【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

しんぶん赤旗【教育のつどい フォーラム活発討論 憲法と子どもの権利大切に】を読む

2018-08-20 00:28:17 | 転載と私見

序文  櫻井智志


写真:信濃毎日新聞転載 長野市で開幕した教育研究全国集会の開会全体集会=17日

 全教など多数の市民団体が共同で、8月17日から長野市で始まった「教育のつどい2018」。17日夜には、子どもと教育について、憲法と子どもの権利条約の視点を大切にしながら、保護者や地域住民、教職員、教育関係者がともに語り合おうと、七つのテーマで「教育フォーラム」が開かれた。「しんぶん赤旗」デジタル版はその様子を詳細に伝え、どの会場も、パネリストの報告をもとに、活発な討論が続いたようだ。しんぶん赤旗が「教育のつどい」取材団を編成した記事を再構成して、教育に対する国民の熱意と取り組みを、以下に記す。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲはすべて編集部の力作を転載させていただいたものである。


【Ⅰ: 主権者教育】
2018年8月19日
 
《学校運営参加通して》

 フォーラム「憲法を生かす学校・地域をつくる生徒の取り組みと主権者教育」では、会場いっぱいの参加者が、生徒の学校運営や社会活動への参加を通した主権者教育の実践について議論しました。
 首都大学東京の宮下与兵衛特任教授が基調報告。いま世界で、アメリカのオキュパイ運動やイギリスの「反新自由主義」への支持の広がりなど「ゆるやかな結合」を特徴とする新しい社会運動がおこっていると指摘。権利について学ぶと同時に、学校運営や地域活動に「自分がかかわることで社会は変えられると実感することが今の主権者教育に問われている」と強調しました。
 討論では、有賀久雄さんが長野県松本市の高校で、選挙の模擬投票を通して出された「公共交通の充実」などの生徒たちの要求を、生徒たち自身が議論するなかで「地域にも求められている」として、市議会に請願して採択まで至った実践を報告しました。
 長野県内の小林恵一さん、和歌山県の横出加津彦さんが地域との結びつきのなかで、主権者意識を強めてきた経験を報告。地域の祭りへの参加、生徒自身による路上マナー向上への取り組み、高校生の意見を取り入れたまちづくりなど、交流と話し合いを重ねる中で“荒れた学校”とされていた学校が、地域の活力となり、生徒自身も成長する場になっていると語りました。
 宮下氏が、長野県下では、1970年代以降すべての高校で「平和宣言」が作られ、憲法学習、平和学習が取り組まれてきたと報告。長野県の辰野高校では生徒、保護者、学校による3者協議会によって校則の改善などや授業改善を実現してきた取り組みが語られました。会場からは3者協議会の実践にかかわった男性が「生徒は、押し付けたルールは守らないが、自分たちで決めたルールは守る」と実感を語りました。



【Ⅱ: 多様性と共生】
2018年8月19日

《「人材」ではなく人間》

 フォーラム「『こうあるべき』からの脱出~多様性と共生について考えよう~」には120人が参加。「こうあるべき」という規範にたいして、「人材」ではなく人間を育てる教育が何を大切にするのかが話し合われました。
 コーディネーターの人間環境大学の折出健二教授が、事実をふまえた思考をくぐっていない先入観のもつ危険性を指摘。「学校スタンダード」などにみられる「こうあるべき」をどう考えるかと問題提起しました。
 長野県の中学校教師の中沢照夫さんは、前任校の「学校スタンダード」について語りました。数人の「荒れた」生徒を「抑える」ためにあちらこちらで鳴り響く教師のどなり声。職員会議のたびに繰り返される「いっさいの例外を認めない」、仕事ができるか否かで評価され、教師たちがしだいに思考停止に陥っていく状況を語りました。
 愛知県の2人の私立高校生が、愛知県高校生フェスティバルの活動を紹介。東北や熊本などの被災地、戦争跡地を訪ねるスタディーツアーで人々と交流して学び、学んだことを発信することによってさらに学びを深めていく様子を生きいきと語りました。
 首都大学東京の杉田真衣准教授は、誰もが性の多様性を織りなす一員であり、性的少数者への差別は誰にとっても人ごとではないと指摘。日常のたわいない会話の中にある「こうあるべき」という価値観が差別の構造をつくっていると話しました。
 会場からは、「処分で生徒は変わらない」「教師たちにも意味がわからないルールを子どもたちに押し付けている。高校生の発言を聞いて、中学生フェスもやりたいと思った」「教師が『こうあるべき』から解放されることが大事」などの発言が続きました。


【Ⅲ: ゆたかな“学び”】
2018年8月19日

《新指導要領で学校は》

 フォーラム「子どもたちにゆたかな“学び”を―新学習指導要領で子どもと学校は?」には約240人が参加し、国による統制が強まる中、教師や保護者がつながって子どものための教育を進めることが話し合われました。
 新日本婦人の会長野支部の宮澤里恵さんは、学齢期の子を持つ新婦人の会員らから聞いた学校の実態について報告。授業時間が増え、子どもが楽しみにしていた遠足などの行事が減った、小学校でも期末テストが行われるなど子どもがテスト漬けになっているという声を紹介し、「『学力アップ』にばかり力を注ぐようになってしまい疑問」と語りました。
 小学校教師の高野毅さんは、「特別の教科・道徳」について、教科書に従った子どもの実態に即さない授業で、「本当に道徳的な判断力がつくのか」と批判、「子どもの実感と現実に根ざした実践を」とのべました。
 地域での子どもの遊びと学びのための活動している京都のNPO法人「チャレンジクラブ」の森賢悟さんは、放課後の子どもの様子や学校の成績に表れない学びをと取り組んでいることを紹介。高校教師の西村太志さんは、高校の新学習指導要領で新設される科目「公共」の問題に触れつつ、「社会科は暗記科目」と思われている現状を変えたい、そのためには教師の教材研究の時間と教育実践の自由が必要だと指摘しました。
 コーディネーターの梅原利夫・民主教育研究所代表は「人間をはぐくむ営みに『数値目標追求』方式はなじまない」とし、「教育の場に人間らしいいぶきを」と呼びかけました。
 討論では、ゆたかな“学び”とはなにか、それを子どもに保障するため教育への統制にどう対抗するかなどを語り合いました。


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「まとめにかえての私見」 櫻井智志
 教育科学研究会の全国大会が8月10~12日に、神奈川県川崎市の法政二高を会場に開催された。ずっと恒例となっている「後援」を、主催地の市教委は出していた。それは教育に関わる地方公務員の常識を示す。だが、いくつかのフォーラムのひとつで「憲法をめぐる動きと教育実践」をとりあげたものがあることに、外部から苦情が寄せられ、市教委は後援撤回を出した。
 名古屋市では、文科省事務次官という事務方トップの歴任者前川喜平氏の講演への自民党文教部会部長副部長が、市教委と講演を行った校長に文科省とともに不自然な介入を行い世論の批判を浴びた。
 これらの各地の事態の中で、この長野の研究集会とフォーラムは、保護者や地域住民、教職員、教育関係者らの協力した熱意の中で今日の教育課題を掘り下げるとともに、多くの市民の支えによって、集会を実りあるものとした。むろん教科研全国大会や前川喜平氏講演会も充実した意義深い成功を収めた。
 教育をめぐる困難な課題と軍事的国家的介入がずけずけと浸透し、空気を読むことや沈黙することが教育の世界に蔓延している。このフォーラムの成果は教育の論理に則してより専門的なアドバイスを得ているし、素朴な疑問や素人の鋭い感覚も大切にしている。極めて今日的意義をもつ集いである。ー了ー
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