ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『Ricky リッキー』(フランソワ・オゾン監督)

2010-11-09 22:41:06 | 新作映画


(原題:Ricky)


----これって、
フランソワ・オゾン監督の映画だよね。
翼の生えた赤ちゃんなんて、
あんまりこの監督のイメージじゃない気がするけど…。
「いやあ。結論から言うと、
これが一筋縄ではいかない。
よくここまでやるなっていうくらいシニカル。
普通、赤ちゃんに翼――とくると、
天使のイメージだよね。
ところがこの赤ちゃんの翼は
やたら生々しい。
鳥と同じで最初はむきだし。
羽毛がないんだ」

----それはちょっと不気味かも。
「しかも、どこまでが特撮なのか、
空を飛んだ赤ちゃんが、
なんどか壁にゴツン。
思わず笑ってしまうけど、
よくよく考えると、とてもヒドイ話。
おそらく、特撮でそう見せているだけで
実際にはぶつけてはいないんだろうけど、
観る者にそう思わせ、
現実に引き戻す、変な要素がこの映画にはある」

----ニャるほど。そういうことか…。
「じゃあ、そろそろ物語を話そうかな。
カティは郊外の団地で7歳の娘リザと暮らすシングルマザー。
ある日、彼女はスペイン人で新入りの工員パコと恋に落ち、
やがて赤ちゃんリッキーが生まれる。
ところが、仕事に疲れたふたりはいつも喧嘩続き。
そんな中、リッキーの背中にあざみたいなものが…。
パコが赤ちゃんをぶつけたのではないかという
カティの言葉がきっかけで彼は家を飛び出してしまう。
そんな中、リッキーの背中に翼が…。
やがてそれはニュースとなり、
吸い寄せられるかのようにパコも戻ってくる」

----めでたしめでたし。
「じゃ、ないんだな。
ここから、話はあちこちに広がっていく。
と、その描き方がいかにもフランソワ・オゾンなんだけどね。
ここはパコを演じたセルジ・ロペスの言葉を引用してみよう。
『不幸が存在しない安っぽい美しい話には、
全く中身がないと思うんですよ。
“人生に喜びを”という哲学には賛成するけど、
苦しみのない喜びなどありませんから』。
これって、それこそフランソワ・オゾンの映画そのものって気がする」

----監督の意図するところと一致しているわけだね。
「彼は、またこうも言う。
『みんなリッキーを天使に仕立てるのかもしれないけど、
フランソワはそういう象徴にしていないんです。
(中略)リッキーは天使でもあり怪物でもあるんですよ』。
まさに、そのとおりで、
彼はこの家族の望みを裏切るようなことばかりする。
翼で好きに飛び回っちゃうんだね。
で、カティとリザは
リッキーがベビーベッドから飛び出さないように
屋根を付けるんだけど、
それが虫籠みたいに見えちゃう」

----ほんとブラックだ。
「でもね。
このラスト近くに
とても美しいシーンがある。
ぼくは、フランソワ・オゾンはこのワンショットを撮るために、
この映画を撮ったんじゃないかと思ったほど。
ほんとうは、そこのところに触れたいんだけど…」

----でも、“これは観てのお楽しみ”ってわけだね。



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「赤ちゃんに、演技付けたらしいのニャ」なにこれ?

※まあ、とにかく変わった映画だ度

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