真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「十八歳・のぞいて開く」(1996/製作・配給:大蔵映画/監督:小林悟/脚本:如月吹雪/撮影:柳田友貴/照明:真崎良人/編集:フィルム・クラフト/助監督:佐藤吏/スチール:佐藤初太郎/タイトル:ハセガワ・プロ/録音:シネキャビン/現像:東映科学《株》/出演:河原めぐみ・青井みずき・桃井良子・残間ゆう子・坂入正三・芳田正三・志良玉弾吾・白都翔一)。初めて見た芳田正浩の芳田正三名義は、恐らく、あるいはどうせサカショーに引き摺られた単なる誤植にさうゐない。
 麗しき七色王冠開巻、一人娘で高校三年生の森ひなこ(河原)が、父・一郎(坂入)が再婚した両親の寝室を覗く。残間ゆう子が、未だひなこが母とは認めてゐない後妻の信子。残間ゆう子と坂入正三による、コッテリとした濡れ場。無闇に揺れるカメラも兎も角、合はせる気のサラッサラ窺へないリップシンクが清々しい。ヤリ遂げた上で校舎外景、ひなこの担任・西岡(白都)のスパルタ補習。“このクラスの平均点を著しく下げた貴様等”と痛罵される対象者は、教科書よりも鏡を見てばかりのコウダ真美(青井)に、留年生活幾星霜の池田篤(志良玉)。見覚えがウッスラなくもない志良玉弾吾(非佐藤吏)が、何者の変名であるのかには辿り着けず。そして、パパを困らせたいだとか子供じみた理由で、答案用紙を白紙で提出したひなこ。無防備に下衆い西岡を適当に言ひ包めたひなこを、皆で「やつたね!」と讃へてタイトル・イン。ここで久々につき改めて整理すると、青井みずきといふのは、子役時代に戻したらしい相沢知美(1997~/a.k.a.会澤ともみ)の裸稼業デビュー時名義。jmdbには今作以降の記述しかないものの、池島ゆたか1995年薔薇族込みで第四作「色情女子便所 したたる!」(脚本:岡輝男/主演:柚子かおる=泉由紀子)の存在が、少なくとも確認出来てゐる。一目見ると誰でも相沢知美と判るほど顔は完全に出来上がつてゐる反面、首から下は未成熟色濃くガリガリ。所々尻が青いのが、それは痣か何かなのか、まさかの蒙古斑なのか。
 配役残り、豪華にも純然たる絡み要員の桃井良子は、ひなこ・真美・篤が廊下から固唾を呑む教室にて、西岡に喰はれる教育実習生。ひなこの豪快な和姦見解で、ザクッとスルーされる無造作な展開も、絡み要員にはグルッと一周して相応しい。だから正三でなく芳田正浩は、ひなこの家庭教師。

 残弾数、ゼロ!

 終にバラ売りにすらex.DMMに未見ピンクがなくなつた、小林悟1996年第一作。後生だから、新着させて貰へまいか、需要の如何は保証しかねるが。当サイトはまだまだ、もつともつと大御大が見たい。いよいよ以て、最終章のその先の、薔薇族の蓋を開けるほかないのか。
 性懲りもない繰言はさて措き、ex.DMMに脚本を絶賛するコメがついてゐたのを、遂に―最も単純な確率論からは―小林悟が四、五本は撮つてゐておかしくない、百本に一本の一作に巡り会へたのか。とときめきかけたのは、勿論糠喜び、当然糠喜び。糠喜びに決まつてんだろ、学習能力といふ言葉を知らんのか間抜け、僕だけど。ひなこの進路相談で再会した元カノである信子を、今でいふリベンジポルノで脅迫する形で西岡を全方位的な絶対悪に据ゑてみせた辺りは、小林悟の映画にしては上々の構成かと南風を吹かすにせよ、依然脚本を絶賛するには果てッしなく遠い。全体コメ氏は、何の映画を視聴されてゐたのか。時制が謎な西岡が信子を手篭めにする件に、篤に続き西岡に撃墜された真美の、自主退学をひなこが必死に思ひ留まらせる一幕が直結される木端微塵な脈略の大御大編集にクラクラ来てゐると、帰宅したひなこが、事後に直面するとかいふ寸法。断じていふが、そこまで見ないと絶対に話が繋がらない。強ひてポリアンナばりによかつたを探すばらば、挿入と連動して劇伴が鳴り始め、完遂とエンド・マークの“完”がシンクロするラストの裸映画的―には―磐石くらゐ。当面最後の一本も、相変らず何時も通りの大御大映画。余韻なり感傷に浸る余地を欠片も残さない徹底的、あるいは完膚なきまでのドライさに、寧ろ小林悟の小林悟たる所以を見るべきなのか。それでも俺は、小林悟が見たい。


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