ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ザ・タウン』(ベン・アフレック監督・主演)

2010-11-03 17:55:23 | 新作映画
(原題:The Town)



「う~む。
噂には聞いていたけど、ここまでオモシロい映画とは…」

----えっ、珍しいニャ。
“オモシロい”という言葉を使うのって…。
「うん。とにかくよくできているんだ。
お話としては、犯罪の温床のような“町”に生まれ育った男が、
ある女性と知り合ったことで、
その“町”から出て、新しい自分に生まれ変わろうとするという、
どこかで聞いたことがないでもないような話なんだけど、
設定、キャスティング、映像の一つひとつに、
意匠が凝らされていて、最後まで
目がスクリーンに釘づけになってしまう」

----ということは、今日のお話は
この映画ならではの特徴だね。
「そういうこと。
まず設定から話そう。
舞台はチャールズタウンという、
マサチューセッツ州ボストンにある町。
そこは同じ広さの世界のどの一角よりも多い
銀行強盗、現金輸送車強盗を生みだしている。
タウンには、かつて凶悪犯罪者用の最重要警備刑務所があり、
家族の誰かが刑務所に入ると、家族はそこへ移転。
かくして刑務所を中心にコミュニティができ、
銀行強盗も父から息子へと受け継がれていったという。
映画は、そんな結束の固いコミュニティの中、
強い絆で結ばれた男たち4人の友情と犯罪、そして
主人公ダグの恋を軸に描いていく。
で、ここが他の映画と一線を画するんだけど、
一見、青春アウトローもののようなノリで描きながら、
彼らの犯罪は、プロフェッショナルそのもの。
たとえば、冒頭に描かれる銀行強盗では
指紋はおろかDNAひとつ残さないように、
犯罪後に漂白剤を撒いていく。
これはまた別の犯罪のときだけど、警備員の家族構成まで調べ上げ、
それを知っていることを口にすることで、
自分たちの要求に応じないと
家族に危険が及ぶぞという脅しをかける」

----それはたまらないニャあ。
「さて、ところが
仲間のひとり、ジェムが
その日の銀行強盗で無音警報発令に焦り、
副支店長に暴行を働いたばかりか
女性支店長の女性クレアを人質に取ったことから
彼らの中に亀裂が生じてくる。
逃走に成功した4人だったが、
奪った免許証から彼女がタウンの住民だと知ったジェムは、
クレアの口を封じようとする。
殺人は絶対に犯したくないと考えるダグは、
彼女が何を見たか探る役を買って出るが…」

----ニャるほど。
そこでクレアとダグの間に恋が芽生える…。
「まあ、
それは想像つくよね。
さて、実はクレアは犯人のひとり、ジェムのうなじに
ある刺青があるのを見ていた。
そのことをダグに言ってしまったものだから…」

----うわあ。大変だ。
もし、ダグと一緒のところにジェムが現れたら…。
「うん。
このサスペンスがひとつの見どころ。
一方、彼らの犯罪に目を付けたのがFBI特別捜査官フローリー。
彼は、クレアとダグの関係について知るや、
ダグが彼女の銀行を襲った襲撃犯であることを告げる。
そうとは知らず、
クレアと一緒にこのタウンを出ようという思いでいっぱいのダグ。
ところが、そんな彼に、
強盗グループの黒幕である花屋のファーギーが
次の仕事、スタジアム襲撃を受けなければ
クレアに危害を加えるぞと脅しをかける。
さあ、ここからが怒涛の展開。
アクション・シーンもふんだんに、見せ場に次ぐ見せ場の連続。
それまでにも、
骸骨のマスクやシスターの服装に仮面での襲撃という、
ショッキング・ビジュアルを見せてくれたこの映画、
クライマックスでは圧倒的な数の警官やFBIに囲まれた中から、
果たして脱出なるか?を
息も止まらぬ演出で見せてくれる。


と、襲撃の話を中心に喋ったけど、
ほかにも見どころはいっぱい。
警察はクレアを囮にダグをおびき寄せようとする。
ダグが襲撃犯という真実を知ったクレアは
果たして彼との関係にどういう決断を下すか?」

----ふ~む。これは観たくなるニャあ。
ところでキャスティングの方は?



ベン・アフレックが主人公ダグも兼ねて監督。
ジェムには『ハート・ロッカー』ジェレミー・レナー
個人的には『ハート・ロッカー』での彼よりもこちらの方が印象に残る。
タウンを出ていこうとするダグの前に立ちふさがる、
いわば嫌われ役だけど、
そういう生き方しかできない男の、奥に秘めた諦め。
それを自爆覚悟で周囲に暴発させる姿が哀れを誘う。
根底にはダグへの友情があるだけに、憎みきれないんだ。
このジェレミー・レナーは本年度の賞レースで助演男優賞候補に
あげられるんじゃないかな。
クレア役のレベッカ・ホール
絶世の美女という感じじゃないところがいい。
普通にキャリアを重ねていたのに、
思わぬ事件に巻き込まれ、トラウマが残ってしまった。
そんな女支店長役を
役を作っているという感じでなく自然に演じている。
役を作っていないと言えば
花屋のファーギ―を演じたピート・ポスルスウェイト
彼のフィルモグラフィでも、ここまでの“悪”はなかったんじゃないかな。
バラの棘を処理しながらの会話に凄味が漂う。
ジョン・ハムも昔からの FBI捜査官のイメージ。
正義は俺が守るって感じだね。
そうそう、ワンシーンしか出ないけど、
こちらもまた存在感たっぷりなのが
クリス・クーパー
ダグの父親役で刑務所の面会室に囚人用の赤い服を着て現れる。
その彼とファーギーの関係が分かったとき、
ぼくは昨日喋った『モンガに散る』が頭に浮かんだな」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「2月の公開が待ち遠しいのニャ」気持ちいいニャ

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