Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

国公立大学病院ICUで働くナースのみなさん、血液ガスの採取しませんか?

2022年05月14日 | ひとりごと
2015年3月から、JIPADの業務で各地のICUを訪問している。北海道から沖縄まで、合計79回、83のICUを見てきた。主な訪問の目的はデータ収集をより効率的かつ正確に行う方法を助言すること。そのためには、ICU内の業務分担を把握する必要があって、それこそ医師の勤務表も見せてもらったりしている。

訪問するたびに新しい発見がある。「いやー、これは初めて見ました」って毎回言っている気がする。
でも、パターン化できるところもたくさんある。その一つが血液ガスの採取者。
訪問の内容をメモに残しているので、それを全部確認してみた。採取者について記載があった70くらいの施設のうち、ナースが血液ガス採取をしない(医者的には”してくれない”)施設は12あった。
正確には数えていないけど、病院の種類別にすると、だいたいこんな感じ。

ナースが血液ガスを採取しないことになっている割合。
国公立大学病院:40%
私立大学病院:0%
PICU:50%
その他の病院:5%以下

綺麗なパターンが見える。ナースが採らないのは国公立大学とPICU。
全体的にはマイノリティで、「ついX年前からナースが採ってくれるようになったんですよー」という会話をいくつかの国公立大学病院でしたので、減少傾向のようだ。

PICUは専門外なので分からないけど、少なくとも成人ICUにおいてナースが血液ガスを採取しないメリットって、なにかあるのだろうか。
距離的にも時間的にも、患者さんに一番近いところにいる人が、患者さんの変化に応じて血液ガスの採取の判断をした方が患者さんのためになる気がするし、一人で二人を担当する方が十人を担当するよりも能率的だし。自分で判断して行動して、その結果を評価する方が楽しそうだし、勉強にもなるはず。

まとめると、
・ナースが血液ガスを採らない施設はマイノリティ
・その数は減少傾向
・採取した方が患者さんのためになる
・ICUで働く医療者としての技量向上につながる
のでは。

考え直してみませんか?
コメント
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