも驚いたけど、
残念ながら彼女最近ヨン・ジョンフンと結婚したんだって。
日本ばかりじゃなく、韓国もいい女優は結婚するのが早くなった(泣)」
------それってだれのこと?
「竹○結子」
------なにも伏せ字にする必要ないのでは(笑)
あれっ、ブルース・リーとジャッキーの関係は?
「それは観てのお楽しみ」
------またか。
(byえいwithフォーン)
※青春は苦い度


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いまジャッキー・チェンのファンなのだろうか?」
------いきなり、なに言ってるの?
「うん。今日の映画はそこにポイントがあるんだ。
オープニングはなんとブルース・リーの大傑作
『ドラゴン怒りの鉄拳』を主人公たちが観ているところ。
で、話は1978年に飛び、その頃高校2年生だった
主人公の物語が始まる」
------タイトルからすると、すごい甘い青春映画って感じだけど...。
「どうしてどうして、ビターもビター。
原題を直訳すると『マルジュク通り残酷史』となるらしい。
そう、この映画ではマルチュク通りにある男子校に転校してきた主人公が、
暴力と支配の嵐が吹き荒れる中、どのように生きたかが描かれていく。
いわば『コリアン・グラフィティ』」
------暴力は想像つくけど、支配ってのは?
「この時期、韓国は軍事政権下にあった。
学校にも軍が目を見張らせていて、持ち物検査などを始める。
生徒たちは登校時に校門で『忠誠』と敬礼しなくてはならない。
一方、学校では大学への進学率を高めるため、
禁じられている『レベル別クラス』の授業をこっそり行なったりする」
------うわあ。耐えられないなあ。
それじゃあ、生徒たちものびのびできないね。
「ところがところが....。
エロ本を売ってせこく稼ぐヤツや、
キレてボールペンで人の頭を刺す危ない留年生など、
個性的な男たちはいっぱいいる。
そんな中、ブルース・リーに憧れるヒョンス(クォン・サンウ)は
バスケットボールでの活躍が認められ、
クラスの人気者のボス、ウシク(イ・ジョンジン)らと仲良くなる。
そんなふたりがある日、近くの女子校に通う
一つ年上のウンジュ(ハン・ガイン)が不良に絡まれているところを
助けたところから物語は急加速。
ウシクは彼女にアプローチ。
しかし、彼女は以前からヒョンスが憧れていた女性だったんだ」
------なるほどね。でも、それってよくある愛か友情かの話じゃない?
「そう言われると実も蓋もないんだけど、
実はここに、ウシクとライバルのジョンフとの決闘、
ウシクの腰巾着だったのに、ウシクの軽率な行為がきっかけでジョンフ側についた
ハンバーガーことジェンボク、
そして父親が軍の指揮官のためえこひいきされるソンチュンなど、
さまざまなエピソードが絡み合っていく。
そのすべてを語るのは2時間近い映画だから、ここでは無理だな」
------でも、ノスタルジー色は豊かそう。
「うん。ディスコがやたらと出てくるし、
当時の音楽はふんだんに使われている。
さて話を戻すと、ヒョンスはソンジュを好きになる。
でも、彼女は強引なウシクに取られてしまう。
『ぼくが苦労したことをウシクは簡単になしとげた。
ぼくにできたのは彼女に傘を貸すことだけだった』の言葉が痛い。
しかもウシクはヒョンスの目の前でソンジュにキスしてしまうんだ」
------mmmmm
「ところが勉強第一のソンジュは遊んでばかりのウシクを見限る。
ラジオ番組への投稿で互いの気持ちを知った
ヒョンスとソンジュのふたりは列車で湖へ日帰り旅行。
ヒョンスはソンジュにギターを片手にボートの上で歌を歌う。
日本だとこれは60年代の青春映画の感覚かな。
でも、このあたりは胸が詰まるいいシーンだよ。
最近の日本映画じゃ、まず観られないね」
------でもこの映画、あんまり奥が深くないように見えるけど?
「いや、恥ずかしながら、今年いまのところ
最も感情を揺り動かされた映画だったね」
------どういうところが?
「監督のユ・ハはこの映画で
10代の頃自分を悩ませていた『男らしさ』を描く。
ナイーブでおとなしい少年だった監督は
学校で自分が『男らしさ』を日々試されていた気がして
不良仲間の一員として喧嘩に関わったりもしたという。
しかしそれは男性主導の韓国社会のせいで
自分の中に根づいた誤った『男らしさ』じゃないかと言うんだ。
そのような信念に基づいて描かれる映画だけに
屋上で行われるクライマックスの決闘は
そのあまりの激しさに観ていて胸が痛くなるほどだ。
で、その極で主人公ヒョンスが発する一言が
『韓国の学校、クソ食らえ』」
------mmmmm
「70年代が最も豊かな時代と語る監督は、さらに言う。
『学校の外での自分の人生を愛でよ』
彼は長い年月の間に状況が変わったと言うことに疑問を持っている。
画一性はいまだに彼らをむしばんでいると言うんだ。
自分たちの自我を確立させることと、
それをどのように尊重するかと言うことを学ぶのは非常に大切なこと....と」
------なんだか、話がすごい方向に向かってきたな。
主演の人たちについても話してよ。
「ヒョンスを演じるクォン・サンウ。
彼はこの映画を『ぼくの自信作』と言ってるように、
ここではこれ以上ない完璧な演技を見せる。
女性に対して引っ込み思案、純真でナイーヴに見えながら、
そのあどけない顔とは裏腹に肉体は実にたくましい。
この映画はその彼の両面の個性が実によく生かされている。
ソンジュ役ハン・ガインの懐かしさを感じさせる整った顔立ちにも驚いたけど、
残念ながら彼女最近ヨン・ジョンフンと結婚したんだって。
日本ばかりじゃなく、韓国もいい女優は結婚するのが早くなった(泣)」
------それってだれのこと?
「竹○結子」
------なにも伏せ字にする必要ないのでは(笑)
あれっ、ブルース・リーとジャッキーの関係は?
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クォン・サンウは火山高、同い年の家庭教師、ひとまず走れと高校生役を何度もこなしていますが、このマルチュクでの高校生役がぴか一と聞いていますので、公開が楽しみです。
こんばんは。
チラシによると、
「クォン・サンウが唯一認めた『これが僕の自信作』!」だそうです。
ほかにも、いろんなインタビューで同趣旨の答をしているので
期待していいかと思います。
でも、宣伝抜きでほんとうにいいですよ。
しかし、この映画でもサンウの肉体美は、凄いですね。
あんな腹筋自分にもあれば・・と思いますが。
あったところで、何に使えるのかは疑問デス。
また、トラバーしまーす。
あの顔からは、とても想像がつかない肉体!?
プレスでは、表4がブルース・リーのポーズを決めている
クォン・サンウでした。
ほろ苦さの残る作品でした。
コメントありがとうございます。
あの再会シーンは胸が詰まりました。
これは男の映画ですよね。
せつなかったなあ~。
韓流ブーム以来、いわゆるスター主演の映画には最初から☆一つ分減らして見るようなイヤな癖がついています(苦笑)
確かにこの映画は男性の映画という気がします。
私はひたすら70年代の懐かしさに浸り、韓国高校事情を楽しんでおりました。
ぼくもベタな恋愛系の韓国映画は苦手ですが、
この作品や『殺人の追憶』のような
ハードな作品は好きです。
クォン・サンウもいい味出していると思います。
ところで、ハン・ガイン結婚しちゃったんですか。フーン。
コメントありがとうございます。
そうですよね。
携帯電話は、映画の中の世界(特に男女の愛)を全く変えてしまいました。
ハン・ガイン、こういう顔には弱いです(笑)。