真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「寸止めスナック めす酒場」(2017/制作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/脚本・監督:関根和美/撮影監督:創優和/助監督:加藤義一/編集:有馬潜/監督助手:小関裕次郎/撮影助手:加藤育/録音:シネキャビン/スチール:本田あきら/選曲:山田案山子/仕上げ:東映ラボ・テック/効果:東京スクリーンサービス/協力:広瀬寛巳・SHIN・周磨要・生方哲・東京JOE/出演:江波りゅう・玉城マイ・あやね遥菜・泉正太郎・津田篤・山本宗介・鎌田一利・なかみつせいじ)。
 団地外景で開巻、日曜の朝。藪蛇に新聞紙に囲まれ寝こけるフリールポライターの池山正樹(なかみつ)が、二人暮らしの娘・はるか(玉城)に叩き起こされる。正樹の妻にしてはるかの母は、既に故人、遺影も登場しない。はるかに男が出来たらしき話題でああだかうだホームドラマした上で、再びアングル変へた団地外景にタイトル・イン。画面のルックが何時もと違へて見えたのは、撮影今回創優和だつたんだ。スチールが小櫃亘弘でなく、本あきなのもその影響なのかな。
 正樹が出入りする、荒波出版。入社六年、『週刊旅の宿』から『盛り場スクープ』に自ら志願の上転属された近藤潤(泉)が発案した、「噂の美人ママ特集」なるぼんやりした企画に正樹は参加することに。近藤が当たりをつけた店はことごとく大外れ、泥酔した近藤を抱へ頭も抱へた正樹は、その場の直感で池島ゆたか映画で御馴染の、パブ「ステージ・ドアー」の敷居を跨いでみる。正樹はママ・沢田萌(江波)の濃厚な色香が一撃で琴線に触れ、近藤もホステスの篠崎佑夏(あやね)に喰ひつく。取材がてら何だかんだとステージ・ドアーに通ひ始めた正樹に、萌は閉店しようと戸締りしてゐると、パーカのフードをヒッ被つた山本宗介に待ち伏せされてゐるとの相談を持ちかける。ところで津田篤が、件の娘に出来た男こと、大蔵商事に就職し営業部に配属された、はるかの教育係・横山渉。研修対象の新入社員に手をつけサクサク寿退社させる外道、ラストで明らかとなる岡山転勤は、もしかすると懲罰の島流しか。
 配役残り、とはいへ山本宗介だけでなく鎌田一利にもネタバレせずには触れられないゆゑ正規俳優部は通り過ぎるとして、協力部は、ステージ・ドアー客要員、の筈。尤も暗めの画に厳しさが否めない我等が前田有楽の映写では、カウンター手前から抜いた奥のボックス席は闇に沈み殆ど見えず、カウンター席でも横顔を明確に見切れたのは、SHIN・周磨要・東京JOE(a.k.a.大池潤)のみ。
 前作では場外ファールで自分の車を破壊した、NSP“ニュー・関根和美's・ピンク”2017年第一作。なかみつせいじがステージ・ドアーでママの相談に乗るとなると、関根組ステド前作「和服女将の乱れ髪」(2013/主演:波多野結衣)が脊髄で折り返して脳裏に浮かぶ既視感は否応ない。正樹とはるかの父娘の物語に、女の裸の物理的総量も犠牲に尺を費やす点は今作の特徴ともいへ、はるかと横山の即席かつ直線的極まりない色恋沙汰に、捻りなり膨らみがある訳でも別にない。山宗の正体絡みで終盤火を噴く、木に軌道エレベーターを接ぐ出し抜けな魔展開は関根和美ある意味一流の底の抜けた破壊力を爆発させつつ、結局寄付する形で右から左へと華麗にスルーしてしまつては、何のための大風呂敷を通り越した超巨大風呂敷かといふ話である。寧ろ魔展開を裏返してゼロにする凄まじいクロスカウンターにこそ、関根和美が関根和美たる所以を見出すべきなのかも知れない。なかみつせいじは所々でピンの渋い画を抜いて貰へる反面、素材自体は結構な逸材にも思へるのだが、加藤義一2015年第三作「絶頂家族 愛人だらけ」(脚本:後藤大輔/主演:めぐり)、関根組前作に続きピンク三戦目の玉城マイは、役かお話に恵まれず今回も残念ながら初日は出ず。山宗はクッソ男前、無駄に男前。そんな中一際目を引いたのは、工藤雅典のデジエク第三弾「連れ込み妻 夫よりも…激しく、淫靡に。」(2014)以来の電撃大蔵上陸で、ピンク第二戦となる江波りゅう。この人こんなムンッムンに色気あつたかなと目を見張つたのは、単に積み重ねた歳月によるところなのか、あるいは終にエクセスの屋台骨になり損ねた工藤雅典と、それはそれで歴戦の関根和美とのそれなりに歴然とした地力の差なのか。
 山宗の正体< 高校時代労務者(鎌田)に強姦された萌は、財閥を所有する旧華族のタカノ家を事実上放逐。山宗は余命三ヶ月のタカノ家当主に雇はれ、唯一の遺産相続人たる萌を捜す探偵・山﨑照義   >三百億w


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