Dr. Mori Without Borders / Mori-san Sans Frontieres

森 一仁が医学・国際政治経済金融・人文教養教育など関心問題を国際的・学際的に考える。

[緊急!] いま死に逝くダルフール・スーダン

2007-03-11 05:59:02 | 危機管理:国際人道保健支援・災害救急
ここにDarfur Is Dyingと言う名の「ゲーム」がある。しかしこれは単なるゲームではない。アフリカ大陸はスーダンのダルフールで実際に起きている現実を誰かがゲーム化したのである。大虐殺・婦女暴行・大飢饉・児童虐待と言う地獄絵巻が繰り広げられているのである。ゲーム化している余裕とコンピュータの知識、そして現状の正確な理解があれば、それらをフル活用して何か出来ないかと思うのだがそうは行かなかったのだろうか?

ゲームは2つのパートに分かれているらしい。「水汲み」と「村での活動」である。書き記すのもまた辛い程だ。なぜならスーダンのような事態を既にニュースその他報道で見聞しているからである。ともかく、水汲みパートでは大人から子供まで水汲み人が選べる。しかし現実に大人は選べない設定である。なんとなれば大人は見つかりやすく、見つかれば確実にゲリラに殺されるからだと言う。子供を選んだところで、隠れていないと見つかって捕まる事になる。捕まれば児童虐待の対象になるか、少年兵にされるのが落ちだろう。

アフリカ各地のこうした大虐殺・民族浄化・・・ジェノサイドでは婦女暴行が武器として使われた。ただ身体にダメージを与えるだけではなく、性的虐待を繰り返す事によって自尊心を完全に剥奪し、生きる力を奪い取ると言うのだ。男性が銃殺され、数が減る中で、残された婦女子が蹂躙される。生き残っても水や食糧さえない。アフガンのタリバンは欧米メディアでは評判が悪いが、地元民の救済のために国連の食糧倉庫を破壊してまで救援活動をした。(タリバンの現実についてはペシャワール会・中村哲医師の著書にゆずる)

国内外の政争を一時的に全て止めてでも、何か援助を送れないか?最近では人道支援には支援団体の要員の生命保護のための軍事援助・介入が付随して廻る。「国際保健団体のボランティア達の人命保護」の名のもとで軍事組織が介入する。当然一部のゲリラなどは食糧支援にしろ医療支援にしろ略奪を試みて発砲する事態などが起きる。これを皮切りに国連軍やその他の随伴軍事要員達が反撃し、事態が悪化・・・。

多くが西側諸国で構成される多国籍軍や国連軍を快く思わない人々はいるものである。国際機関の伝統・お家芸であるアフリカ軽視政策や非白人差別主義を皆知っている。武器使用を伴わなくとも、彼らが軍事的プレゼンスを展開するだけで精神的には祖国を占領されたような心持になるのではなかろうか?そんなところに例えば日本の防衛省・自衛隊がアメリカの肩代わりをして乗り込んだら大変な事にも成りかねない。軍服にライフル所持とあれば立派な軍隊と現地一般市民は思うだろう。殺気立ったゲリラ兵から見たら・・・。

自衛隊の本務に国際協力業務が含まれたとあって、少し邪推してみた。日の丸が安全と平和の象徴であり続けるためには、国際紛争への介入に軍事組織=自衛隊を入れる事にもう少し躊躇して良かったのではないか。特にアメリカの仕掛けた戦争に参加することには。カンボジア和平等では危険と悪条件を顧みずに頑張って下さった方々に敬意を表する意味で、英米の対アフガン・対イラク戦争からは少し距離を置いて頂きたいと願ってやまない。どのみち欧州諸国からは「豪・蘭軍等に守られて弱腰の軍隊だ」などと思われている事を私は知っている。

軍事組織を入れて緊張を増悪する事なしに、水補給・食糧支援等の大規模で組織的な活動展開が出来ないだろうか?世界市民全てに食糧供給をし、皆が粗食を実践すれば、過不足無く皆充たされ、そしておまけに健康まで維持できると考えてしまうのは私が夢想家だからだろう。ダルフールの現実が突き刺さる今日この頃・・・。

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