真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「爆乳フェロモン いやらしい感度」(2001『愛人・夢野まりあ 私、激しいのが好きなの』の2010年旧作改題版/製作:《株》ルーフ/提供:Xces Film/監督・脚本:長崎みなみ/企画:稲山悌二《エクセスフィルム》/撮影:アライタケシ/照明:山本オーロラ/編集:酒井正次/助監督:高田宝重/制作:内ノ倉直美/監督助手:永井卓爾/メイク:小川純子・西澤清子・鈴木健資/撮影助手:田淵和春/選曲:フィスミュージック/エンディング曲:さやか『DESTINY』/録音:シネキャビン/現像:東映化学/協力:フレンドシップカンパニー・フリコトゥール・黒ぢょか・シャルマン・《有》ウリ/出演:夢野まりあ・浅井まどか・秋川典子・中谷茂朗・法福法彦・宮崎博之・伊藤順一、他六名/特別出演:鈴木隆二郎・青木ゆきの/友情出演:けーすけ・橋本賢治)。照明助手その他チョコチョコ拾ひ零す。
 マリア(夢野)は会社社長(伊藤)の愛人として、何不自由ない暮らしを送つてゐる。開巻の一絡みを通過して、取り巻き連中に囲まれた高級レストランでの会食。伊藤社長(仮称)は最盛期には十六人、現在も総勢八人の愛人を抱へしかも本妻(青木)と愛人達が皆仲がいいだなどと、途方もなく底の抜けたガッハッハ自慢を披露する。けーすけと橋本賢治は、幾らか台詞も与へられる取り巻きAとBで、他六名も、ここでの見切れ要員。一方、シゲさん(鈴木)が店長のリサイクル・ショップ「フレンドシップカンパニー」で働くヒロト(中谷)に、同郷のシズカ(浅井)とショウタ(宮崎)が声をかける。仕事終りにヒロトと飲みに行くつもりだつたシゲさんは、結局四人で居酒屋「黒ぢょか」に。実は駆け落ちして来たことを告白したシズカとショウタは、ヒロトと、同じく同級生であつたマリアとの交際についても尋ねる。察しの通りマリアは伊藤社長の下に走り、散発的に短い連絡ならばなくもないものの、二人の関係は事実上終つてゐた。愛人生活に疲れ、足抜けしてスナックを始めたアサコ(秋川)の姿にマリアが動揺を覚えつつ、ある日マリアの腹上で伊藤社長は昏倒する。配役残り、散発的かつ僅かな出番でそれなりの存在感を披露する法福法彦は、伊藤社長の寡黙な運転手・北川。
 女流AV監督として名を馳せる―馳せた?―長崎みなみの、最初で最後のピンク進出作ではあるのだが。今作、これ最終的には、貧しい彼氏を袖に社長愛人の座に納まり裕福な生活を謳歌してゐた女が、パパさんが倒れ愛人業を廃業した途端に捨てた男とヨリを戻さうとするだなどといふ、都合のいいことこの上ないゴミみたいなお話である。要は、陵辱され初めは必死に抵抗してゐた女が、やがてアヒンアヒンよがり始め遂には自ら腰を使ひ気を遣る、やうな自堕落なシークエンスを男が撮る―珠瑠美は女でもやらかすが―のと、同等な罪を長崎みなみが犯したに過ぎまい。そんな憤懣やるかたない物語を、頓珍漢な台詞の数々が飾らずに火に油を注ぐ。オープンした店の狭さに正直目を丸くするマリアに対し、アサコは「ここが、アタシの居場所なんだ・・・・」、「居場所?」、「アタシの、居るべき場所」。何だそれ、外国人か子供相手に日本語を教へてゐるのかよ。北川から数百万の手切れ金を手渡されたマリアは、ゲームオーバーだレベルUPしたかなだなどと勿体つけた物言ひを振り回してもみせるが、愛人生活をゲームに仮託した事前の積み上げは、それまでには特にない。出し抜けにマリアがそんな明後日を言ひ出しては、それは北川も意味もなく微笑してみせるほかなからう。といふか、あの場合正しい演出としては、寧ろ北川が浮かべるのは苦笑ではなからうか。一応の、当然締まらないが締めの濡れ場への導入も酷い。図々しくも元カレにこの期に助けを求める電話をかけたマリアは、ヒロトが駆けつけると「迎へに来て呉れたの?」。お前が来いつて電話して来たんだろ!腹立たしい一作の中、マッシブな白土勝功といつた風情の中谷茂朗(現:南佳也)は兎も角、同じくAV男優であらう宮崎博之はギャースカギャースカ騒がしいばかりの腐れ茶髪でまるで銀幕には堪へられず、殊に最後の伊藤社長の対マリア戦に際しては、幾ら直近の伏線にしても夢野まりあの喘ぎ声より、伊藤順一の呻き声の方がやかましいといふ点は根本的に間違つてゐる。山本オーロラとかいふ如何にも変名臭い名義の正体は全く以て不明ながら、撮影と照明は形になつてゐるだけに観流して観流せない訳でもないのだが、一歩でも真面目に鑑賞を試みてしまつたならば、てんで話にならない木端微塵である。夢野まりあファンの諸兄にしかお薦め致しかねる、と斬つて捨てたいところではあつたのだが、アサコ役の秋川典子も、美人年増として完璧に素晴らしい。

 ある意味、といふか別の意味で律儀ともいへるのか、止めを刺すべくラスト・シーンも画期的に間抜けてゐる。河原にて、青木ゆきのが押す車椅子に乗せられた伊藤社長と、少し離れた場所の同級生四人で戯れるマリアとが交錯する、といふシークエンス。六人をフレームの中に収めたオーラスのロング・ショットでは、直前のカットと車椅子の位置が川に向かつてマリアらを基点にすると右から左に、進行方向からすれば前から後ろへと瞬間移動してしまつてゐる、寝ながら撮つてゐたのか?


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