nana℃の自作詩集 4 / 女優が持ち歩いた鏡

女優が持ち歩いた鏡
作 / nana℃


小さい頃からの夢だった

舞台に立ち

ジュリエットや

ピーター・パンや

音楽家になること

ヘレンケラーや

アンネフランクや

マドンナを

模倣すること

鏡を開けば

あたしは女優

スポットライトは

いつも

あたしの影を作る

たくさんの人生を

飽きるまで

飽きるまで

味わいたい

そんな私欲で

飛び込んだ

真夏の海や砂浜

カメラがまわる

あたしに新しい命をあずける

ああ

どこにいたって

誰の真似をしたって

あたしは

あたしでしか

なかったはずなのに

あたしという人生

あたしという存在

あたしという空間を

忘れてしまった私は

鏡を覗きつづける

あなたは誰

あなたは誰

あなたは誰

どうして赤い髪をしているの

どうして長い爪をしているの

どうして真っ白な洋服を着ているの

忘れてしまう

あたし自身

忘れてしまう

あたしのシナリオ

忘れてしまう

出演者の行方

忘れてたしまったときに

手のなかに残ったものは

あたしが

あたしではないという

存在の否定

価値の否定

夢の否定

ああ

いつからか

わからなくなる

日々の生活

ああ

いつまでも

夢を見るべきだったの

止まらない

帰らない

届かない

この感情を

癒すものはなに？

壊したのは誰？

ああ

今日はせめて

radioが聞きたい

あの有名なパーソナリティが

この世界を微笑ってくれれば

あたしも

息を吹き返せるのか

ああ

孤独な女優にしか

なれなかったあたしは

幼き少女の残像を抱いて

今日も

知らない街を

歩く



プロフィール


名前:魔女っこ kirara・＊★

性別:女性

現住所:大阪府

誕生日:09月22日

自己紹介:nana℃(ななど)といいます。

小説、脚本、音楽関係のお仕事などをしています。


一口メモ


現在、mixiの大人気者。nana℃さんの短編小説『ふたり』が、アメーバーブログで連載中です。とても、nana℃さんの作品の完成度は高く“人の心や魂の叫び”を訴える感動作品ばかりです。ぜひ、みなさんもnana℃さんの作品で、自分の流す涙の意味と心の温もりを再確認してください。


http://ameblo.jp/phoenix720/

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一口メモ

宇多田ヒカルというと、1stアルバムの『First Love』が、いきなり国内外で約1000万の超メガヒットになる売り上げをし、彼女がそれをきっかけに日本の音楽業界で神話的な存在になり、日本の音楽史上歴代1位のとなる超スーパースターになったことは、あまりにも有名な話です。しかし、彼女の本当の才能を開花させる基本は、彼女自身が幼い頃からアメリカンスクールに通い、唯一世界に通用する歌や映画づくりやショービジネスの本場であるアメリカで生活していた、“帰国子女”であったということではないでしょうか。そして、それが世界の音楽市場の厚い壁を突き破ると同時に、日本での“R&B”の彼女独特の“音楽の世界”を生み出し、超スーパースター「宇多田ヒカル」という、日本一のブランド名が創りあげられる、大きな要素になっているような気がします。