ロボットを作る上で欠かせない要素であるモータドライバですが、自分で組もうとするとデッドタイムやら基板サイズやら色々と考える事が多く、いざ組み上げたとしても動かないだけならまだしも周辺の部品を巻き添えにして昇天することもしばしば。そこでワンチップで使えるモータドライバICを探すことになるのですが、耐圧や電流などの制約が多く、希望通りの性能のチップを見つけるのが大変です。そして条件を満足するチップが見つかっても、個人市場に出回っているチップは限られており、入手できるとは限りません。ということで、日頃から使いやすそうなモータドライバを見つけては試しています。今回はその辺の話を書いていきたいと思います。
入手しやすいモータドライバといえば東芝セミコンダクターのTA7291やTA8440があります。これらは大抵の電子部品屋で取り扱っているので入手性は高いのですが、Hブリッジがトランジスタで組まれており、ドライバ内部での電圧降下や消費が無視できません。それにPWM入力を考慮していない物が多く、PWM入力端子を持つ数少ない素子であるTA8440は残念ながら生産中止になったようです。簡単な制御しかしない用途であれば扱いやすい素子だと思います。
大電流を流す用途では、TB6549が使いやすいと思います。この素子はDIP16ピンで、周辺回路としていくつかのコンデンサを取り付けるだけで最大4.5Aまで流せます。動作電圧範囲は10~27Vとなっていますが、7V程度でも動くようです。またHブリッジがFETで構成されていてPWM入力に対応しているため、高い応答性や制御性が必要な用途にも向いています。通販サイトだと
樫木総業株式会社が比較的安く扱っており、またここはメール便での配送もしてくれるので、面倒な荷物の受け取りを省く事ができます。
さて、色々と紹介してきましたが、ここまで出てきたICでは小型のロボットを動かしたい時に少し困ります。TAシリーズは制御性が悪く、TB6549は動作電圧やそのDIP16ピンという大きさが小型モータにはやや厳しいです。FETで構成されるDIP8ピン程度の小型のモータドライバがあると非常に嬉しいのですが、これがなかなか見つかりません。少し手間をかけて良いのであれば、例えばDigi-Keyで購入できるTB6552は1素子で2つのモータを駆動できるため、小型モータを駆動したい時は非常に嬉しい素子です。また最近は秋月がBD6231等の小型のモータドライバを安価で扱い始め、入手性も良くなってきています。ただ、これらの素子は面実装タイプであり、気軽に使えるかというと疑問が残ります。
何かDIPタイプで小型モータを駆動するのに向いている素子は無いものかと探していたところ、Digi-KeyでTB6561に目が留まりました。これは24ピンではあるものの、1素子でモータを2つ駆動できるため、比較的小型ロボットに向いているのでは無いかと思い、早速購入してみました。で、届いた部品を見て何か違和感を感じました。とりあえずブレッドボードで試そうとしたところ、その違和感の正体に気付きました。なんと、TB6561はSDIPという1.778mmピッチの素子だったのです。せっかく気軽に扱えるDIPの素子を見つけたと思ったのに、とんだ失敗でした。しかし、実は以前にも似たようなミスをしてまして、対処法は知っています。なんと、この1.778mmピッチの素子は、斜めにすることでハーフピッチ基板にささるのです!
はい、結局何の解決にもなってないですね。ああ、ままならん。どなたか、おすすめのモータドライバを教えてくださると嬉しいです。