【現代思想とジャーナリスト精神】

誰が悪いのか、TBS経営陣・・・それもあるけど最悪は安倍政権がほんとうの元凶

誰が悪いのか、TBS経営陣・・・それもあるけど最悪は安倍政権がほんとうの元凶
                   櫻井 智志


 日刊ゲンダイとともに、マスコミでは週刊誌やネット でもNEWS23の膳場貴子さんへの処遇が伝えられている。
特に、膳場さんを引退させるためにTBS当局が「子育てのためならゆっくり休んだ方がよい」と退職勧告を示したことが。マタニテイ・ハラスメントとして人権への蹂躙だとする見解が女性週刊誌がとりあげ、産経新聞社系列下のネットニュースで伝えられた。

 ここまでTBSを追い込んだのは、安倍政権中でも安倍晋三本人の動きである。選挙報道とからみ、TBSNEWS23に出演した。その時の様子はそうとう根にもった発言だったが、ここまで批判者を徹底的に潰す安倍総理とは、まがいもなく「日本版独裁者ヒットラー・ムッソリーニ」であることは間違いない。

 安倍晋三の父親は岸信介なのか?もちろん違う。安倍晋太郎である。しかし、晋太郎氏は戦争について批判的見解に立ち、安倍晋三とは全く正反対で、岸信介と酷似している。ただし岸信介は軍国主義でも合理性をもっていた。狂信主義ではなく、政治家としての一定の資質をもつ反動政治家だった。岸信介の政治は国民の意向と反していても、一定の水準に到達している。上州戦争と形容された福田赳夫と中曽根康弘がいた。二人とも自民党保守だが、岸派に入った福田赳夫は、TBSテレビの報道番組「ニュースコープ」のキャスター古谷綱正氏が「福田派は自民党タカ派とみなされているが、福田赳夫さん本人は合理主義者なんですよ」と番組内で発言したことがあった。福田赳夫が岸派に入ったことは、福田の岸に対する一定の評価をもったことだろう。


 戦前大蔵省主計局長の職にあった福田は、岩波書店の安江良介との対談集で、自らが大蔵省の官僚として軍拡路線と闘い、「昭和維新」を旗頭にクーデターの盲動で政府高官が暗殺された時も証言している。その福田赳夫が岸信介と同じ派閥にいたことに、岸信介と安倍晋三と全く異なることを暗示している。岸信介は60年安保で独裁総理だったが、引け際も心得て退いた。


 安倍晋三は保守政治家ではない。謀略と極右の政治家である。国際情勢はあれほど見識のある政治家のドイツ首相さえも「有志国連合」に巻き込み、イギリスも加わった。アメリカ、ロシア、フランス、イギリス、ドイツの超大国がシリアに戦争攻撃をおこなう。イラク戦争の再現だ。このような戦争の時代に入ったことは、安倍総理の求めるところであろう。けれど、日本がとるべきは戦後外交の本道である平和にねざす調停と反戦争の外交であるべきだ。しかしそのような高度に難関な政治を実行する力量も見識も残念ながらもっていない。



 以上のような日本の困難な情勢で、言論機関を追い詰めるような卑劣で低次元の圧力をかけているのが、今回のTBS問題の本質である。しかし、毎日新聞社の論説委員長や主幹をつとめた岸井成格氏を三顧の礼を尽くしてTBSに迎えた首脳陣は、侠客の義理人情の世界にももとる。TBSテレビは、田英夫、古谷綱正、入江徳郎、筑紫哲也らの諸氏に見られるように報道のTBSとして国民的な歓迎を受けてきた。しかるに、岸井成格氏とともにテレビ界で屈指の女性報道キャスターである膳場貴子氏に、マタニティ・ハラスメントに通ずる、本人の引退発言さえでっち上げて退職においこむなど、保守派テレビ局のフジテレビや日本テレビでもこんなに下手で卑劣さが表面で批判されているようでは、まことに情けない。

 以下に日刊ゲンダイの記事を転載させていただく。




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【日刊ゲンダイ】
NEWS23 岸井氏&膳場アナ総退陣なら「TBSは二度死ぬ」
2015年12月5日



 アンカーの岸井成格氏(71)に続いてメーンキャスターの膳場貴子(40)まで――今、TBS「NEWS23」で一体何が起きているのか。番組内の岸井氏の発言をめぐって任意団体がイチャモンをつけているのはすでに報道の通りだが、膳場の一件とはこうだ。

 3日の一部スポーツ紙がTBS関係者の話として「膳場アナから『番組に区切りをつけて育児に専念したい』と申し入れがあった」ため、来年3月で番組を降板することが決まったと報じたところ、膳場が即座に反応。自身のフェイスブックで「降板申し入れはしておりません。このような誤報をたいへん残念に思っています」と報道をひっくり返したのである。

 このギクシャク、どう見たらいいのか。巷では「TBSは岸井氏の降板を決めたのではないか。ただし、岸井氏一人を辞めさせてしまうと任意団体のバックに見え隠れする官邸の“圧力”に屈したのがミエミエになってしまう。そこで、膳場も同時に辞めさせることで“番組一新”を印象づけようとしている」との臆測が流れているのだが……。

 こうした見方について「あってはならないこと」と前置きした上で、放送ジャーナリストの小田桐誠氏はこういう。

「もちろん現時点で断定はできませんが、選択肢のひとつとして今後そういう方向で進む可能性も否定できませんね。どうせ辞めさせるなら、2人同時に辞めさせた方が各方面との関係をリセットしやすい。膳場さんを辞めさせる理由は“長すぎる”(来年で10年目)など、後からいくらでもつけられます」

 前例はある。今年3月、それまで「ニュースウオッチ9」(NHK)のキャスターを務めていた大越健介氏と井上あさひアナが同時に降板したことだ。大越氏は自身のブログで原発に否定的な発言を繰り返していたため、官邸からの覚えが悪く、当時、井上アナについては“道連れ降板”などと言われたものだ。

 一連のこうした人事情報についてTBS広報部は「番組制作の過程には、従来お答えしておりません」と言うのみだが、“膳場騒動”の前日(2日)、TBSの武田信二社長は定例会見で岸井氏への批判について「番組についてさまざまな意見が寄せられているうちのひとつ」、つまり“ワンオブゼム”と胸を張った。

 その言葉通り、TBSは今こそ報道機関としての矜持を見せなければ、故・筑紫哲也キャスターがオウム事件の際に発した「TBSは死んだ」の言葉につづき、TBSは“二度死ぬ”ことになる。

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