世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越えて、
しぶとく生き抜く処世術を赤裸々に綴るエッセー



何もしないという選択

2020年03月27日 | 100の力
外は静かな雨が降っている。


朝晩はまだ肌寒さが残る。

暖炉に火を入れる。


真綿のような柔らかな炎の温もりが

春の日差しのように

優しく身を包み、

心を和ませてくれる。



諸々の作業も一服。

プチ燃え尽き症候群(burnout syndrome)に陥る。


アンニュイさ<倦怠感>が漂い、

ちょっとしたアパシー<無気力>な気分。


旅ができないもどかしさ(frustrated)がある。


鳥籠の扉は開いていても、

籠から外に飛び出せない不甲斐ない自分がいる。




「何もしない」ということをしてみた。


ほとんど一日、

暖炉の前で、火を焚いて過ごす。



炎に癒され、

煙に燻(いぶ)され、

身も心も浄化される。



あまりの気持ちよさに、

不覚にも春の陽気ならぬ

炎の妖気に誘われて

ロッキングチェアに揺られながら

暖炉の前で転寝(うたたね)をしてしまった。



まどろみながらふと思う。


人は、

便利さと引き換えに何を犠牲にしたのだろうか。


掃除、洗濯、炊事の三大家事、

そして、食べるための仕事。


日の出とともに起きると

炊事、洗濯、掃除、育児に追いまくられ、

男は、狩りや畑(仕事場)へと向かう。


そして、日没とともに家に帰り、

お互いの労をねぎらい、

食事をしながら一家団欒を楽しむ。


それがほんの半世紀前までの日常だった。

それまで、何万年とそうしたライフスタイルの中で生きてきた。



人類は、産業革命以後、

家事や仕事の負担を減らすべく便利さを追求してきた。


自遊で好きなことをする時間を持つために。

そして、

家族の幸せを共有する。


だが、

果たしてその目的は達成できたのだろうか。


否、

便利になればなるほど

人は時間に追いまくられるようになった。


そして、家族の絆が薄れ、

人間味を失っていく。



歩くだけの移動から

車、列車、飛行機とスピードは増し、

移動距離も飛躍的に増した。


だが、なぜかその分忙しくなった。

心も忙(せわ)しなくなってしまった。


とにかく急げ急げと

強迫観念に囚われる。

ついていけないものは脱落する。


日が沈み、暗くなっても電気が灯り、

いつしかそれは24時間消えなくなった。


今や、

地球環境は破壊され、

人間の生態系をも脅かす。


かくして資本主義市場経済が

お金の魔力を生み、

最高の幸せであったはずの家庭の団欒を奪い、

醜い格差社会を作った。


そして、グローバル化が仇となり、

かくも簡単にパンデミックを引き起こす。

ほんの50年も前なら、

エピデミック(地方・地域流行)ですんでいただろう。


デマを含めた情報が

ネットに乗ってあっという間に発信され世界を駆け巡る。


惑わされた市井の人々は

やれマスクだのトイレットペーパーだのと、

百鬼夜行を繰り返す。


これが人類が求めてきた

スピードと便利さの正体なのだ。


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森の静寂な中、

時折爆竹のような薪の爆(は)ぜる音がする。

そして草を濡らす雨音だけがかすかに聞こえる。


風情を感じる瞬間だ。


ショパンの「雨だれ」は弾けないが

眠気覚ましに"Let it be" をピアノで弾いてみた。


火の前でいくら瞑想をしても

無になり、

何も考えないことは出来ないが、

感性は研ぎ澄まされ

いろんなアイデアが降ってくる。


そして再び静寂の中へと帰っていく。


至福の時だ。



そこで一句。

「転寝(うたたね)の

炎の妖気に誘われて、

気が付けば日も暮れ朧気(おぼろげ)の春」

(字余り)by Asay



【追記】

国連の「世界幸福ランキング」。


日本は、

156か国中62位。


ただしこの2020年版のデータは、

2018〜19年に収集されたので、

新型コロナウイルスの感染拡大対策として

多くの国々が課したさまざまな制限の影響は反映されていない。


そこで、

世界の市民の多くが現在置かれている封鎖状況によって、

意外にも将来の幸福度が高まる可能性がある。


その上で、

隣人たちや自治会のお互いに

協力して取り組んで助け合おうという意欲に、

人々が嬉しい驚きを覚えるのだろう。


日本がこのコロナショックをきっかけに

現状を受け入れ、

幸福度が上がることを期待する。

















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