【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

「教育科学研究会」全国大会と地元教育委員会の対応

2018-07-28 17:53:02 | 政治・文化・社会評論
「教育科学研究会」全国大会と地元教育委員会の対応
                櫻井 智志

1:

 東京新聞は、以下の記事を伝えた。
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「改憲阻止」理由、後援撤回 川崎市教委 有識者のフォーラム
2018年7月28日 朝刊

 川崎市教育委員会が、学識経験者らでつくる全国組織「教育科学研究会」が同市で開催予定の年次大会に、一度出した事業後援を取り消したことが二十七日、市教委への取材で分かった。複数開かれるフォーラムの一つで憲法改正「阻止」とうたっていることが、市教委の後援基準を満たさないと判断したという。担当者は「一方的な立場から議論が行われ、政治的中立性が損なわれるおそれがある」と説明している。
 同研究会ホームページによると、大会は八月十~十二日、同市中原区の法政第二中学・高校で開かれる。十日に予定される五つのフォーラムのうち一つは、テーマを「憲法『改正』と私たちの教育」として、討論の柱に「憲法9条『改正』阻止、平和と人権を進める」などと記している。
 市教委指導課によると、事業を後援する基準を定めた「事務取扱要領」は、「市の政治的中立性を損なうと判断されるもの」を後援しないと定めている。同研究会から同課に五月十七日付で後援申請が出され、同課は六月十一日付で承諾する通知を返送した。この時点で、フォーラムのテーマは把握していたものの、討論内容までは詳しく知らされていなかったという。
 同課は七月二十日ごろに外部から指摘を受け、二十六日に同研究会から大会内容を詳しく聞き取るなどした結果、同要領に抵触すると判断して二十七日に後援を取り消した。同日、同研究会に口頭で伝え、文書を発送した。
 同研究会によると、年次大会は、昨年は滋賀県近江八幡市で、一昨年は東京都板橋区で開き、それぞれ地元教委の後援を受けた。 (大平樹)
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川崎市教委が「市教委の後援基準を満たさない」「一方的な立場から議論が行われ、政治的中立性が損なわれるおそれがある」ととらえた教育科学研究会」とは、どんな団体なのか?


2:

教育科学研究会とはなにか。教育研究会公式サイトでは、明確に記している。

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教育科学研究会(略称・教科研)は、教育の現場(学校や園、家庭や地域)で起こっている現実を見すえながら、子どもの未来と教育のあり方について、教職員、保護者、指導者、学生、研究者などが共に考えあい、実践・研究しあう団体です。


教科研は、第二次世界大戦以前に結成され、大戦中に中断を余儀なくされましたが、1952年に再建されました。以来、 大戦後の憲法・教育基本法の理念を実現すべく、実践・研究運動を進めてきました。今日の子どもと教育をめぐる現実は容易ならざる状況にあります。
この現状をどのように打開し、子どもたちに明るい未来と希望をいかに保障していくかについて幅広い人たちと語り合い、そのための 実践と研究を幅広く押し進めていきたいと考えています。この研究と運動を私たちといっしょに進めていきませんか?あなたのご参加を心よりお待ちしています。
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3:
 教育科学研究会が今回実施する全国大会とは、以下のような内容である。

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8月10日-12日
全国大会のお知らせ
今年2018年は神奈川県にて開催されます。
日程
2018年 8月10日(金) 11日(土) 12日(日)
会場 法政第二中高等学校


主催
教育科学研究会 神奈川大会実行委員会
後援
川崎市教育委員会・神奈川新聞社・神奈川県民間教育研究団体協議会
みなさんのご参加をお待ちしております!
全国大会 特設ページ
https://kyoukaken.jp/fes2018/

8/10(金) 10:00 - 12:00
教科研講座 講座名 内容 担当
① 学級通信を書いてみよう
困難でも学級通信を書く人が増えます。実践の発信は多彩。継続の工夫や多彩な通信(教科通信)の紹介も。
霜村三二(埼玉)西田 佳(東京)
② それでも私は教師になる?
難しいけどおもしろい、つらいけど楽しい、やめたいけど続けたい …教師のしごとの悩みと魅力を語りあいます。
山﨑隆夫(東京)佐藤 博(東京)
③ 今さら…聞いちゃおう、言っちゃおう学校への?や!
参加者が日頃抱く学校への疑問、学校の***を出し合って、多方向からの「光」で学校の今を映し出します。
宮下 聡(東京)篠崎 修(神奈川)
④ 中学校道徳教科書を読む
中学校道徳教科書の検定とその問題点を考える。教科書を挟んで、政治と教育のあり方を問う。
鈴木敏夫(東京)佐藤広美(東京)
⑤ 若手高校教師 生徒とつくる3年間
高校の3年間は生徒にとって教師にとってどんな意味があるのでしょうか?若手とベテランで考え合います。
宮田雅己(神奈川)矢後正子(神奈川)

8/10(金) 13:00 - 15:40
はじめの集い
神奈川大会実行委員会がこれまで積み上げてきた
学習・交流の集大成としてのパフォーマンスでお迎えします。
【あいさつ】 佐貫 浩(教科研委員長・大会実行委員長)
【会場校あいさつ】 北詰昌敬さん(法政第二中高等学校校長)

基調報告
『教育学と教育実践は、 子どものしあわせにどういう力になれるのか』
佐藤広美(教科研副委員長)

記念講演

『進む政治の私物化 瓦解する官僚たち~安倍政権とメディア~』
望月衣塑子さん(東京新聞社会部記者)

8/10(金) 16:00 - 18:30
教育問題フォーラム

教育の世界で起こっている様々な問題を、大きな視点から鋭く深く切り込む、分科会分野を超えた野心的な企画です。

フォーラム名・テーマ 討論の柱 世話人
A. 学力と教育課程 ─教育振興基本計画のもとで
学習指導要領が順次実施されるなか、学力と教育課程に創意工夫を
第3次教育振興基本計画(エビデンス・証拠を伴う PDCAサイクル)の縛りの構造
子ども・青年と教師にとって、望ましい学力とそれを保障する教育課程を探る
梅原利夫(東京)本田伊克(宮城)
B. 教師の働き方改革 ─学校・部活・教育条件整備
「働き方改革」が喧伝されていますが、教師を病休や退職に追い込む学校の現状を、部活や教育条件などのいくつかの側面から明らかにします。
佐藤 隆(山梨)福井雅英(滋賀)
C. 排除されがちな子ども・若者と地域で向き合う
貧困や民族的出自などにより、学校や社会から排除されがちな子ども・若者たちが拠りどころにできる地域の居場所づくり
富田充保(神奈川)南出吉祥(岐阜)
D. 憲法「改正」と私たちの教育
憲法 9条「改正」阻止、平和と人権を進める。現代の危機を切り拓く日本国憲法の価値を改めて読み解き、子ども・若者の憲法意識と教育の課題を問う。
佐貫 浩(東京)佐藤広美(東京)
E. 公教育の未来
今後の科学技術革新、少子高齢化、世界情勢の変化などを踏まえて、 2030年代以降の公教育像を展望する。
山本宏樹(東京)神代健彦(京都)

8/10(金) 19:00 - 21:00
夕食交流会
大会初日・二日目の内容を振り返り、食事をともにしながら語り合いましょう。
ご当地名物、地酒、銘菓など,お土産大歓迎!
※ 参加費4,000円、学生・院生2,000円
参加申込みは当日「受付」でお願いします。

8/11(土) 9:00 - 12:00 / 13:00 - 15:00
8/12(日) 9:00 - 12:00
分科会

分科会名・テーマ 討論の柱 世話人
1. 子どもの生活と文化
学校で、放課後に子どもたちはいまどうしているか?
家庭・学校・地域での子どもの生活実態とその背景をとらえ直し、生活文化のあり方を考える。
泉 宣宏(東京)五十嵐マリ子(神奈川)
2. 青年期の教育
社会とつながる場としての高校
社会的自立という課題に向き合う青年期において、社会とつながり、出会っていける場としての高校の可能性を探る
矢後正子(神奈川)南出吉祥(岐阜)
3. 能力・発達・学習
表現を促し共有し深める教育とは?
夜間中学に集う人々が求め、表現したい教育
思春期、青年期の生き方と切り結ぶ授業を創る
地域における子どもたちの表現を繋ぐ取り組み
富田充保(神奈川)かわさきあつこ(神奈川)
4. 身体と教育
子どもの“生きづらさ”から「身体と教育」を考える
生活環境と「身体と教育」
社会情勢と「身体と教育」
学校教育と「身体と教育」
水田嘉美(神奈川)横田誠仁(東京)
5. 美的能力と教育
子ども・青年にとって表現することの意味を探る
一人の子どもの誕生から10歳までの美術表現
小学校での学級劇の展開
困難を抱えた青年たちの美術
今給黎博子(神奈川)山田康彦(三重)
6. ことばと教育
主権者を育てることばと教育の創造
ことばの豊かな発達とコミュニケーション
ことばを育てる国語・外国語の授業
生活に根ざして紡ぐ自己表現活動
神 郁雄(東京)瀧口 優(東京)
7. 社会認識と平和
地域 −日本−アジアを串ざしにする社会認識を育む
教科書問題と歴史教育実践
高校「公共」
朝鮮学校と多文化教育
過疎地・地域づくりと教育
金馬国晴(神奈川)神原昭彦(東京)
8. 自然認識と教育
子ども・青年の自然認識の発達課題を探る
青年の自然認識の現状と危うさに目を向け、本質的な教育実践課題とその打開の糸口を探ります。
三石初雄(東京)木村 功(神奈川)
9. 道徳性の発達と教育
社会転換期の道徳教育
新中学校道徳科教科書
学年で取り組む中学校平和教育
どの子にも安心の学級
社会転換期の道徳教育実践
奥平康照(東京)藤田昌士(埼玉)
10. 教育課程と評価
教室と学校の日常から教育課程をたちあげる
国による授業実践の統制と画一化に対抗して、子ども・若者の創造的で自主的な学びを保障する教育課程・授業づくりを考える
本田伊克(宮城)桜井恵子(神奈川)
11. 学校づくり
いまを生きる子どもと共に学校をつくる
若手教師の抱える課題……若手の語る学校の姿
スタンダード化が進む学校……現代の管理主義教育の問題
教師の働き方改革を考える
境 光春(神奈川)田沼 朗(山梨)
12. 地域と教育
地域に「居場所と学びの場」をつくる
中学生の学習支援を目的とした学校外での「無料塾」
学校内のスペースに設けられた高校の「カフェ」。そこに彼らの学びと成長がある。
細金恒男(東京)篠崎 修(神奈川)
13. 政治と教育
安倍政権下の教育政策とわたしたちの課題
権力による教育価値統制を考える
次世代学校構想、学校再編のなかでの地域・学校の課題
主権者教育を考える
中田康彦(東京)新井秀明(神奈川)
14. 性と教育
自立と共生 子どもたちの性をどう育むか
現代の子ども・教師と性
共に生きる主体を育むには〜多様な性と家族
ジェンダー観を考える授業
中嶋みさき(東京)森下育代(神奈川)
15. 発達障害と教育
子どもの理解を軸に据えた実践をつくる
発達障害等のある子どもの理解を深める
「自己の育ち」を支える実践をつくる
福家珠美(神奈川)小池雄逸(東京)
16. 現代の子育てと親・おとな
子ども・若者の生存・発達・学習のためのおとなの共同
子どもが考えている「人生」と「幸福」
子どもの生存・発達・学習を支える保護者・援助職・教師の共同
川崎晶子(神奈川)田中孝彦(東京)
17. 教師の危機と希望
いま、教師の育ち方と働き方を再考する
教師教育は今どうなっているのか
教師の危機を乗り越える。支える人と場所
教師の仕事と生き方を考える
佐藤 隆(山梨)大前 博(神奈川)
18. 教室と授業を語る
どうする?教科道徳 学ぼう!社会科の授業づくり
教科道徳で揺らぐ教室の民主主義。「子どもの声」を大切にした道徳、社会科の授業づくりを考える。
西田 佳(東京)日達 綾(神奈川)

8/11(土) 17:15 -
教科研総会
全国から教科研メンバーが集う機会です

8/12(日) 13:00 - 15:00
おわりの集い
『子どもの願いを共に生きる教育実践を』
〜教科研研究活動方針を考える〜
●発題 佐貫浩(教科研委員長)─現場からの応答 ─討論
子どもをどうとらえるか、どんな教育実践が求められているのか、
教育学研究はそこにいかに関わりうるのか、教育の現場から問う

会場
法政第二中高等学校

法政大学第二中・高等学校
〒211-0031 神奈川県川崎市中原区木月大町6−1
電車での
アクセス
武蔵小杉駅(JR 南武線・東急東横線・JR 横須賀総武線)下車徒歩 15 分
※【宿泊】斡旋等は行いません。参加者の皆様ご自身で、早めにお申し込みください。
※ 【昼食】 学生食堂がご利用いただけます。近くの飲食店もご利用下さい。

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以上が全国大会の全体の概要である。

4:
  どこに問題があるのだろうか?
教育の教科ごとの分科会や領域ごとについて、全国の教育に関心をもつ人びとが熱心に教育の課題を追究しあう教育研究の大会である。神奈川県では何度も教科研全国大会が開催された。しかし、神奈川県教委や市教委は後援団体の立場を続けてきた。なんでいまさら、と思ったが、ふと名古屋市の中学の授業の講師で招かれた文科省事務次官だった前川喜平氏に対する自民党文教部会の首脳陣である国会議員が、執拗に干渉し続けていた背景があった。
 文科省では、前川喜平氏への対応以来、最近では局長級の人物が現職で収賄などで相次いで逮捕されるという文科省・文部省始まって以来の不祥事が起きている。今回の教科研全国大会への対応に不審な動きとして注目したい。
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