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秋田県の続報です。

2008年03月30日 | 庵主のつぶやき
以下引用↓

「県教委は「一般教員にはない知識や技術を活用しないのではもったいない。選考で模擬授業をしてもらったが、教え方も良い。本県高校生の力になれるはず」と期待を込めた。」

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「博士募集」に応募殺到 秋田県教委が教員採用
2008.3.30 18:33
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080330/trd0803301834025-n1.htm
 全国で初めて秋田県教委が実施した博士号取得者対象の特別選考で合格した理工系大学研究員6人が1日、県立高校教員に採用される。選考は予想を大きく上回る10倍の難関だった。地方の教員試験への博士殺到には、「末は博士か大臣か」と言われた時代からは想像もつかない深刻な理由があった。(宮原啓彰)

 「募集若干名」の特別選考試験に応募したのは57人。北海道から長崎まで全国に及び、中には米国や台湾からの応募もあった。

 秋田の応募条件は「39歳以下」「博士」の2点だけで、教職課程を修めている必要もなかった。今回採用される6人は30~40歳で、東京大や東京工業大、東北大など一流大学の出身者。5人が常勤、1人が非常勤の教員として採用される。

 応募があるのかさえ不安だった秋田県教委だが、結果的には反響の大きさに驚かされた。意外だったのは面接で「大学にいても生活できない」と志望動機を話す人がいたことだ。

 平成時代に入り、国際競争力を高めるため「大学院重点化」計画が始まった。3年3月に約3万人だった博士課程在籍者は19年3月には2・5倍の約7万5000人に増加。しかし、大学教員や公的機関の研究職など博士が希望する職種の採用は「ほとんど増えなかった」(文部科学省)。このため、博士号を取得しても研究職に就けないオーバードクターやポスドクなど、いわゆる“余剰博士”問題が進んでいる。

 文科省のまとめでは、19年度の博士課程修了者の就職率は6割以下、人文社会系に限れば4割を切る。希望通りに研究職へ就けた人は1割強に過ぎない。

 「院生の間では大学院への入学は“入院”と揶揄(やゆ)される。研究職が得られなければ意味ないですから」と関西の国立大博士課程に在籍中の男性(28)は自嘲(じちよう)する。

 ポスドク問題に詳しい東京大学先端科学技術研究センターの沢昭裕教授は「就職できず、経済的に困っている博士も少なくない。年収100万~200万円で暮らす人もいて、秋田の教員試験に殺到したのもうなずける」と分析する。

 文科省は「研究職にこだわらず、外の社会にも視野を」というが、民間企業では「学部卒入社の同年代社員に比べ、実務経験が乏しく、専門領域が細分化し企業ニーズと一致しないなど博士の採用を避ける傾向にある」と沢教授。

 そんな中、解決策のひとつとして期待されるのが、秋田県教委の試みだった。

 県教委は「一般教員にはない知識や技術を活用しないのではもったいない。選考で模擬授業をしてもらったが、教え方も良い。本県高校生の力になれるはず」と期待を込めた。

 ■オーバードクターとポスドク オーバードクターは、博士号を得た後、もしくは単位を習得し退学した後も、大学などで無報酬の研究を続けている人。ポスドクはポストドクターの略称で、博士号を得たが常勤職に就けず、非常勤の研究員などを続けている人。平成17年度調査では、オーバードクターは全国に1765人、ポストドクターは1万5496人いた。
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