【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

小沢一郎氏への強権的特捜を斬る 2013 櫻井智志

2018-12-25 16:03:13 | 政治・文化・社会評論

はじめに

 この評論は、いまから5年ほど前の論考である。なぜ今頃掲載したか。現在の反専制安倍政権にとりくむ小沢一郎氏を、自民党幹事長当時に批判していた私が見直した由来を明確にし、民主党創立ころから、国民側の政治家として身を賭して闘う姿に共感を持っているゆえにである。
 


【第一部】小沢一郎氏への強権的特捜を斬る 2013.3.20


 小沢一郎氏の秘書を務めていた現職の国会議員が、政治資金規正法違反により逮捕された。自民党や公明党、共産党は、徹底した政治資金に関する説明を、今度の国会で追及する構えを見せている。

 私は、別の二つの視点からこの問題を考えたい。日本の国政は、表面の政治とは別に、多額のカネを使用することで政治の流れを形成してきた。市町村から国政に至るまで、選挙には莫大な資金を必要とする。落選してしかも法定得票に達しなければ、多額のカネを支払わねばならな
い。また、当選するには、法律に定められた規定内でも、莫大な資金を必要とする。

 この視点からすれば、長らく自民党の幹事長など要職を務めた経験のある小沢一郎氏が、庶民には考えられないほどの多額の政治的金銭と関わりがあったことは容易に推測できる。

 しかし、問題は、政治の資金が政治資金規正法の枠を超えたかどうかだけにとどまってはいない。二つ目の視点とは、民主党連立政権の樹立による自公政権の打倒と新しい政権が、どのような国政再建の行政をなし得るかどうかにある。

 政権発足以来、鳩山首相は、今までの自民党政治とは異なる手法で政治に取り組んできた。たどたどしさや民主党内部の意見の相違や連立政党同士の調整などがあって、決して一直線に改善されたとは言えないまでも、あの自公政権の時期とは異なる政治の風穴が感じられるようになってきた。
 しかし、民主党には様々な動きがある。今回の小沢氏周辺の逮捕は、自らの幹事長休職の意向表明(2010年1月16日現在)など新たな波紋を呼びつつある。

 私見によれば、巨大な自公政権の打倒のためには、小沢氏のような権力中枢に居たことのある小沢氏のようなマキャベリストの働きがなかったら、かなわなかったことも多くあったであろう。通常国会開始から始まる今夏の参院選へと一気に連なる政治の季節直前に、小沢氏を強い力で牽制することには、明確な政治的意図が感じられる。もちろん、そうはいっても、小沢氏が護憲と平和を守る政治家であるとは言えない。
 一説には、国会での内閣法制局長官の答弁禁止は、単なる官僚の国会答弁禁止と同じではなく、これから憲法改悪にむけて、現憲法の外堀である教育基本法改悪に続き、さらに憲法改悪を行い易くするひとつの手立てとなるだろうと言われている。民主党連立政権は、社民党が入ったことで、護憲の重しもあるけれども、肝心の民主党は憲法護憲よりも改憲にウェィトがある。小沢氏も護憲政治家ではない。
 だが、国民は、民主党連立政権を、自公政権時の安部晋三政権のような明確な反動的な国家主義政権とは異なる政権として、政治に期待を持たせている。それが改憲政治家の鳩山氏や小沢氏を、軍国主義ではなく、民主主義に軸足を置かせる結果ともなっている。

 これから東京地検特捜部が、小沢氏を逮捕や起訴するようであれば、民主党連立政権の政治的求心力は低下するかもしれない。その時、民主党と自民党の内外の政治家たちは、右往左往して分裂と融合をきたし、いわゆる政界再編成が起こるだろう。それが、社民党排除となって二大反動政党ができることも考えられる。憲法改憲をよしとする政治家たちが、国会の三分の二を占めることは確実であろう。
 その時、日本の政界は、容易にアメリカ軍部の意向を容認する政権に占められる。今回の小沢氏を揺さぶる捜査は、そのような政治的背景と連動していることが危惧される。それゆえに、私は、「現在」の民主党連立政権の立役者である小沢幹事長をめぐる政治的圧力に、傍観者として沈黙してはいられない。一連のプロセスの流れの中で、情勢を把握せず、政治家はクリーンなカネの使い手でなければならないと、当たり前のことをオウム返しに反復するだけでは、いまの危機的政治状況の解決策にはなるまい。

 アメリカ政府との米軍基地の移転問題と参院選に連動する通常国会直前に、平和と国民生活保護、雇用と社会福祉を前進させるための国民の意思を国会に反映させなければならない。資金規正問題で、政党の政争に明け暮れたままでは、日本社会はますます崩壊の度合いを強めるしかない。


【第二部】 再論・「小沢一郎」という政治思想 2013.3.22

櫻井智志です。
以下の文章で、回答1の最後に(後略)としました。
石井さんと上脇さんのやりとりを拝見していて、事実とずれた方向にどんどん進んでいくのに、一応最初に問題提起した者の責任としてもそのまま黙過することができません。
(後略)の後に、新たに書き加えます。
----- Original Message -----
>> From: 櫻井 智志
>> To: civilsocietyforum21@yahoogroups.jp
>> Date: 2013-03-21 10:03:15
>> Subject: Re: [civilsocietyforum21] 「小沢一郎」という政治思想問題

>> 櫻井智志です。
>> 回答1
>> 孫崎享氏の『アメリカに潰された政治家たち』p97.98に以下の叙述があります。
>> この発言の時小沢氏は、細川政権を経て新進党、自由党と新党を結成しながら2003年に民主党に合流しています。1993年の『日本改造計画』では新自由主義的な経済政策を主張していましたが、民主党に合流してからは、地方経済と雇用を重視する政策に転換し、「東北議員団連盟」を結成しています。外交政策についても対米従属からアジア諸国との連携を強めるアジア外交への転換を主張、「国連中心主義」を基本路線とするのもこのころです。
>> --------------------------------
>>  小沢一郎は、09年2月24日に奈良県香芝市で、
>> 「米国もこの時代に前線に部隊を置いておく意味はあまりない。軍事戦略的に米国の極東におけるプレゼンスは第七艦隊で十分だ。あとは日本が自らの安全保障と極東での役割をしっかり担っていくことで話がつくと思う。米国に唯々諾々と従うのではなく、私たちもきちんとした世界戦略を持ち、少なくとも日本に関係する事柄についてはもっと役割を分担すべきだ。そうすれば米国の役割は減る」
>> と記者団に語っています。つまり米国の在日米軍は不要だと明言したわけです。
>>  この発言を、朝日、読売、毎日など新聞各紙は一斉に報じます。『共同通信』(09年2月25日)の配信記事「米総領事『分かってない』と批判  小沢氏発言で』では、米国のケビン・メア駐沖縄総領事が記者会見で、「『極東における安全保障の環境は甘くない。空軍や海兵隊などの必要性を分かっていない』と批判し、陸・空軍や海兵隊も含めた即応態勢維持の必要性を強調した」と伝えています。アメリカ側の主張を無批判に垂れ流していたのです。
>>  この発言が決定打になったのでしょう。非常に有能だと高く評価していた政治家が、アメリカ離れを起こしつつあることに、アメリカは警戒し、行動を起こします。(後略)
>> -----------------------------------
【出典:引き続き孫崎享氏の『アメリカに潰された政治家たち』を要約・引用したものです】
 小沢氏の上記の発言から、一か月も経たない2009年3月3日、小沢一郎の資金管理団体「陸山会」の会計責任者で公設秘書をも務める大久保隆規と、西松建設社長の國澤幹雄ほかが、政治資金規正法違反で逮捕される事件が起きたのです。小沢の公設秘書が西松建設から2002年からの4年間で3500万円の献金を受け取ってきたが、虚偽の記載をしたという容疑です。

 しかし、考えてもみてください。実際の献金は昨日今日行われたわけではな、3年以上も前の話です。第七艦隊発言の後に「たまたま」検察が情報をつかんだのでしょうか。
私(注-孫崎氏のこと)にはとてもそう思えません。
 アメリカの諜報機関のやり口は、情報をつかんだら、いつでも切れるカードとしてストックしておくというものです。ここぞというときに検察にリークすればいいのです。

 この事件により、小沢一郎は民主党代表を辞任することになります。しかし、小沢は後継代表に鳩山由起夫氏を担ぎ出します。選挙にはやたらと強いのが小沢であり、2009年9月の総選挙では、「政権交代」の風もあり、民主党を圧勝させ、鳩山由起夫政権を誕生させます。ここで小沢は民主党幹事長に就任しました。
 ここから小沢はアメリカに対して真っ向から反撃に出ます。
 鳩山と小沢は、政権発足とともに「東アジア共同体構想」を打ち出します。対米従属から脱却し、成長著しい東アジアに外交の軸足を移すことを堂々と宣言したのです。さらに、小沢は2009年12月、民主党議員143名と一般参加者483名という大訪中団を引き連れて、中国の胡錦濤主席を訪問。宮内庁に働きかけて習近平副主席と堪能陛下の会見もセッティングしました。
 沖縄の米軍基地を「最低でも県外」に移設することを宣言し、実行にうつそうとします。
 しかし、「在日米軍基地の削減」と「対中関係で先行すること」はアメリカの”虎の尾”です。これでアメリカが怒らないはずがないのです。
その後、小沢政治資金問題は異様な経緯を辿っていきます。
 事件の概要は煩雑で、新聞などでもさんざん報道されました。私(孫崎氏)が異様だと感じたのは、検察側が2010年2月に証拠不十分で小沢を不起訴処分にしていることです。結局、起訴できなかったのです。もちろん、法律上は「十分な嫌疑があったので逮捕して、捜査しましたが、結局不起訴になりました」というのは問題ないのかもしれません。 しかし、検察が民主党の党代表だった小沢の秘書を逮捕したことで、小沢は党代表を辞任せざるをえなくなったのです。この逮捕がなければ、民主党から出た最初の首相が畑山由起夫ではなく、小沢一郎になっていた可能性が極めて高かったと言えます。小沢首相の誕生を検察が妨害したということで、政治に対して検察がここまで介入するのは、許されることではありません。
 小沢は当初から「国策捜査だ」「不公正な国家権力、検察権力の行使である」と批判してきましたが、現実にその通りだったのです。
 この事件には、もう一つ不可解な点があります。検察が捜査しても証拠不十分だったため不起訴になった後、東京第5検察審議会が審査員11人の全会一致で「起訴相当」を議決。検察は再度捜査しましたが、起訴できるだけの証拠を集められず、再び不起訴処分とします。それに対して検察審査会は2度目の審査を実施し「起訴相当」と議決し、最終的に「強制起訴」にしているところです。
 検察は起訴できるだけの決定的な証拠をまったくあげられなかったにもかかわらず、マスコミによる印象操作で、無理やり起訴したとの感が否めないのです。これではまったく中世の魔女裁判のようなものです。
**この後孫崎氏は、東京地検特捜部とアメリカの歴史的な深いかかわりをしるし、1947年の米軍による占領時代に発足した「隠匿退蔵物資事件特捜部」という組織が東京地検特捜部の前身であり、特捜部長の中にはゾルゲ事件の担当検事だった布施健氏がいて、後に検事総長になって数々の問題があったことも書いていますが、ここでは長文になりますので割愛します。なお、ここまでの記述箇所には私はほぼ孫崎享氏の言説に賛成する立場で引用しています。
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