以下にジャンボさんからのご質問をコピー&ペーストさせていただきました。
『今週の週刊マガジンの「Dr・テル」という漫画で寝違いの話題をしていました。
寝違いは横になって寝ることで腋窩神経が圧迫されて起こるという説明で、腕を動かす3通りの運動でかなり楽にすることができるというものでした。
寝違いは他にも原因があると思いますが、腋窩神経の圧迫によって起こ寝違いは、臨床上だと何割くらいの人に起こっていると感じますか?』
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この文章の中に出てくる腋窩神経というのは、その名前の通り腋の下の窪みにある神経です。首の骨の間から出ている神経(頚神経と言います)がありますが、腋窩神経の元を辿ればここに行き着きます。つまり首から伸びている神経の枝分かれした神経の一つです。
腋窩神経の機能は、主に二つあります。それらは、
- 肩にある筋肉の運動機能
- 肩外側の知覚機能
上記の二つです。
さて次に寝違えですが、これは『ぎっくり腰』同様、その原因はさまざま考えられます。
しかし一般的には、筋骨格系に起因していると考えるのがわかりやすいと思います。ぼく自身もその仮定に基づいて治療を行いますし、それで症状の改善も見られます。
筋骨格系で問題となる具体的構造としては、以下のような可能性があります。
- 頚椎のサブラクゼーション(首の骨の関節におけるズレ)
- 頚部~肩関節周辺にある軟部組織の機能異常(筋肉の萎縮や硬縮、癒着など)
軟部組織の具体例には、肩甲挙筋や胸鎖乳突筋、斜角筋などが挙げられます。
また腋窩神経のお話に戻ります。腋窩神経の機能を考慮した場合、上記の頚椎のサブラクゼーションや軟部組織の機能異常の直接的な要因とは考えにくいですね(あくまでも解剖学的に)。
ですから、このような指摘は非科学的と言わざるを得ません。しかしそこは人間の体。例外なんていくらでも考えられますし、科学的に説明できないことの方が多いくらいです。
ぼく自身は腋窩神経が原因構造であると仮定して、寝違えの治療を行ったことは、未だかつて一度もありません。そのような指摘をしている専門書も今まで一度も読んだことがありません。
ですからジャンボさんの質問(最後の段落)に対する回答を持っていないというのが正直なところです。本当に申し訳ありません。
ただ言えることは、頚椎と肩関節は運動学的に、非常に密接に関わりあっており、肩関節の運動障害が頚椎の運動障害(機能障害)に影響を及ぼす可能性は十分にあり得るということです(逆のことが多いと思いますけど)。ただしこれと腋窩神経との関わりについては、明確にお答えできかねます。
今度、寝違えの患者さんが来られたら、腋窩神経のこのお話を思い出してみます。
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僕も寝違いの人を腋窩神経に着目して診たことが無いものですから、もしかしてDr.Sさんだったらそんな着眼点で治療してる方もいるのかな?と思って質問させて頂きました。
記事を読んで、科学的な出来事と非科学的な出来事、その両方とも否定しない回答にとても納得できます。
今まで通り科学的な考察を重視しながら、非科学的な視野も失わない柔軟性も大事にしていきたいと思います。
やはり固定観念が、進歩の妨げになるのは明らかですから、あまり常識ばかりに囚われていると見失ってしまうこともたくさん出てきますよね。
ただ何の科学的根拠もないことを鵜呑みにするのは、まさに“妄信”であり、新興宗教に洗脳されてしまうのと同じです。
常に疑念の気持ちを持ちつつ、科学的なもの以外にも寛容に受け入れられるような柔軟な脳みそにしておかなければなりませんね。
まさしく『柔よく剛を制す』です。
Dr.S